2006年9月刊行。2段組の5センチ単行本を一気に読ませるのは、作者の意図に、中小企業へのエールを感じるからだろう。
赤松徳郎は、40過ぎの2代目社長だ。その赤松運送のトラックが、交通事故を起こした。6歳の子どもを連れたお母さんが亡くなった。死因は、外れたタイヤであった。自動車会社に整備不良が原因とされ、社会から追求される赤塚運送。被害者は訴え、会社の将来を見限る従業員。取引会社は減り、銀行はこれまでの融資の返済を求めてくる。社会・地域は、執拗に赤松を犯罪者として、どん底に陥れる。
ほんとうに整備不良なのか。赤松は他の交通事故の例を入手し、自力で調査を始める。そんな中、社長は、自動車会社側のリコール隠しの臭いをかぎつける。その背景には自分の会社・従業員に対する信頼があるからに他ならない。
捨てる神在れば拾う神あり。苦難に立ち向かう赤松に、他の銀行や警察も救いの手を差し伸べる。一方で、自動車会社でも、その行く末を案じる社員がいた。しかし、硬直化した組織は、いとも簡単に社員を切り捨てる。その仕組みは非情で、隠蔽をスクープしたマスコミさえも、握りつぶす。
同時並行で繰り広げられる、小学校のPTA会長を努める赤松の息子に向けられた教室内での盗難の嫌疑も、家族に対する信頼と、真摯なPTAへの献身が、会長辞任を提案した臨時総会で逆転劇をもたらす。
最後まではらはらどきどきの展開だ。人はいつ、こういう状況になるのか、わからない。社会全体が敵になる状況で、どんな生き方ができるのか。人間は弱い。最後は家族、そして人のつながりが支えるということを作者は言いたいのだろう。
赤松徳郎は、40過ぎの2代目社長だ。その赤松運送のトラックが、交通事故を起こした。6歳の子どもを連れたお母さんが亡くなった。死因は、外れたタイヤであった。自動車会社に整備不良が原因とされ、社会から追求される赤塚運送。被害者は訴え、会社の将来を見限る従業員。取引会社は減り、銀行はこれまでの融資の返済を求めてくる。社会・地域は、執拗に赤松を犯罪者として、どん底に陥れる。
ほんとうに整備不良なのか。赤松は他の交通事故の例を入手し、自力で調査を始める。そんな中、社長は、自動車会社側のリコール隠しの臭いをかぎつける。その背景には自分の会社・従業員に対する信頼があるからに他ならない。
捨てる神在れば拾う神あり。苦難に立ち向かう赤松に、他の銀行や警察も救いの手を差し伸べる。一方で、自動車会社でも、その行く末を案じる社員がいた。しかし、硬直化した組織は、いとも簡単に社員を切り捨てる。その仕組みは非情で、隠蔽をスクープしたマスコミさえも、握りつぶす。
同時並行で繰り広げられる、小学校のPTA会長を努める赤松の息子に向けられた教室内での盗難の嫌疑も、家族に対する信頼と、真摯なPTAへの献身が、会長辞任を提案した臨時総会で逆転劇をもたらす。
最後まではらはらどきどきの展開だ。人はいつ、こういう状況になるのか、わからない。社会全体が敵になる状況で、どんな生き方ができるのか。人間は弱い。最後は家族、そして人のつながりが支えるということを作者は言いたいのだろう。