Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

「シーズン最高の初日」の意

2022-05-24 | 文化一般
音楽劇場新制作「ブルートハウス」は恐らく今シーズン最高の成果となるだろう。既にミュンヘンで最も有名なオペラ批評家は地元紙にシーズン最高と見出しを付けた。今回は初演ではなかったが、明らかにそれ以上の意味合いをエポックとして持つのではないか。21世紀前半のとなるだろうか。

そもそも音楽劇場とはなんぞやとなる。ネットを見ても様々な定義付けがあるだろう。イタリアのモンテヴェルディによって確立されたオペラも、音楽と芝居と踊りなどの総合芸術であることは変わりない。しかしそれぞれ各ジャンルがバロック期から古典、ロマン、現代へと各々の発展をしたことから、20世紀になって再び統一として目された概念ともされている。

ここで注目したいのは、今回の指揮者ティテュス・エンゲルも新たな統合を目したカーゲルに習っていることでもあり、また名支配人の故モルティ―エのセミナーを開いていたことも忘れてはならない。

奇しくも大スター歌手ヨーナス・カウフマンが、ミュンヘンを筆頭とするオペラ劇場のメッカで客足が落ちて半分も入っていないことから、将来を危惧すると話しているとの報道が流れ、まさしくオペラ劇場と音楽劇場の差異を図らずしも浮き立たせているのではなかろうか。

なぜ今回の制作が21世紀前半での価値を持ち得るのか?それは作曲家の音楽的技法の秀逸にもある。しかし、同様のウルトラクロマティック若しくは微分音によるクラスターとか倍音スペクトルとかは、少なくとも20世紀中盤には使われていていて、音楽劇場的な作品にも使われていないわけではなく、若い優秀な人がその技法で以て新作の室内オペラなどを書くのは何ら特別なことではない。

それどころか今回上演の作品も初演されてから10年経っている。当時の放送でも作曲家のハースもマイクの前で色々と話しているのを車中で聴いた記憶がある。個人的には近所で初演がありながら行くつもりは毛頭なかった。理由は様々あるのだが、そもそもハースがそこ迄重要な作曲かどうかはロート指揮でのピアノ微分音協奏曲を聴くまでは認識していなかった事が大きい。しかし、シュヴェツィンゲン音楽祭でのオペラ公演はルネ・ヤコブス指揮モンテヴェルディ「ポッペアの戴冠」以外にそれ程成功していなかったのである。

それでは、今回は不発だった初演やそれからヴィーンでフェストヴォッヘでの制作とは何が大きく違ったのだろうか、それらを直接体験して比較しなくても、今回明らかに成功していたことを具体的に沢山上げることが可能だと思う。(続く


写真:嘗ての中庭に屋根をつけてロビーにしたクーヴィリエ劇場。



参照:
モーツァルト所縁の劇場 2022-05-21 | 音
ゆく河の流れは絶えずして 2005-08-01 | 音

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