Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

聖地巡礼@旧広島市民球場

2009-11-02 10:05:42 | Weblog
昨日の夕方,原爆ドーム方向から旧広島市民球場に近づいたとき,飛行機雲が見えた。球場のカクテルライトがともり,歓声が聞こえてきたら,どんな感じだろうと想像する。広島市民なら,それをはっきり想像できるんだろうな・・・。



「今でもここは僕たちの夢舞台」と書かれている。かつてここで,何度も日本シリーズが戦われた。



「旧」という文字が寂しい。



やはり球場の入口を撮影している人がいた。彼も,ぼくと同じ信仰を持ち,聖地に巡礼に来たのだろうか・・・。

JACS@広島経済大学

2009-11-02 07:24:40 | Weblog
10月31日~11月1日,広島経済大学で開かれた日本消費者行動研究学会に参加した。広島経済大学は広島駅からJR可部線で20分,スクールバスで5分。ただし,電車の本数が少ないので,接続がうまく行かないと,もっと時間がかかる。今回の主眼は,JACS-SPSS論文プロポーザル賞に出る,秋山研の山田君を見守ることと,東大MMRCの若手研究者と行なっている研究を発表すること。牡蠣を食べる,というのは決して大きな目的ではない。

初日に行なわれたプロポーザル賞は,個人的には残念な結果となった。入賞した三人の院生は,確かに堂々たる発表ぶりだった(どうやったらこんなふうになれるのだろう・・・)。その点で受賞理由は明らかなのかもしれないが,審査員からその説明がなかったのは残念だ(以前はそれがあったように記憶する)。何らかのコメントや助言があると,発表者にとって有益なはずだ(それは廊下や懇親会会場で行なう,ということかもしれないが)。

われわれの発表(あえてそう呼ぶことにする)は,トレードオフがもたらす葛藤の帰結を,意思決定(選択)の回避という側面から研究しようというものだ。研究上の志としては他より劣るとは思わないが(負け惜しみ?),「消費者行動」研究としてのインパクトが弱かったかもしれない。確かに何のための研究かについての論考や,それを支える既存研究の読み込みが不足している。fMRI実験という新しさは,そこを補うものにはならなかった。

 夜,流川で秋山,山田両氏と「反省会」。日本酒美味。

翌日の午後は「装備の充実は消費者選好を高めるか?~乗用車をめぐる知覚ポジショニング,技術装備,購買態度の関係分析」について発表。今度は,ぼくが共同研究者たちに見守られる立場になった。正直,あまりオーディエンスが集まらなかったのは,発表者の人徳のせいか,テーマがあまりアピールしないせいか・・・。ただし,価格への期待が装備と直接関係するという,われわれのモデルが考えていない側面の指摘を守口先生からいただく。

 夜,桑島,東両氏と打ち合わせ。2日連続の穴子の刺身。

さて,今回の JACS は「インターネットにおける消費者行動」が統一論題。博報堂DYメディアパートナーズ勝野さんが紹介した,ある女子高生のメディア生活を追ったビデオが面白かった。基調講演の宮田加久子氏は体調不調だとは感じさせない説得力あるプレゼンだった。ただし,スクリーンに表示されるグラフの文字が小さくて読みにくい。きちんと理解するには,この発表のベースとなった,以下の著書を読むしかない。

ネットが変える消費者行動―クチコミの影響力の実証分析
宮田 加久子,金 宰輝,繁桝 江里,小林 哲郎,池田 謙一
NTT出版

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2日目で印象的だったのは,竹村和久先生による神経経済学に関する発表だ。海外の研究動向からご自分の最新の研究まで,15分で一気に紹介する(ぼくも15分のセッションに挑戦したほうがよかったか・・・)。特に言及はなかったが,スライドに近著の画像が含まれていた。オーディエンスにとって,意識されざる刺激として記憶され,本屋で思わず手が伸びることになるかもしれない。ちなみにぼくはすでに購入しているが,読む時間を見つけていない。

行動意思決定論―経済行動の心理学
竹村 和久
日本評論社

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今回,JACS でいろいろな研究を拝聴して感じたことは,質問紙調査と統制実験で得られるピースミールな知識から何が見えてくるかということ。非線形な世界を線形で語る手堅さを感じつつ,限界も痛感する。自分が発表した研究自体,非線形な世界の一面を線形近似したにすぎない。いまのところ,それはしかたない,と思いつつ,何とか乗り越えたい。同じ問題意識を持つ研究者がどこかにいるかもしれない・・・という思いで,今週は Complex'09 に臨む。