パンダ イン・マイ・ライフ

ようこそ panda in my lifeの部屋へ。
音楽と本、そしてちょっとグルメなナチュラルエッセイ

御宿かわせみ(29) 初春弁財天

2016-07-03 | 御宿かわせみ

初春弁才舟 御宿かわせみ29 2001年11月,オール讀物平成12年11月号13年6月

宮戸川の夕景」
宮戸川に半裸体の女の死骸が上がる。その頃,料亭で旦那衆が行う賭博の現場に,細川家奥女中の名乗る女が現れ,500両もの掛け金を奪う。祖その時,賭場に東吾の同僚の武石敬太郎がいて,奥女中に金を渡したというのだ。その武石が江戸川で死体となって浮かぶ。しかし,その死体は東吾が知る武石ではなかった。東吾は武石の周囲を探る。武石の妻は貧乏旗本,佐久間元大夫の娘,お国で,麻生家の近くに家があった。東吾は宗太郎から,佐久間家の養子,新三郎は賭け事が好きで,女好き,また,武石敬太郎の病気は仮病だという噂だと聞く。そして,同じような奥女中が金を巻き上げる事件が起きる。その料亭は蔵前の誰が袖で起きた。そこの女中のお澄は武石の妹だったが事件後,行方が分からない。
お国がもたらすどろどろの人間模様。

初春弁才船」
新酒を上方から江戸へ運ぶ新酒番船。しかし,1艘だけ港に入ってこない。その船頭の岩吉の息子,航吉が東吾に西洋の船の勉強を教えてくれとかわせみにやってくる。岩吉は無事だったと連絡が入る。そして,また,新酒の季節がやってくる 。岩吉と航吉が乗った船を待ち遠しく思うかわせみの皆々。弁才船という日本船の話や航路など,当時の興味深い話も挿入され,初春らしい作品。

辰巳屋おしゅん」
梅の花の咲く頃に,洲崎の水茶屋の辰巳屋のおしゅんという芸者が人気だという話に盛り上がった東吾,源三郎,長助。その頃,荘吉16歳が10歳の金太を川に落し,死なせるという事件が起きる。荘吉の父庄七は大工だったが,荘吉の姉を身売りし,西国大名の囲い者になったことから羽振りがよく,この事件を金で解決した。東吾は,金太の姉がおしゅんで金太の姉におりん14歳がいた。庄七はおしゅんに入れあげていた。そのおりんが殺された。おしゅんは庄七と荘吉を殺す。おしゅんはおりんと金太の母親だった。

丑の刻まいり
麻布飯倉の熊野権現の境内で丑の刻まいりが行われていた。その丑の刻まいりをしていたと姑おとよに疑われ,家を追い出されたと,かわせみの女中お石の幼馴染おうのがかわせみを訪ねてくる。麻布飯倉の小間物屋田毎屋に女中奉公に上がり,養子の弥之助の嫁になった。5歳と3歳の子がいるという。かわせみには弥之助に頼まれたと飯倉の桶屋の仙五郎も訪ねてくる。その弥之助夫婦は田毎屋を出る決心をする。そんなときに,おとよが丑の刻まいりをして,熊野権現の裏で殺される。仙五郎は東吾に相談する。先に丑の刻まいりをしていた女が犯人ではないかと東吾は推測する。

桃の花咲く寺
横浜の商人,岡田屋吉右衛門はかわせみの常客。その吉右衛門は叔母に会いに青山の権田原に行く。その近くの春光寺に桃の花が咲いていた。その寺を旗本の用人,吉井恭三郎が訪れ菩提寺に決めたいという。その3日目の夕刻に吉井が寺に押し込み,500両もの金を盗んだ。東吾は源三郎に頼まれ,この一件を解決する。

メキシコ銀貨
大川の河口で,東吾の帰りを待ちながら,海に浮かぶ帆船を見る麻太郎と源太郎。そこへ東吾がやってくる。その時,大男が男に風呂敷包みを奪われ,手に入れた3人が見たのは70両の小判と一分銀が3枚。そしてメキシコ銀貨が1枚だった。幕末の日本は開国し,外国人は日本の金銀に目を付ける。洋銀を一分銀に替え,それを小判に両替する。この商人を小判商人といった。しかし,これは良質な日本の金銀を外国に奪われることだった。その大男は甲州街道の入り口,千駄ヶ谷で死体となって見つかる。必死の探索もむなしく,小判商人は見つからなかった。

猫一匹
霊岸島の炭屋,遠州屋の隠居,筋金入りのやかましや,おこと婆さんは大の猫好き。その猫が両国の見世物小屋へ入り込み,孔雀に殺され,その猫を助けに入らせられた遠州屋の主人,東兵衛の女房のおすみが大けがを負った。孔雀は殺され,香具師の玄三は江戸おかまいとなった大阪の天満の物産問屋,池田屋の番頭,市兵衛は香具師の仕返しを心配する。その東兵衛が吉原からの朝帰りに殺される。犯人は分からずじまいだった。後日談も。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 上野千鶴子のサバイバル語録 | トップ | すぐれもの 21 トップサイ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

御宿かわせみ」カテゴリの最新記事