Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

逃走に当たっての最初の一歩

2009-11-11 23:04:22 | Weblog
英国人女性の死体遺棄事件で手配されていた市橋容疑者が逮捕された。逃走期間は2年7ヶ月。なぜ見つからなかったのか,どうやって生活していたのか,テレビや週刊誌はいろいろな「謎」を取り上げるだろう。しかし,この事件でぼくが気になるのは,非常にくだらないことだが,容疑者が警官に夜職務質問を振り切って逃げたとき,裸足であったということだ。したがって,最初に何とか靴を手に入れないと逃走は始まらない。

手持ちのカネがあったとして,裸足のまま靴屋にいけば,怪しまれて通報されるのがオチだ。しかし,そのへんに靴が落ちているとはほとんど考えられない。すると,どこか民家に忍び込んで靴を盗んだのか・・・。身長の高い容疑者に合った大きなサイズの靴がないと困るはずだ。どうやったのかわからないが,この最初の難関を越えたことで,逃走が軌道に乗ったのだ。おおげさにいえば,その一撃のあと,経路依存性が働き始めた。

逆にいえば,簡単に靴が見つからなければ,裸足で歩き回っている怪しい男がいる,として早期に捕まっていたかもしれない。・・・どうしてこんなくだらないことを長々と書くかというと,ぼくはたまに,街なかを裸足で歩いている自分に気づき,早く何とか靴を手に入れなくてはと焦燥に苛まれる夢を見るからだ。なぜ靴がないことへの潜在的恐怖感をもつのかわからない。実際に裸足になって困った実体験はまったくないからだ。