Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

自己実現的消費って何?

2006-09-10 03:53:38 | Weblog
マズローの欲求段階説に,ここ数年のヒット商品を当てはめる試みが,日経MJ 9/6 に出ている。いわく…

自己実現欲求:脳を鍛えるゲーム
自我の欲求(尊敬欲求):富裕層向けサービス
社会的欲求(所属欲求):「負け犬の遠吠え」,ブログ,ミクシィ
安全への欲求:ヘルシア,ヘルシオ,ピッキング防止用品などなど
生理的欲求:様々な低価格製品…

「脳を鍛える」のが自己実現かどうかは別にして,自己実現欲求に対応する製品・サービスが少ないことは確かである。ただし,記事では,団塊の世代が定年したあと,趣味に没頭したり,何かの勉強を始めたりするので,今後ここが膨らんでいくと予想している。

で,自己実現とは何なのだろう? 何か本来の「自己」というものがあって,それを現実化することか。金がもうかるとか,他者に褒められるとかいうこと(だけ)には吸収されない,自分だけの夢ということか? マズローの本を読まないで,あれこれいってもしかたないが。

自己実現とは,生理的欲求から尊敬欲求までわかりやすい欲求以外の,余剰のようなもので,何かしら,そのようなものがあることは事実だ。それは最終的にアイデンティティの根拠になる。「自分探し」の対象。その迷路に入り込むと,厄介である。

「夢」ということとどう関係あるだろう? 以前,40代の男性にインタビューしたときは,自宅や別荘関係の話が多かった。趣味とか勉強とかはやりゃいいだけのことで,夢というほどのことじゃないのかもしれない。

それにしても,夢を探り出す調査,というのは難しい。人々はふだん,それを明確に意識しているわけではない…という意味では「想起させる」というより「構築(=創作)させる」のでいいと思う。「あの研究」もまた再開したいな…いつか…少しは準備しておかないと。





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