パンダ イン・マイ・ライフ

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音楽と本、そしてちょっとグルメなナチュラルエッセイ

流人道中記

2024-05-05 | book
1951年生まれ。浅田次郎の「流人道中記」を読んだ。平成30年2018年7月から令和元年2019年10月までの新聞小説。令和2年2020年3月初版。

不義密通の罪に断じられた格式高い旗本、青山玄蕃。切腹のところを蝦夷福山の松前氏預かりとなる。その押送の係を命ぜられたのが、200石取り町奉行与力、19歳の石川乙次郎だった。この2人の道中で起こるさまざまな出来事を玄蕃は飄飄と関わっていく。乙次郎はその都度、巻き込まれることになる。

乙次郎は30俵2人扶持の足軽同心の次男坊だったが、婿養子の口がかかる。妻は15歳のきぬ。乙次郎との同行を命ぜられた50過ぎの最古参の同心、田中弥吾郎は出立早々出奔してしまう。

杉戸宿 旅籠ゑびす屋の女主人おはま。41の厄日前に夫に先立たれ、子どもはいない。宿を閉めようとしていた。
中田関所 御番頭の加藤軍兵衛
佐久間宿 按摩の得悦 
芦野宿 懸賞のかけられた強盗の稲妻小僧の勝蔵、勝蔵と同郷の幼馴染、33歳の飯盛り女のお栄、賞金稼ぎの浪人、40過ぎの野老山(ところやま)権十郎、
仙台領の大河原宿 常陸の国宍戸松平家の家来、神林家の部屋住みの次男坊30の内蔵助。親の仇を追って奥州を徘徊すること7年。相手は奥州訛の俳諧好みの佐藤竹亭。本懐を祈願するため訪れた仙台ご城下の大崎八幡で1人の雲水と出会う。仙台城下の薬種問屋千歳屋の丁稚、16歳の亀吉は強盗の引き込み役に嵌められた
有壁宿 生類憐みの令に端を発する宿村(しゅくそん)送り。病を得た旅人が故郷に帰りたいを願ったらその街道の宿駅はその意思をかなえてやるというもの。奥州盛岡の百姓お菊。45歳。伊勢詣での帰り、一関の宿で重体となり、宿村(しゅくそん)送りを願い出る。沼宮内宿へ。そこに青山玄播と乙次郎が通りかかる。

青山玄播が自分の出自と今回の不義密通の件を乙次郎に語り始める。

道中、さまざまな人との出会いがエピソードとして語られ、最後に玄播の己が生き様で大団円を迎える。浅田次郎の新聞小説ならではの緊張感のある各章のストーリー。引き込まれ、上下2巻を一気に読んだ。
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