パンダ イン・マイ・ライフ

ようこそ panda in my lifeの部屋へ。
音楽と本、そしてちょっとグルメなナチュラルエッセイ

御宿かわせみ(33) 小判商人

2016-11-03 | 御宿かわせみ
小判商人 御宿かわせみ33
 平成17年4月30日 オール讀物平成16年5月号~平成17年1月号12月号を除く

稲荷横の飴屋
お吉の姪が天涯孤独の14歳のお晴を,かわせみに,お石の後の女中にと連れて来た。千春はすぐにお晴と仲良くなる。千春の琴の稽古に出かけたお晴は,近くのお地蔵様があり,おむらという婆さんがやっている飴屋があった。お晴は,その地蔵様の頭を撫でた子らを竹ぼうきでたたくおむらを見る。そのことを東吾に話す。東吾はおむらに疑いを抱く。我が子を竹ぼうきでたたかれた父親が,お地蔵様を押し倒すとその台座から小判が出てきた。

青江屋の若旦那
かわせみで扱う塗物を卸していた日本橋の青江屋には,長男の27歳の成太郎と弟の23歳の好吉がいた。2人は異母兄弟だった。東吾は,成太郎が店を好吉に譲ると話しているのを聞く。好吉は母親が亡くなり,昨年,赤城村から江戸に出てきていた。その頃,質屋に老舗の若旦那が訪れ,偽物を質入れし,金を借り,姿を晦ます事件が続発する。源三郎は,その若旦那が青江屋の成太郎が似ていると言う。東吾は,事件の頃,成太郎が産み親の看病に,祖父祖母や母と幼いころ暮らした中野村へ行っていたことを突き止める。

明石玉のかんざし
明石で明石玉の職人をしている珠太郎36歳と女房のお光28歳,そして子の珠吉がかわせみに泊まりに来る。るいと東吾が,庄司家の菩提寺に行くと珠太郎一家が墓参りに来ていたことを知る。それは,るいの亡き父が亡き母に贈った珊瑚のかんざしを買った日本橋の珊瑚屋の墓だった。東吾は,珠太郎から江戸を出たわけやそれからお光に会うまでの出来事を聞き,母親への橋渡しを頼まれる。珠太郎は15歳で江戸を飛び出し,20年ぶりの江戸だという。母親を訪ねてきたという。珠太郎は,その珊瑚屋のお浅の息子だった。珊瑚屋にはすでに養子が入っていた。お浅は,かわせみを訪れ,珠太郎を冷たく突き放す。しばらくして珊瑚屋が倒産したとかわせみに知らせが入る。

手妻師千糸大夫
長助が,両国広小路の高座の手妻師千糸大夫の評判をかわせみに持ち込んだ。見たくてしようがないお吉は,口実がない。その姿を見た千春が麻太郎と源太郎に相談する。麻太郎と源太郎は事前に見てみようと2人で両国へ出かける。その高座で暴漢に襲われた千糸大夫を助ける。2人の少年を諭す通之進がさすがだ。また,東吾は幼いころ,八丁堀で一緒だったお秋と出会う。お秋は女浄瑠璃講釈師の菊花亭秋月といい,以前東吾が助け,上方へ行っていた。今は,川越の雑穀問屋武蔵屋の内儀となり,子どもも授かっていた。そのお秋が,師匠の一周忌で江戸に出てきたという。東吾も誘われ,谷中の蓮長寺で千糸大夫と出会う。千糸大夫は,先日のお礼にと東吾に,麻太郎や源太郎,そして,蓮長寺にいる孤児を高座に招待するという。千糸大夫の見事な芸に酔いしれる子供たち。お吉は千春の伴で来ていた。粋な物語満載の一編。

文三の恋人
水売りをして兄を探していた文三は,文吾兵衛の口利きで千駄木村の庭師,彦右衛門に弟子入りしていた。彦右衛門は,神林家や麻生家にも出入りしていた。その彦右衛門の近くに尼寺があり,身寄りのないお幸という30歳の女がいた。文三とお幸はお互いを好きになっていた。だが,お幸は尼になる身。文三は22歳で,彦右衛門は,30歳まで嫁をもらうなと伝えていた。

小判商人
長助の蕎麦屋の裏にある質屋,松本屋に泥棒が入り,捕まえると,盗んだものの中に洋銀があった。高山仙蔵は,不公平な通貨の取引により,日本の金銀が海外に流出させている小判商人を追っていた。その高山家に出入りしている麻太郎と源太郎は,高山家にいて,ある男が高山から洋銀を持ってきてくれと頼まれたと言ってくる。麻太郎と源太郎はその男と品川へ向かう。そこには松本屋の内儀がおり,3人は蔵に閉じ込められてしまう。
密かに小判商人を追う,奉行所,源三郎。軍艦操練所の東吾は海上にいて,沿岸警護の手伝いを頼まれる。少年2人を巻き込んで,海上と陸上から大捕物が繰り広げられる。

初卯まいりの日
正月2日にかわせみに泊まりに来たのは,岩槻藩の人形屋,京玉屋の母子,お梅と子の玉之助23歳,そしてその嫁おきみ18歳だった。4日は亀戸天満宮の初卯まいりの日,小春は長助からもらった絵馬を皆の幸せを願い納めるが,あまりの可愛さにもう一枚を長助にねだる。絵馬の職人の久太郎は祖母おまつと2人暮らし。訪ねた長助,るい一行は,おまつが女を叱り飛ばしているのに出会う。女は京玉屋のお梅だった。久太郎は,今戸の焼き物屋の倅だったが,店は潰れ,絵馬の職人になっていた。お梅は久太郎が3歳の時に離縁されていた。運命に翻弄されながらも,健気に生きていく久太郎。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 星野道夫「コヨーテ」 | トップ | どこかでベートーヴェン »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

御宿かわせみ」カテゴリの最新記事