Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

アンサムブル劇場とは

2022-07-19 | 文化一般
土曜日の生中継について言及した。ミュンヘンでのオペラ公開で、普段は劇場に足を運ばない人にもオペラの一端を覗いて貰おうという企画だ。BMWがスポンサーリングをして恒例の行事となっている。ドルニー新体制になってから初めての開催だった。

従来通り、つまりコロナ禍以前通りマックスヨゼフ広場にてパブリックヴューが行われていた。それだけでも感慨深い。昨年は裏側のより広い場所で椅子などを用意してより大規模に開催していたが、今年はより街の人に近い場所で行われた。実際にはアルコールや携帯椅子の持ち込み禁止など可也り制限があったようだ。しかしそれでもより気楽な感じは人数の少なさと共に印象的だった。

支配人の挨拶やインタヴューの節々には、より積極的に大多数へと呼び掛けていこうとする気持ちは伝わった。結果は直ぐには出ない、しかし任期中に「回収」されれば大成功である。

前任のバハラー時代とは何が異なるか?例えば司会にもゴッチャルクのような高級取りの人気者ではなくて、あまり知らないような若い女優さんを起用するなど、より身近な雰囲気を醸し出していた。例えば公演のキャスティング自体も昨年はカウフマンとか大物スター歌手を出して来ていて、それだけで騒ぐ人たちがいる状況とは大違い。

例えばペトレンコ指揮「トリスタン」とかあっても普通の人はそうかと思うだけで、それ以上のものではないので、それほど親しみを与える要素とはならなかったであろう。その点今回は無名の指揮でスターでも何でもなかった。

しかし、世界の頂点にあるオペラ劇場の真価を示した公演となった。先月の「ルードンの悪魔」以来、「ブルートハウス」に続く成功が続いていたが、今回もそれらに続くことになる。

座付き楽団の響きは求められているもの以上で、ヤナーチェックの曲はこれほど密度があるかと思った。それが独特のイントネーションが色合いを定めていて、本当に見事である。今座付き楽団でここまで出来るのは他にないと思う。歌に合わせるだけでなくフレージングを作るのが柔軟で比較の無いほど上手い。

先日のシュットガルトの「指輪」でも示唆したのだが、ペトレンコ時代に出来なかったのはそうしたイントネーションの統一だとされていた。それはスター歌手を優先的に起用するなどでも得難い統一である。その昔は劇場ごとのアンサムブルがその真価を示すような公演形態となっていた。
Bayerische Staatsoper DAS SCHLAUE FÜCHSLEIN (EN)




参照:
午後の計画をプロデュース 2022-07-18 | アウトドーア・環境
引力場での音楽表現 2021-08-02 | 音

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