パンダ イン・マイ・ライフ

ようこそ panda in my lifeの部屋へ。
音楽と本、そしてちょっとグルメなナチュラルエッセイ

浄土三部経

2019-12-29 | book
父が亡くなった2004年から、少しずつ仏教に興味を持つようになる。亡くなり読んだ仏説阿弥陀経。毎朝読む御文章。時折唱える正信念佛偈。

2005年1月に上野で買った「蓮如文集」(1985年1刷、2003年9月11刷)、2010年に購入の「正信偈のこころ 限りなきいのちの詩」(2001年)、次に、2019年1月に購入した「五帖御文」と「拝読用御文章」。そうくれば、次は浄土三部経でしょう。

岩波文庫の「浄土三部経(上・下)」(上1963年1刷、2003年4月43刷、下1964年9月1刷、2002年12月46刷)を昔、購入。これがなかなか手ごわい。

そこで図書館で借りたのが、1984年昭和59年発刊の「仏教を読むシリーズ 捨ててこそ得る 浄土三部経」。1931年昭和6年生まれ、1995年平成7年逝去の仏教学者の花山勝友著だ。30年前の本だが、よかった。

仏教は葬式。お経の言葉も難解。読んだだけでは、その内容まではわからない。今を生きる私たちに何の意味があるの。そういう問いに真摯に応える。

浄土三部経といわれる「仏説無量寿経」「仏説観無量寿経」「仏説阿弥陀経」。この大きな位置づけ。インドから日本にもたらした7高僧。そして、今の意義。四苦八苦は鎌倉時代と今と変わらない。

学者ではない在家止住の我々が、易行として、仏の世界に触れる。浄土教で今を生きるためのガイドブック。讃仏偈、重誓偈、仏説阿弥陀経、正信念仏偈も原文と現代語訳のルビ付きで掲載されている。

極楽、浄土、如来・菩薩、阿弥陀、比丘、三信・三心・一心とは。

Thank you amida
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給食の歴史

2019-12-23 | book
2018年11月刊行の「給食の歴史」を読んだ。著者は、京大の准教授、藤原辰史。日本の給食史の検証と来たるべき時代の給食のあり方を提議した一冊。

関東大震災、凶作、戦災。敗戦と給食という国家プロジェクト。占領後から1970年、1954年の学校給食法の制定。給食センター化に代表される行革の時代を経た給食。今も学校では無理やり食べさせる指導は消えていないと言う。また、過去も現在も貧困や書いていない暴力のゆえに学校給食が唯一のまともな食事である子どもがいる。

給食を「学校給食」とし、その基本的性格を「家族以外の人々と、貧富の差を棚上げにし、食品産業のビジネスの場で、不思議な雰囲気を醸し出しつつ、同じ時間に、同じ場所で、同じものを子どもたちが一緒に食べる」とした。

藤原は、給食をアメリカ、政治、企業、学校による直接的かつ集団的な権力行使だ。また、将来の人材育成と市場開拓のための強制的な食生活の改造だという。他方で、未来を構想する魅力的な舞台だと言う。スポンサーは自治体保護者、脚本家は献立を考えたり、調理をしたりする人達、演出家は教師、主役は子どもたちだ。

給食はこれまでどのような場であったのか、これからどのような場になるのか。制度、理念、思想も描く。「思想なき実践は、羅針盤なき航海と同じだ」と言う。大人が子どもに行使する権力の温床であり、大人の経済的欲望の在り処であり、はたまた、子どもの生を開花させ、命をつなぐ現実がある。

2005年には食育基本法が制定された。しかし、2016年には、厚労、農水、文科3省の推進体制が農水1省になり、トーンダウンした。しかし、その食教育の実践は多くの萌芽をもたらしている。地産地消、ファミリー給食だ。しかし、貧困救済という給食史開闢以来の役割はゆるぎないそして、給食費未納問題。

読者それぞれに給食にまつわる思い出があろう。いつの時代も給食は、社会を映す鏡でもある。脱脂粉乳、先割れスプーン、一体型ランチ皿、食物アレルギー、生乳、米飯給食、食中毒、異物混入、ソフト麺、添加物、調理員の健康被害、民営化・合理化。

福祉、教育、農業、災害という多元的な効果をもたらしてきた給食。セーフティネットではなく、確かな道としての給食。それは、子どもたちの生存を美味しい食事で確保することにある。また、あらゆる学びの基本である。

まえがきで藤原は、「給食の歴史は、政策構想を担う大人たちの怠慢の記録であり、それに敢えて対抗した大人たちの勇敢さの記録である」とした。時間がない方なら、本編は無理なら、まえがきを読んでいただきたい。
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蓮如 御文章ー拝読のためにー

2019-12-22 | book
日常勤行(おつとめ)では、釈迦如来の仏説阿弥陀経、親鸞聖人の正信念佛偈を唱え、最後に御文章を拝読するとある。1998年平成10年の蓮如没後500年を機に出されたのが、1999年平成11年1月第1刷、手元には2017年平成29年9月第15刷がある「ご文章 ひらがな版‐拝読のために‐」だ。

ひらがな版とあるが、本文は漢字とひらがなで表され、漢字はすべてひらがながふってある。拝読のためにとあるのは、31日分、31通のご文章が記載されている。1帖から6通、2帖から4通、3帖から2通、4帖から5通、5帖から14通だ。日付ごとに違うご文章が記載してあるのだ。そして31通外に3帖1通、4帖1通、5帖2通の4通がある。

毎朝、仏壇に向かい、念珠を手にかけ、灯明を点け、線香を焚く。朝、生かされていることを知り、今日1日に向かう。
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味を訪ねて 吉村 昭 62

