Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

認知科学の窮屈さ

2007-08-08 01:36:54 | Weblog
今日の脳科学塾で,久しぶりに海保先生にお会いする。4~5年前,学食でお会いしたことを覚えていただいていた。講演では,認知科学小史が,内観法→行動主義→認知主義(計算主義,記号主義)→状況論(アフォーダンス)→進化心理学,という大まかな流れで語られた。これら以外に,PDP,コネクショニストのような脳神経科学につながる流れもある。

海保先生によると,これらは方法論が違うだけでなく,焦点を当てる領域が違うので,ある意味で棲み分けているという。心理学,認知科学の立場はそうかもしれないが,消費者行動をトータルに理解したいという立場に立つと,そうしたタコツボ化はありがたくない。各個人の内部知識と外在化された情報のインタラクションで消費者の意思決定があると考えるのが健全だと思うが,そうなると認知科学の特定の立場には収まらないのかもしれない。

本来節操のないマーケティングの立場からいえば,経済学や心理学といったエスタブリッシュメントに操を立てる必要などない。ただし,既存の学問を無視するのでなく,それらを縦断して,いいとこ取りをすればいいのだと思う(ただし,厳密な論理構成のもとで)。

ちなみに,ぼく自身がD論で選好形成に取り組んだとき,少なくとも前半では,意思決定ルールという「認知主義的」パラダイムにこだわった。そこに状況,感情,適応という要素をうまく組み込めなかったのが大きな限界といえる。もちろん,それはこれからのお楽しみということにしよう。

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2 コメント

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お知らせ (ノース)
2007-09-02 05:51:41
勝手ながら、一風変わった脳内構造のホームページに、リンクを張らせていただきました。よろしければ、ご確認お願いいたします。
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ノース様 (mizuno)
2007-09-02 08:49:31
立派な内容に感心しました。時間があるとき,じっくり読んで見たいと思います。
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