パンダ イン・マイ・ライフ

ようこそ panda in my lifeの部屋へ。
音楽と本、そしてちょっとグルメなナチュラルエッセイ

日本の不思議な夫婦同姓

2023-10-15 | book
1977年昭和52年生まれ、46歳の社会学者、中井治郎の「日本の不思議な夫婦同姓 社会学者、妻の姓を選ぶ」を読んだ。2021年令和3年12月刊行。

結婚したら夫の姓に。あたりまえと思っていたことを、妻の姓にしたがために起きた現象から過去から今を、そして将来を読み解く。

姓を同一にしなければ結婚できない日本! 
明治の民法の戸主制。家を継ぐこと。次男三男の役割あった。
戦後、戸籍法の戸籍筆頭者と住民基本台帳法の世帯主。

なんと世界で夫婦同姓は日本だけ。結婚したカップルの96%が男性の姓を選択する今。

土地や家業に縛られていた戦前は家族誰もが稼ぎ手。
高度経済成長期の都市への流入・一極集中。男は仕事・女は家庭.
その後の共働き社会。工業社会からの変化。男稼ぎが不安定化する脱工業化社会。1980年から40年で専業主婦は半減。
それでも専業主婦は500万世帯以上。共働き世帯は1200万世帯。追い抜いたのはバブル崩壊の1991年。
恋愛市場や婚活戦線で立ち尽くす若い男たち。
結婚しなくても幸せになれる時代になぜ結婚するのか。自立が試される今。そのリスクと不安。

選択的夫婦別姓が目指すもの。あくまでも選択の一つ。100家族あれば100の家族の形。旧姓の通称使用でOKの反対派。

読み応えあり。日本の社会。
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山本一力 いっぽん桜

2023-10-08 | 山本一力
2002年平成14年6月から2003年平成15年2月まで、月刊文芸誌に掲載された4作品を所収した「いっぽん桜」2003年6月刊行を読んだ。

いっぽん桜
大店の口入れ屋井筒屋の頭取番頭の長兵衛。54歳。七代目の重兵衛は自分は隠居し、41歳の息子に身代を譲るので、長兵衛にも身を引いてほしいと告げる。今度の頭取番頭は40歳だ。
12歳で丁稚に入り、手代、結婚、2番番頭、そして47歳で頭取に。妻と娘がいるが、これまで仕事一筋に勤めてきた。なぜ、この俺が・・・。商売敵の千束屋からの話を雇いの誘いと思い込み、井筒屋からはその後音沙汰はない。その長兵衛に魚卸の木村屋伝兵衛から、帳面をみてくれないかと誘いがかかる。これまで通り自分のやり方を持ち込んだ長兵衛に店内から不満が出る。
7年前に家に植えた桜は、植えられたところで枯れずに毎年、花を咲かせたり、咲かせなかったり自分のリズムで生きている。井筒屋のことを「うち」といまだに言う長兵衛も自分の立ち位置に気づき始める。

萩ゆれて
土佐藩の下士、服部兵庫は22歳。妹の雪乃と母志乃の3人暮らし。父清四郎は志乃の薬代のため、出入りの商人からまいないを得るようになる。これが城主に知れて切腹を申し付けられた。父の上役も息子を使い、兵庫を木刀で打ちのめす。その傷をいやすため、海辺の湯治場にいた、兵庫は漁師の娘、りくと出会う。兵庫は武士という身分を捨て、りくと魚屋を営みを始める。志乃と雪乃も組屋敷を出て、ともにともに住み始める。兵庫の親戚は自分の保身のための冷たい視線を注ぐ。いやがらせをする上役たち、2人を温かく見守る雪乃と、りくの父と兄。りくの看病に次第に心を開く志乃。

そこに、すいかずら
日本橋の料亭「常盤屋」の一人娘秋菜が、亡き父が大枚をはたいてこしらえたに雛飾りを、店から舟で菩提寺へ運び出すシーンから始まる。父の治左衛門は5代目で、料亭の2代目だった。紀伊国屋文左衛門、紀文との出会いが、徳川5代将軍綱吉の上野寛永寺の根本中堂の造営に関わることになる。そこで設けた財で、治左衛門は一人娘のために、雛飾りを作る。そして、当時多かった火事に巻き込まれ、秋菜の両親も亡くなる。それから5年、秋菜は立ち直れずにいた。雛飾りは、治左衛門が作った頑丈な蔵にしまわれ、難を逃れていた。

芒種のあさがお
芒種は二十四節気の一つで夏至の前。田植えが始まり、梅雨めいてくる。
江戸の漁村、芝田町の酒屋、伊勢屋徳蔵とおてるは結婚して4年後に子宝に恵まれた。その女の子がおなつだ。徳蔵はあさがおが大好きだった。17歳のおなつが深川八幡宮の祭りに出かけ、江戸でも有名な深川のあさがおづくりの職人の要助の息子、亮助と出会う。しかし、亮助の母、おみよが易断に凝っていて、二十歳まで結婚を許してくれない。結婚できても、易のせいで、暮らしがややこしい。そのおみよも、おなつたちが結婚して4年目に亡くなる。子宝に恵まれないおなつ。亮助と要助の3人暮らしが始まる。
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山本一力 損料屋喜八郎始末控え

2023-10-01 | 山本一力
平成15年2003年6月文庫の「損料屋喜八郎始末控え」を読んだ。4作品のうち、2作品は平成11年1999年5月と12年2000年3月に月刊文芸誌掲載。単行本は平成12年2000年6月刊行。

「万両駕籠」
深川八幡の例大祭。札差の笠倉屋が料亭の江戸屋(女将は秀弥)でトラブルを起こすことから物語は始まる。座敷隅いたのが、蚊帳や布団などの貸出業を生業とする損料屋の喜八郎と連れの嘉介だった。
浪人の一人息子、大畑喜八郎は、剣術の道場で与力の秋山に出会い、配下の同心になった。上司の命令に逆らえず、米相場に手を出した秋山は、大損する羽目に。喜八郎も詰め腹を切らされ同心職を失う。それを救ったのが、先代政八の米屋だった。

武士相手に借金を融資する札差。その借金を帳消しにする幕府の棄捐令が出されようとしていた。阿漕な札差の伊勢屋四郎左衛門に奉行所の籠が迎えに来る。

「騙り御前」
喜八郎30歳。恩義のある先代米屋政八。その息子の米屋を、役者扮する偽の公家と御家人を使い、伊勢屋が騙そうとするのを救う。米屋は、伊勢屋と笠倉屋、御家人、公家を江戸屋に呼び出す。喜八郎は米屋の番頭として、立ち会う。

「いわし祝言」
料亭の江戸屋の板場の清次郎は、同じ店の奥勤めのおゆきと祝言を上げる予定だったが、様子がおかしいと女将の秀弥は、喜八郎に相談する。汁粉屋の源助を聞きこみに立てる。おゆきの家に渡世人の平田家の伝七が、清次郎に40両の貸しがあると訪ねて来る。清次郎は実家の漁師の兄たちのため、船の修繕代を出そうと思案していたが、伊勢屋の手代の長之助に嵌められる。喜八郎は伊勢屋に乗り込む。長之助はコメ相場に手を出し。伊勢屋に大穴を空けていた。

「吹かずとも」
松平定信の棄捐令で、商売が傾いた笠倉屋は、伊勢屋を巻き込み、たくらみを実行する。伊勢谷の借金を返すと大判の金貨を渡す。伊勢屋は、大判を富岡八幡宮の例祭に寄進する。相談を受ける喜八郎。同心秋山を巻き込み、例祭の神輿が練り歩く。
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