Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

政治的棲み分けの土壌

2005-09-22 | アウトドーア・環境
バイオワインについての関心が高まっているようである。簡単にその定義を見てみる。何故ならば、バイオ栽培は10年以上も一般的になっていたので、改めて調べる機会がなかったからである。

ドイツワインにおいてバイオワインを強調する場合、そのバイオワイン協会の存在がある。それは、VDPと言うドイツ高級ワインの団体に対するバイオワイン農家の団体である。そこに書いているガイドラインをざっと見ると、ブドウ栽培時の環境、醸造時の環境、資材や梱包などの環境が大きな柱になっている。

栽培の段階での土壌、害虫駆除、古い株の利用、その他の環境資材については、VDP加盟の多くの醸造所が大分以前から取り組んでいて、化学肥料や害虫駆除薬品などは締め出されている。その徹底振りには差があるかもしれないが、それを謳っている醸造所のほうが普通である。

資材や梱包も絶えず改良されて、発泡スチロール入りのワイン輸送用の箱を探す事は難しく、それぞれの醸造所の努力と言うよりも資材の供給元の努力が実って来ている。

さて、醸造であるが、高級ワインと言われる醸造所は元々、最小限のケミカルを用いて自然食品を醸造してきた。それに対して中小の一等栽培地から外れた醸造所や農家がケミカルを入れて手っ取り早く飲み口の良いワインを醸造していたのが、有名な独墺ワインの不凍液スキャンダルであった。

このような事から、ドイツワインに関しては中小の農家などが集まって団体を作りバイオワインを実践すると言うのは、新しい市場の開拓であると共に消費者に一定の価値判断を与える事になるのだろう。

言うなれば、ノーブランドと言うブランドに近いもので、商業活動としての価値も認めねばならない。反面、ドイツの高級ワイン市場においては今後も殊更バイオワインを謳う必要は無くて、伝統を推し進めていけばよいのである。

厳密に言うと、醸造時の酵母や品種改良において、今後バイオテクノロジーの暴走を管理出来なくなるのを防ぐ事が必要である。我々は、飼料の工業化でブリオンというたんぱく質が犯すBSE騒動に襲われた。このようなことは、今後も幾らでも起きる可能性がある。

BSE騒動で複数の大臣の首が飛んで、代わりに急遽就任した緑の党のレナーテ・キューナス農林消費者保護担当大臣は、昨日のTVショーで所謂ジャマイカ連立について各党の政治家と有意義な議論をしていた。

特に注目されたのは、CSUのバイエルン内務大臣ベックシュタイン博士との会話である。何故ならば、氏はプロテスタントで左翼からはナチとも言われるほど右翼であり、「外国人はドイツ語を喋り考えるように再教育をしなければならない。だから子供以外の外国人労働者の自動的な家族呼び寄せは止めろ。」とドイツ文化主義を持論としているからである。今回のジャマイカ連立でも緑の党の環境大臣トリティン氏と如何して席を同じく出来ようかと言われる関係である。

それでも、バイエルンの農業問題への地道な取り組みなどは流石に地元に密着して啓蒙している。今回は、トップダウン式の連立が模索されているが、実は小さな町単位の議論は絶えずこのようなものである。其々の旗印を挙げて、問題を解決して行くだけなのである。

普段の生活に、工業団地やバイパス道路や噴水は必要でも原理主義は必要ないのである。このような政治構図をボトムアップして行く事は全く不可能ではない。先ずトップダウンで、その 方 法 を 示 す 事 だけが肝要である。

バイオワインから農政、そして地方政治へと話題が移ったが、地方分権と言うのは、決して地方のボスがブクブクと肥りながら、首都のボスに成っていくと言うものではないことに留意しなければいけない。ドイツワインの市場の棲み分けもこれに非常に似ている。
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