Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

記憶にも存在しない未知

2007-05-27 | 文化一般
脳神経学分野の課題は、デヴィッド・リンチなどのハリウッド映画で「トータル・リコール」や「マノリティー・リポート」で筋書きを提供している。ロスアンジェルスの高層ビルのバーに脳神経学者クリストフ・コッホを訪ね、そのカルテックにおける企業についての新聞記事を書いている。

この会社は、主にアジアからの出資の希望が多く、その特許「アイ・プレディクト」である「視線の行くへの公式」はCMなどに効果があるとして注目されている。しかし、結局は米軍の研究支援を受けることになった様である。

氏のトレードマークである赤い靴に、この公式のヒントがあるらしく、訪問者が驚きをもってそれを見つめた後の行き先が、この公式によって求められる回答なのであろう。

研究者としては、チュービンゲンで物理を学んだ後にMITで、かのジェームス・ワトソンと遺伝子コードを解読した現代生物学の雄フランシス・クリック教授の弟子になって、その後共同研究の後、二年前の師の死をもって、新たな研究へと進み出たとある。

それは、師匠が敢えて手をつけなかった「意識」に関するもので、その「所在」を位置物理的につきとめようとするものである。その回答は、クリック教授においても神学の問題として扱われていて、自意識として哲学の場でも議論されるものである。

少なくとも莫大な神経の信号の切り替えで、記憶や行動はコード化されて制御されて、それが絶えず起こるところに自意識が存在していることは解明されている。そして、その一部だけが外界からの刺激を遮断しつつ感覚器官のように他の脳の部分を観察しているとする。それがどうしたものであるかは、いまだに不明であるが、脳に存在していることは間違い無いとする。

この研究者は、子離れから家庭の環境が変わった時、気晴らしにロッククライミングを始めた。そして今、深淵の上にぶら下がっているとき以上に、禅の空の「意識」に詳細が表れることはないとして、それについて近頃研究しているようである。

彼は、世界を飛び廻る学者のカトリック家庭に生まれ、アビテューアをイエズズ会の学校で終えている。そして、進化論では、自意識の自動化が待っていて、人類は皆無意識の内にゾンビとなるとしている。

同時にこの研究者は、無神論よりもむしろ不可知論を攻撃して、つまり原子と細胞から出来る「意識」に自然の摂理を解く。それは、原子核からクォークへと進んでいったように、人類は新たな発見を宇宙に見つけ、そこに意識の覚醒があるとする。

これは、先の意識や記憶の問題として解くと、意識を新たに広がる世界に見出すことが出来るとすることであり、我々はそうした覚醒に生きていることを思い出せば良い。

彼が可能とする新自然神学が生まれるのは、地球外生物の発見でもあるかも知れないし、他の発見であるかもしれない。しかし、そうした発見や発想は、我々の日常に芸術や学問として存在しているが、それが今までは従来の神学を覆すには至っていないだけなのである。

こうして、記憶にもどこにも存在しない未知との遭遇とその認知に、「意識」の存在を我々は掴めた。そして、アグノシティズム(不可知主義)と呼ばれるものに対照してグノシティズムが存在していて、補角を埋めるような構造になっていることにも気がつく。



参照:
Welche Ameise versteht schon Einstein?  - Der Neurobiologe Christof Koch, FAZ vom 9.5.2007
突然、激しい風が吹いて [ 暦 ] / 2007-05-28
現代オカルトのビオ思想 [ 文学・思想 ] / 2007-05-24

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