Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

とんでもなく腕力が強くても

2011-12-18 | 雑感
南チロルのブリクセンでインタナショナルな登山家頂上会議が開かれていた。そこに臨席していただけで最もジャーナリストに囲まれたのが西海岸サンタクルーズ出身の三十歳のクリス・シャルマであったと、FAZが紹介している。

不思議な名前の秘密は両親のヨガの先生からの由来のようで、子供の時に一本指懸垂などで、母親に同伴されたクライミングホールでも注目されて、十四歳で合衆国の競技会で優勝、十五歳でアリゾナで最も難しいルートを登り、十六歳で欧州に渡り、その後世界中を行脚していた。千マイルを超える徒歩旅行には日本も含まれ、禅寺での修行をしたりして、2001年にはフランスでレアリザチオンというルートを初登攀している。

同じ年のミュンヘンのボルダーリング大会で優勝したのだが、薬物使用で失格となり、それ以降は競技生活からフリークライミングへと活動領域を変更したという。その後は、子供時代を過ごした砂浜の生活をあわせて、マヨルカでザイルも安全ベルトも使用しない「ディープウォーターソロイング」を開拓して、オーヴァーハングを登りそこから海へと飛び込む困難なフリークライミングを続けた。

その困難度は9bとあるから、5.15bもしくは十一級プラス - 我々が通っているホールの最高域は十級までである - となる。そして、その追求をカタロニアの地に求めて更なる可能性を求めているという。

金曜日は水曜日に続いて、十分に体を使った。平均の困難度スカラーは再び半ポイント上げて六級になった。挑戦あるのみで、疲れるだけで克服できないもの少なくないが、少なくとも次への可能性を広げた。繰り返して練習するしか方法はないだろう。

室内壁では全く基礎的なクローズドの姿勢を見直す必要にも思い知らされる。物理的に考えれば単純なことであり、自然の岩場ではホールドやスタンスが壁から出臍のように突き出しているということはないのである。なるほど石灰岩の出っ張りや砂岩の丸い突き出しは同じように使えるかもしれないが、やはり出っ張っている手掛かり、足がかりはクローズの姿勢ならば垂壁でもそこにひっかかることが可能なのである。その差はやはり大きい。

世界トップクラスのクリス・シャルマは言う。とても強くて、とんでもなく腕力があるクライマーは居るが、岩場においては能力を発揮出来ないクライマーは、その動機付けや体の使い方を誤っていると語る。なるほどあるルートを達成するための要求は、そのものそれを阻むということを主張する。

相棒のスポーツ医者は、汗を掻かないうちにはじめから目標を達成しようとしたら、「先ずは筋肉を暖めろ」と薦めた。なにもしないのに腕の筋を切った者がいたというのである。なるほど流石に専門家の意見である。スポーツにおいては怪我をしないことも正しさであって、正しい体の使い方に違いないのである。



参照:
Klettern am Limit, Bernd Steinle, FAZ vom 15.12.2011
Schwierigkeitsskala (Klettern),
Chris Sharma (WIKI)
Chris Sharma Multimedia Profile (YouTube)
力の抜けない未知の領域 2011-12-15 | 生活
記憶にも存在しない未知 2007-05-27 | 文化一般
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする