Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

単位取得退学と「修了」

2009-11-16 08:19:38 | Weblog
いま,履歴書を書く必要に迫られている。といっても転職するのではない(仮にそうでも,そうとは書けないが・・・)。来年度から同じ大学の別の組織で教えるのに,履歴書を出す必要があるというのだ。最終学歴も記入しなくてはならない。ぼくの場合「・・・大学院博士課程単位取得退学」と書くことになる。「単位取得」して「退学」というのは,一般の人には意味不明だろう。単位が足りないから「退学」したんじゃないかとふつう思うだろう。

大学院に縁のある人なら知っているが,これは大学院在籍中に学位論文を提出して,学位を取得するにいたらず,学位論文以外の必要な単位だけとって「退学」したことを意味する。ぼくのいた研究科の場合,退学後一定期間内に学位論文を通すと,課程博士を取得できる(その期限を越すと「論文博士」になる)。で,何とか期限に間に合わせ,授与された学位記には「・・・課程を修了し、学位を授与されたことを証明する」と書かれていた。

ということは,ぼくは「修了」したことになるのか?前任校で教員DBの自分のページを見たとき,学位取得年次に「博士課程修了」と記載されていたので,ますますわからなくなった。その後履歴書を書く必要が生じたとき,念のため出身大学院の事務室に問い合わせると,最終学歴は「単位取得退学」と書くのが正しいという。DBに「修了」と記載されていたのは,大学の入力担当者が学位取得=課程修了と早とちりしたせいかもしれない。

このDBの記載内容は,現在の勤務先にもそのまま引き継がれていた。しばらく放ったらかしにしていたが,最近ようやく訂正した(ただし,ReadD にはまだ反映されていない)。どうでもいいことのようだが,「単位取得退学」なのに「修了」だと称しているかのような記載によって,万が一にも「学歴詐称」だと後ろ指をさされるのはいやだからだ。現実には,「修了」という肩書きはかなり適当に使われており,気にしない人は気にしない。

もちろん,大学への就職等で重要になるのは,学位を取っているかどうかである(といっても,文系でそうなったのは最近のことだ)。海外の場合,研究者の履歴を見ても,学位をいつどこの大学で取ったかしか記されていないことが多い(むしろ審査した教員名が書かれていたりする)。したがって,「単位取得退学」という概念は,日本特有なのかもしれない。ちなみに自分のHPには,欧米流に(?)学位の取得年次のみ記載している。

不思議なことといえば,本の著者経歴などを見ていると,「退学」「修了」の年次は記されているのに,学位の取得年次は記されていないことが多い。これは,たとえば中小企業診断士や管理栄養士の資格を持っている著者が,その取得年次を著者経歴に書かないのと同じことかもしれない。一方,学歴としては,いつ「退学」「修了」したかの年次が重要となる。それは,入社(省)年次を重視する年功序列制と関係しているのだろう。