goo blog サービス終了のお知らせ 

パンダ イン・マイ・ライフ

ようこそ panda in my lifeの部屋へ。
音楽と本、そしてちょっとグルメなナチュラルエッセイ

ブルックナー 35 雑感

2010-10-10 | music/classic/Bruckner
ブルックナーのシンフォニーを、2008年の11月から今日まで、約2年にわたり、聴いてきた。その間、いろいろなことがあった。

粉雪舞う冬、短い春を演出した桜、田植えの水面映る新緑、ナスの花に一喜一憂した夏、栗の落ちるのを楽しんだ秋。
大きな自然の営みという大きな時間の経過に、仕事や家庭という現実が横たわり、確実に加齢は進む。

最初にブルックナーを聴いたのが20年前。しかし、合わなくてすぐにお蔵入り。それが、2年にもわたり34枚以上の演奏に触れようとは。
まったく、人は加齢が故に、その楽しみもあると知らされた。

また、改めて、これらのアルバムに救いを求める機会が来るのだろうか。また、来るとすれば、どんな状況下にいるのだろう。楽しみでもあり、心配でもあり。

ブルックナー 34 シンフォニー3番(2)

2010-10-03 | music/classic/Bruckner
一方、オケのアンサンブルや和音の響きを、余すとこなく引き出したのが、セルジュ・チェリビダッケとミュンヘン・フィルの盤。
1987年、チェリビダッケ75歳の時の録音。同じ第3稿をもとにした録音であるが、これまた、遅いテンポで、じっくりと美しい響きを奏でる第3番もいい。ライブ録音である。
Total 64:36 ①25:07 ②16;38 ③7:46 ④15:03

ブルックナー 33 シンフォニー3番(1) ワーグナーへの想い

2010-09-26 | music/classic/Bruckner
1873年、ブルックナー(1824年-1896年)、49歳のときの作品が、シンフォニー第3番である。
彼が敬愛したドイツの作曲家、 リヒャルト・ワグナー(1813年-1883年)に捧げられたことから、ワーグナー交響曲の愛称がある。

2番が72年、4番「ロマンテック」が74年、5番が76年に作られていることから、このころのブルックナーはまさに脂の乗り切った時期であったのだろう。

4,7,8,9番に比べ、地味な印象があるが、力強さとワルツ風のやさしいメロディの対比が際立っている。4楽章のファイナルに行く、盛り上げもいい。
一番は、ロマン溢れる1楽章であろう。金管の印象的な主題や神秘的な旋律が個々かしこに配置されている。
2楽章は、荘厳なアダージョ。ほんとうにブルッナーはアダージョがいい。なんてロマン溢れる旋律の数々。 
3楽章は、スケルツォ。かなり早くとあるが、アクセントのあるモチーフとワルツ風の楽曲のコラボ。
4楽章 ポルカ風の旋律やエコー効果をねらったユニゾンが印象的。

オイゲン・ヨッフムの75歳の1977年、ドレスデン国立管弦楽団で聞く。ヨッフムらしい快活でエネルギッシュなブルックナーである。
Total 57:22 ①20:30 ②15:26 ③7:30 ④10:56

シンフォニー2番 ブルックナー 32

2010-09-05 | music/classic/Bruckner
ほんとうに、暑い夏です。パソコンに向かう気力も奪い続けています。
8月は、土日に仕事が結構あり、また、この暑さで、いささか平常心を失っています。
それにしても、9月だというのに、この暑さ、蒸し暑さはなんでしょう。37度、38度が続く毎日は、50を過ぎたこの体には、堪えます。秋植えの畑を、起す気にもなれません。
高校の体育祭や文化祭も真っ盛りで、熱中症の記事もありましたし、こちらの地方では、この日曜日に地域の体育祭が行なわれます。

暑さは、読書熱も奪います。ブログねたもなかなかたまりません。
そんな中で、久々にブルックナーを取り上げてみました。

ブルックナーのシンフォニー紹介も32回目を迎えました。
これまで、4番、5番、6番、7番、8番、9番と、中期・後期の作品を何枚か紹介してきました。そこで、初期の作品にトライしてみました。

