Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

縮小する音楽市場で成長するには

2009-11-26 23:49:19 | Weblog
本日の授業では,音楽小売業界大手でマーケティング部門を率いるSさんをゲストにお招きした。冒頭,この市場が大幅に縮小し,オンラインからのダウンロードを加えても,往時の水準に遠く及ばないことが示された。ミリオンセラーも限られるようになった(しかもそのほとんどは,芸歴が長いアーティストだ)。その一方で,新たにデビューするアーティストの数は激増している。業界として,試行錯誤が続いているといえるかもしれない。

Sさんの会社は,そのなかで見事なCRM戦略を展開している。コミュニケーションを顧客にカスタマイズすることで効果は何倍にも跳ね上がるという。こうした実践は画期的であったが,それが浸透すればするほど,より大きな効果を出し続けることは難しくなるだろう。しかし,臆することなく新たなイノベーションに挑もうとされている。これこそクリエイティブ・マーケティングの典型例だ。その根底に,音楽は人を幸せにするという信念がある。

音楽に対するニーズが減っているとは考えにくい。音楽は「ながら」が最も容易にできるコンテンツなので,他のメディアやコンテンツと共存しやすいはずだ。しかし,事実として市場が縮小しているのは,どういう変化が背後にあるのだろうか?もっとも,大型二輪市場が縮小しているのに,独り売上を伸ばしたハーレーダビッドソンの例もある。この厳しい市場環境下で利益を増加させる戦略が可能かどうか。それに貢献する研究が求められる。

ぼく自身は,以前からの持論である,ロングテール論と顧客ポートフォリオ論の組み合わせで,何か見えてくると思っている。来年の大きなテーマとなる(他のいっぱいのテーマとともに)。あらためてその思いを強くした。
 

泣きたい

2009-11-26 00:46:41 | Weblog
いま,いろんな意味で「泣きたい」気分である,泣いてすむなら,いくらでも泣きたいところだが,それで金曜夜の研究会での報告や来週末の学会本番で「許してもらえる」はずがない。しかし,泣くことでリフレッシュできることは確か。直面する「山」を越えたら,「泣ける映画」を見て泣きたいと思う。

BRUTUS 12/1号で「泣ける映画」1位に選ばれたのはフェリーニの『道』。「恋愛」部門1位は『シェルブールの雨傘』。とりあえず,若き日のカトリーヌ・ドヌーブを眺めながら泣いてみたい。上位5位に2つ中国系の映画が入っている。『初恋のきた道』と『欲望の罠』だ。中国映画の勢いは止まらない。

BRUTUS (ブルータス) 2009年 12/1号 [雑誌]


マガジンハウス


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泣くためには,昔懐かしい風景を見て思い出に浸るという手もある。昭和の記憶を持つ人々は,以下の雑誌をぜひ買うべきである。表紙が象徴するように,この特集は昭和の集合住宅から始まる。そして,風俗,流行,「スタア」,食品,クルマ,家電製品などが網羅される。これで680円はムチャクチャ安い。

男の隠れ家 2009年 12月号 [雑誌]


朝日新聞出版


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