スカラ座での「ばらの騎士」再演初日が迫る。今回の初日へは案内ヴィデオも作られていて、先ごろ亡くなったクッパー演出へ再演出者の話しとなっている。そこには練習で振っているペトレンコのモニターなどに映る様子も小さく捉えられていて、恐らく総稽古時の音が背後に使われている。
Der Rosenkavalier - Intervista a / Interview with Derek Gimpel (Teatro alla Scala)
それを共同制作のザルツブルクに続くメータ指揮によるらしいトレイラ―の録音と比較するととても興味深く、そこにベルリンでの2020年での公演での演奏と同じ指揮が聴かれる。当然のことながら今回の新しい音源とのコントラストはとても豊かである。
Der Rosenkavalier - Trailer (Teatro alla Scala)
実はまだ音だけ流したがザルツブルクでの映像はまだ観ていない。演奏が余りにもお粗末なので動機付けが生じないからだが、是非出かける前にざっと流しておきたい。
Strauss - Der Rosenkavalier, Franz Welser-Möst and the Vienna Philharmonic
映像を観ずに同じ音だけを聴いたメータ指揮のベルリンでのここ十年程の最も成功した制作は、恐らくもう一度車中で聴いていくのだが、歌手陣がとても悪かった。恐らくミュンヘンで通じるのは実際にペトレンコ指揮で今回も歌うグロイスべックのオクセンだけである。生中継を観た時には気が付かなかったのだが、やはり小さな劇場はあの程度の歌手でも歌えるという程度だ。
DER ROSENKAVALIER - Richard Strauss (Trailer) | Zubin Mehta | Staatsoper Unter den Linden
その点、今回ミラノでもマルシャリンを歌うストヤーノヴァはメスト指揮でザルツブルクでも丁寧に歌っていて、ルーマニアのヴェテランのようだが、この演出だけでなくミュンヘンでもマルシャリンを歌ってデビューしている。ペトレンコが断るほどの理由はなく、新たな大物への予算もなかったのだろう。ベルリンの制作に比較すると、ザルツブルクの楽団は酷いのだが、歌手陣は揃っている。
一幕に続いて、二幕においても二幕のゆったりさで全く異なる書法もあって、より成果は上がっているかもしれない。その分演出を確認はしていないが若干ダレルところがあるかもしれない。しかしカラヤンのテムポルバートへの批判的な面もあるのか、ベクトルが違うようだ。これも演出の意思が出ているのだろう。逆に三幕においてはもう一息一幕と同様に細かなアンサムブルなど必要とされるところであり、若干粗くなっている。
クッパ―演出の一幕をちらちらの見ているが、その音楽同様にとても細かな演出が行われていて、音楽そのものに劇が活かされている。シェンクの演出をして永遠にあれがいいという放言も見かけるが、現在の水準からすると音楽劇場としてお話しにならないだけでなくて、そのもの音楽の精妙さやその書法を内容を全く反映していない。
現在においては舞台上の一挙一動が科学的に演出されるわけだが、それはそのもの奈落の音楽も歌手の歌もその程度で通ったということでしかない。追々この楽劇の創作の真髄がそのような制作では全く反映されない公演となる。
そこに気が付いただけでも今回の制作の再演への期待がとても高まる。全然そんなちゃちなミュージカルになるになるような創作ではないのは今回よく分かった。豊かでたおやかな歌と精緻な音楽運びが為されるものと疑わない。
参照:
拙いシェンク演出よりも 2024-10-08 | 文化一般
ミラノ2016年初日シリーズ 2024-09-20 | 文化一般
Der Rosenkavalier - Intervista a / Interview with Derek Gimpel (Teatro alla Scala)
それを共同制作のザルツブルクに続くメータ指揮によるらしいトレイラ―の録音と比較するととても興味深く、そこにベルリンでの2020年での公演での演奏と同じ指揮が聴かれる。当然のことながら今回の新しい音源とのコントラストはとても豊かである。
Der Rosenkavalier - Trailer (Teatro alla Scala)
実はまだ音だけ流したがザルツブルクでの映像はまだ観ていない。演奏が余りにもお粗末なので動機付けが生じないからだが、是非出かける前にざっと流しておきたい。
Strauss - Der Rosenkavalier, Franz Welser-Möst and the Vienna Philharmonic
映像を観ずに同じ音だけを聴いたメータ指揮のベルリンでのここ十年程の最も成功した制作は、恐らくもう一度車中で聴いていくのだが、歌手陣がとても悪かった。恐らくミュンヘンで通じるのは実際にペトレンコ指揮で今回も歌うグロイスべックのオクセンだけである。生中継を観た時には気が付かなかったのだが、やはり小さな劇場はあの程度の歌手でも歌えるという程度だ。
DER ROSENKAVALIER - Richard Strauss (Trailer) | Zubin Mehta | Staatsoper Unter den Linden
その点、今回ミラノでもマルシャリンを歌うストヤーノヴァはメスト指揮でザルツブルクでも丁寧に歌っていて、ルーマニアのヴェテランのようだが、この演出だけでなくミュンヘンでもマルシャリンを歌ってデビューしている。ペトレンコが断るほどの理由はなく、新たな大物への予算もなかったのだろう。ベルリンの制作に比較すると、ザルツブルクの楽団は酷いのだが、歌手陣は揃っている。
一幕に続いて、二幕においても二幕のゆったりさで全く異なる書法もあって、より成果は上がっているかもしれない。その分演出を確認はしていないが若干ダレルところがあるかもしれない。しかしカラヤンのテムポルバートへの批判的な面もあるのか、ベクトルが違うようだ。これも演出の意思が出ているのだろう。逆に三幕においてはもう一息一幕と同様に細かなアンサムブルなど必要とされるところであり、若干粗くなっている。
クッパ―演出の一幕をちらちらの見ているが、その音楽同様にとても細かな演出が行われていて、音楽そのものに劇が活かされている。シェンクの演出をして永遠にあれがいいという放言も見かけるが、現在の水準からすると音楽劇場としてお話しにならないだけでなくて、そのもの音楽の精妙さやその書法を内容を全く反映していない。
現在においては舞台上の一挙一動が科学的に演出されるわけだが、それはそのもの奈落の音楽も歌手の歌もその程度で通ったということでしかない。追々この楽劇の創作の真髄がそのような制作では全く反映されない公演となる。
そこに気が付いただけでも今回の制作の再演への期待がとても高まる。全然そんなちゃちなミュージカルになるになるような創作ではないのは今回よく分かった。豊かでたおやかな歌と精緻な音楽運びが為されるものと疑わない。
参照:
拙いシェンク演出よりも 2024-10-08 | 文化一般
ミラノ2016年初日シリーズ 2024-09-20 | 文化一般