ブルッナーの2番は、47歳の1871年に着手、翌72年に第1稿が完成しました。
後期のシンフォニーほどの、完成度の高さ、構成力の充実やドラマティックな印象はないが、全編やさしさにあふれ、崇高な楽曲である。

美しさという点では、ヘルベルト・フォン・カラヤンが、1981年にベルリンフィルを指揮したディスクがいい。カラヤンの緊張感溢れる指揮とベルリンフィル絶頂期ともいえるアンサンブル清廉さがこの曲の魅力を伝える。
Total 59:14 ①18:16 ②16:47 ③6:04 ④18:07

ブルックナー 31 マタチッチの5番

2010-01-02 | music/classic/Bruckner
ユーゴスラビア生まれの指揮者、ログロフォン・マタチッチ(1899~1985)の快作がある。1970年、71歳の時にチェコフィルハーモニーを振った第5番シンフォニーである。
マタチッチのブルックナーは7番も9番も、人間味溢れる作風がある。

特に5番は他の指揮者が堅牢できちっとした解釈をするゆえに、余計に際立つ。細部にこだわりと大胆な曲風の解釈をする。これが、起伏に富み、波動のように押し寄せる。
1楽章は早く力強く、そしてピアニシモは限りなくやさしい。
3楽章はびっくりするほど早い。4楽章は、原典版とはいえ、一部にブルックナーの弟子が手を加えた解釈で挑んでいる。
Total 70:03①19:25②18:18③11:50④20:30

謹賀新年2010年 ブルックナー 30 ヴァントの5番

2010-01-01 | music/classic/Bruckner
2010年を迎えた。謹賀新年。あけましておめでとうございます。
新年の事始、元旦のブログは、引き続きブルックナーのシンフォニー5盤。
今の決定版は、ヴァントとベルリンフィルである。
ドイツの指揮者、ギュンター・ヴァントが、84歳、1996年に名門ベルリンフィルと録音した。特にこの5番は、この後、4番、7番、8番、9番と続く、ベルリンフィルとのブルックナーチクルスの第1弾であった。
いかにこの曲に思い入れがあったのだろう。
特にヴァントは、1970年代から80年代のケルン放送交響楽団とのブルックナーチクルス、80年代から90年代の北ドイツ放送交響楽団とのブルックナーに続く第3弾である。
ベルリンフィルのすばらしい重厚で、シャープなアンサンブルと、ヴァントの構成力があいまって、繊細で堅牢で重厚な5番が再現されている。

とかく、息切れやアンサンブルが乱れ、細部や指揮者の意図を体現できないことがある。しかし、80歳を超えるヴァントは、このベルリンフィルの精鋭たちと、この大曲を細かく、かつ大胆に表現した。

Total 76:20①21:30②16:14③14:13④24:23

ブルックナー 29 チエリビダッケの5番

2009-12-27 | music/classic/Bruckner
セルジュ・チェビリダッケが1993年にミュンヘン・フィルハーモニーを振ったのも名盤。チェビリダッケらしく、丁寧に、かつオケの実力を存分に発揮し、オケもその美しさ、華麗さで応えている。
ライブの緊張感も伝わってきます。ティンパニーも効果的。録音も秀逸。
テンポはかなり遅いが、美しさが堪能できる一枚。ハース編の原典版
Total 87:39①22:43②24:14③14:32④26:10

感謝の心 ブルックナー 28 シンフォニー 5番

2009-12-26 | music/classic/Bruckner
この1年を通し、ほんとうにブルックナーにはお世話になりました。
チェンジという言葉が、ほんとうにふさわしいこの1年。3月と6月に2度も職場の引越しを経験した。日本の政権も9月に変わったが、うちの会社もトップが4月に変わり、仕事も7月に異動になった。懸案が数々ある中で、上司や部下のおかげで道筋が少しづつ就きつつある。もちろん、これからが正念場であるが、目標のない道は苦しい。その目標も過程で変化するかもしれないが、その苦しみも生みの苦しみと思えば、やりがいもある。それも一人ではない。
うつ病について、職場の講演会で語られた「仕事と家庭のバランス」。つまり、仕事がしんどいとき、家庭でもトラブルや心配事があると、追い詰められて心のバランスが崩れるという。
そういう意味で家庭のありがたみが心に染みる。ブルックナーのシンフォニー群も、わたしの心のバランス維持に一役買ってくれた。0番から9番までの10のシンフォニーたちは、ある意味で統一されたカラーがあるが、それぞれ、味わい深い。