2019-12-15 | 吉村 昭
2010年(平成22年)10月発行の吉村明の「味を訪ねて」を読んだ。吉村は2006年(平成18年)に亡くなった。

1968年から1994年まで、雑誌に掲載された順に、自宅周辺、取材先などさまざまな地域で経験した「食」についての34のエッセイ集。

手帳に地域別に店を書きこんでいる食通の著者の良い話。東京はもちろん、札幌から沖縄、長崎、宇和島など食べ歩き気分に浸れる。吉村は、代金で測る食通なら、自分はその逆である。食通でない食べ物の随筆もあっていいと。

ペテン、タラバ蟹の記憶、梅干しにカツオ、味覚極楽、苦しいときの寿司だのみ、家の近くの富寿司、カステラの手づくり三百五十年の味、長崎半島でフグとカマボコ、、舌の味、宇和島の不思議なうどん屋、美しき村に家族と遊ぶ、千鳥足の教訓、札幌の夜、焼酎のこと、増量作戦、市場で朝食を…、洋食屋さんらしい洋食屋、沖縄のビフテキ、苦手の店、燈台もと暗し、私と浅草、取り寄せ物、午前様から更生、ホテルと旅館。食べる?、思い出の一杯、上野・根岸、浅草、日本酒は酒の要、年越しそば、食物の随筆について、鯊釣り、結婚式と披露宴、湯沢の町の準住民、そばという食べ物、日本酒は花盛り。

吉村は、ゴルフや賭け事はしないと言う著者は、毎晩の晩酌を楽しみに欠かさない。ビール、日本酒、焼酎とウイスキーの水割り。
日本酒好きの著者。一時は日本酒が安穏とした酒蔵によりおいしくなくなり、晩酌から消えたという。しかし、焼酎ブームを機に発奮したのか日本酒がおいしくなったと。しかし、価格の高さ、意匠の凝りようには警鐘を鳴らす。
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今だから「方丈記」 6 水木ワールド

2019-12-08 | book
2013年4月にマンガ古典文学として、水木しげる(1922年(大正11年) - 2015年(平成27)が描いた「方丈記」。2018年3月刊行の水木しげる漫画大全集092で読んだ。

220ページ。方丈の庵を水木しげるが訪れるところから始まる。保元平治の乱、平家から源氏への展開。そして災害。そして跡継ぎ争い、和歌、琵琶、そして大原、日野と長明の生きざまを、時に原文を交える。

水木ワールドと古典の融合。無常に満ちた方丈記の世界の展開がある。
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天に遊ぶ 吉村 昭 61

2019-12-01 | 吉村 昭
原稿用紙10枚程度の短編を21篇集めた「天に遊ぶ」(平成11年(1999)発刊)を読んだ。夫婦や男女の絆や縁などを通じ、人生の断片を語る。
「短編を書くのがこんなに楽しいとは思わなかった。天空を自在に遊泳するような思いで書き続けた」という。短くもそれぞれ人の寂しさを感じさせる吉村節を堪能アレ。

取材で訪れ、天明の飢饉の文書に、後に書いて貼った鰭紙(ひれがみ)を通し、今とつながる機縁を書いた「鰭紙」
後輩の後添えの話。美人のお相手の同居人とはだれか。「同居」
取材で訪れた農村。帰りに警察に尋問される。「頭蓋骨」
作家の葬式に現れる老婆。葬儀場に緊張が走る。「香奠袋」
戦時中の思い出。お妾さんと2人の子供。「お妾さん」
桜田門外の変の現場責任者の水戸浪士の関鉄之助の病気を探る。「梅毒」
50過ぎの川瀬が別れた妻、君枝に喫茶店に呼び出される。川瀬の同僚の年下の男に求婚されたという。吉村にはめずらしい艶のある作品。「西瓜」
子どもの頃、一時期共に暮らした男と親戚の葬式で出会った。彼は、小さい頃謝って弟を殺していた。「読経」
大津事件で国賊と呼ばれた津田。彼の遺族を取材で訪れた。「サーベル」
半年前に定年退職した浦川は、妻の伯父が亡くなり葬式に行こうとしていた。妻が悔やみから帰ってきた。恋愛結婚だった伯母に伯父の死を伝えると。「居間にて」
大学時代の友人の家が強盗に遭った。友人との共犯を疑われた私は、警察に出頭する。「刑事部屋」
獣医の磯貝は、肺がんの犬を治療する。「自殺」
パトカーが磯貝の病院にやってきた。心中の片方が犬だった。「心中」
戦時中の思い出。「鯉のぼり」。出征中の父に代わり孫と暮らす祖父。その小学生に入って間もない孫がトラックに轢かれて亡くなる。
従妹の芳恵が男と行方がわからなくなって数年。ある町にいることが知らされる。面会を頼まれ向かった町。「芸術家」。
戦時中の思い出。「カフェー」。煙草屋の主人と自転車屋の2階に越してきた男。その男に誘われてカフェーに出入りするようになった主人。
「鶴」。同人誌の仲間の54歳の死。葬式に行く私。仲間が作家をあきらめた25歳も年上の同居の女性と会う。
「紅葉」。終戦後、冬には閉じる湯治場での出来事。隣部屋の男女の営み。男は殺人で捕らえられる。
「偽刑事」。八丈島での取材。飲み屋で、ある男を刑事だと嘘をつく。その嘘に苛まれる。
「観覧車」。2度の浮気で妻の玲子と別れた島野。月に1回の一人娘との面会で、玲子への思いが募る。男の性(さが)
姉が病気で亡くなった。その葬式に昔、姉と結婚を誓った久保田が現れる。「聖歌」。

「鰭紙」から「偽刑事」19篇は1997年1月号から翌年7月、「観覧車」は1996年1月、「聖歌」は1999年4月に掲載。

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