年末年始は、そのブルックナーシンフォニーの大作、5番シンフォニーの特集といこう。

ブルックナーのシンフォニーの中で、堅牢でがしっとしていて、宗教性が高く、地味なのが5番である。しかも長い。

このシンフォニーは、4番「ロマンティック」の第1稿が仕上がった1875年、50歳のときに着手され、78年に完成を見た。
気高く、硬軟取り混ぜた第1楽章は、金官群のコラールが印象的で、思わず引き込まれる。
2楽章は、アダージョ。ゆっくりとじっくりと進む時空。ほんとうに美しくロマン溢れる弦の主題。
3楽章はスケルツォ。ワルツ風の旋律もあり、気分の変化に富む楽章。
4楽章は、いきなり第1楽章の導入部の回想から始まり、金管群のコラールと弦が交互に現れながら、じっくりと盛り上がりを見せながら昇華していくさまは見事。

オイゲン・。ヨッフムが1980年、78歳の時にドレスデン国立管弦楽団と録音した名盤がある。激しさとやさしさをきちんと計算し、メリハリのあるアルバムである。録音もいい。
オケもヨッフムの計算に充分に応えている。ハース編の原典版
Total 77:18①21:19②19:15③13:03④23:41

ブルックナー 27 ヴァントの6番

2009-12-13 | music/classic/Bruckner
シンフォニー6番を作曲中の1880年、ブルックナーは夏に休暇に鉄道でスイス旅行に出かけた。各所で多くの女性に関心も持ったといい、大自然のすばらしさも満喫したことだろう。この自然を愛好する気持ちが、この交響曲の中でのびのびと表現されている。ベートーヴェンの交響曲第6番『田園』とよく似た趣があり、この曲は“ブルックナーの田園交響曲”と呼ばれることもある。しかしリズム動機が全曲を貫くところや「田園交響曲」にない激性や輝かしさはブル6独自の境地だ。

オケの実力は、ブルックナーなど、和音が重要な部分を占めるとたいへん気になる。20年にわたり、ブルックナーを振っていたギュンター・ヴァントが、1995年にハンブルグで、手兵の北ドイツ放送交響楽団を指揮したライブは、さすがヴァントが3番と6番を得意としていただけあって、堅牢で、構成力もしっかりしている。各パートのバランスもよく、アンサンブルもいきいきと、よく鳴っている。
Total 55:07 ①16:37②15:57③8:50④13:41 原典版である。

はじめは、なんの思いもなく、ある意味で苦痛を伴っていた6番。
全体を通して、リズミカルで行進曲のようなフレーズ、そして、流れるような哀愁のある民族音楽のようなやわらかなフレーズが入れ替わり立ち代り出てくる。勇気とやすらぎを与えてくれる。
第2楽章の美しくもやさしい3つの主題が、絡まりながら盛り上がり、静に消え行く。敬謙さと崇高さがここにある。
第3楽章は、力強くもブルックナー和音が冴える。澄んだ楽章。10分もなく、一番短い。
いきいきとフレーズ渦巻く第4楽章。一気にフィナーレへ。明日へ。

ブルックナー休止もないので、全体を通してひとつの流れるような印象が強い曲である。
総じて勇気とやすらぎを与えてくれる。

ブルックナー 26 ヨッフムの6番

2009-11-29 | music/classic/Bruckner
シンフォニー6番の白眉は、ヨッフム64歳の1966年、バイエルン放送交響楽団だ。ヨッフムらしく、荘厳でしっかりしたメリハリのある演奏を聞かせてくれる。
盛り上がりやテンポの緩急など、ヨッフムらしい解釈が随所に散りばめられている。
Total 54:12 ①16:30②17:08③7:54④13:20 ノヴァーク版である。