パンダ イン・マイ・ライフ

ようこそ panda in my lifeの部屋へ。
音楽と本、そしてちょっとグルメなナチュラルエッセイ

だいじょうぶだよ,ゾウさん

2016-04-29 | book
「だいじょうぶだよ,ゾウさん」は2005年11月刊行の絵本。作者はローレンス・ブルギニョン1963年ベルギー生まれ,画家はヴァレリー・ダール1969年ブリュッセル生まれ,訳は柳田邦男だ。

年老いたゾウは,幼いネズミと暮らしていた。そのゾウも死が近づいていることを感じていた。しかし,ゾウの墓場に行く橋が壊れていていけない。幼いネズミも行くなと言う。

そんな二人に時間は流れ,ネズミも成長し,ゾウは老い,だんだん弱ってくる。ネズミはゾウとの別れを自覚するようになる。そして,ネズミは,壊れた橋を直し始める。

壮大な草原の中で,2人の生活があった。しかし,人は衰え,いつかはなくなる。遅かれ早かれ,その準備を始める時がくる。

熊本地震のすごさ。東北や阪神淡路にはない,継続性。17世紀前半にも東北,熊本というパターンがあったという。その時は次には小田原だった。
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なきずぎてはいけない

2016-04-24 | book
命のバトン。人が生まれ,成長し,結婚し,子どもを授かり,育てる。そしていつかこの世からいなくなる。生老病死。この四苦の中で人は生きる。祖父から孫へのメッセージ,絵本の「なきずぎてはいけない」を読んだ。2009年5月刊行。

ほっこりとした絵。ともに遊び暮らした孫との永遠の別れ。その孫はいつか家庭を持ち,子を授かり,その子に子ができ,いつか祖父と同じ立場になる。

その一瞬に込められたメッセージを,作者の内田麟太郎は訴える。熊本地震で,多くの人が亡くなり,困窮する人たちがいる。望んだ死などない。なぜ,あの人なのか。運命のいたずらか。内田は福岡市,絵のたかすかずみも北九州市。ともに九州州出身だ。

「ないてもいい さびしいのだもの でもなきすぎてはいけない わたしがすきなのは わらっていた おまえだから」「なくなったものは だれも いきているものの しあわせをいのっている ただそれだけを」。
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ロゴスの市

2016-04-17 | book
乙川優三郎の「ロゴスの市」を読んだ。2015年11月30日刊行。1953年生まれの直木賞作家。少し年上だが,同世代。大学時代と就職,そして,年齢を積み重ねていく男女の恋の物語。

自分の理想を追い求めながらも狂おしいほどにお互いを思う弘之と悠子。大学時代に英語学を専攻した2人は,やがて,翻訳と同時通訳の道を歩み始める。昭和55年に20歳という設定。職業としての不安定さにさいなまれながらも徐々にそれぞれの地位を築いていく二人。他に出版社勤務の道を選んだ田上,修道女としてアジアに施設建設を実現する小夜子が2人に絡んでいく。

ロゴスとは言葉,論理という意味。この小説で登場するフランクフルトで開催される本の見本市が題名の由来か。

日本にいて,翻訳を生業とする弘之は,翻訳の意義,生活の不安定さに悩む。悠子は世界を股にかけ,同時通訳というプレッシャーと闘っていく。すれ違う二人は,やがてそれぞれの家庭を持つことになる。55歳で悠子は飛行機事故で亡くなる。小夜子から聞かされた悠子のある事実に弘之は呆然となる。

英語と日本語という2つの言語に挟まれ,その行き来を生業とする2人は,境遇と言う宿命にもがきながら生きていく男と女のせつなさ。言葉という共通の糧に翻弄されて生きていく。大学時代と壮年に舞台となる房総半島の海がいい。久々に出会った重厚な大人の恋の物語だ。
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居酒屋ぼったくり 2

2016-04-17 | book
「居酒屋ぼったくり 2」2014年10月,秋川滝美。
働き者の包丁
アキが元気がない。いつも元気で明るい彼女が,会社組織の中で居心地が悪いのだという。
自分が役に立っていないのではないか。置いて行かれ感。なぐさめるシンゾウとマサ。
そんなある日,ヤマちゃんとケンさんがやってきて,会社組織での見解を美音に伝える。

登場料理 厚揚げ肉詰め,ジャガイモのそぼろ煮,野菜海苔巻き,スパニュシュオムレツ
登場酒 米鶴 盗みぎんじょう粗走り発泡にごり(山形県),酒一筋 ヤマハ委純米吟醸 時代おくれ(岡山県),益子の炎(栃木県)
登場人物 アキ シンゾウ,マサ,ヤマちゃん,ケンさん

トマトが嫌いな男たち
トマトとナスの注文を受けた八百源のヒロシは,美音に息子のトマト嫌いを相談する。ぼったくりに来たイクヤやトモのカップルも,イクヤはトマトが苦手だった。閉店間際に来る要が美音に子供の頃の話をする。
登場料理 厚揚げ肉詰め,ナスとトマトのグラタン,冷凍プチトマト,ポテトパンケーキ
登場酒 竹鶴ピュアモルト
登場人物 商店街の八百屋 八百源のヒロシ ,ヒロシの息子 ヨシカズ ,ケンさんお部下イクヤ,イクヤの彼女 百貨店に勤めているトモ,要

跡取りの憂い
馨が風邪をひき,代わりに馨の彼氏,野球の試合に出ている馨の同級生,哲にサンドイッチを持って行くことになった美音。そこで相手のピッチャーをしていた要と出会う。その後,哲はぼったくりに久々に現れる。親の喫茶店を継がずに会社員になったことを悩んでいた。そこにいたリョウとトクも話に入ってくる。トクは,弟子が,実家の植木屋を継がないと親ともめているという。
登場料理 風邪ひきスープ(ミネストローネ風),サンドイッチ,豆大福,はんぺんの付け焼き
登場酒 東一(あずまいち)(佐賀県)
登場人物 哲,要,トク,リョウ

美味しい餃子の焼き方
常連のウメの息子ソウタの嫁カナコはスーパー呉竹に勤めている。美音が買い物に行くと餃子のおいしい焼き方を教えてくれと頼まれる。ぼったくりでつくり方を確認する2人。餃子は美音と妹の馨,今は亡き両親との思い出のメニューだった。
登場料理 焼き餃子(味噌だれ,酢醤油,塩胡椒),水餃子
登場酒 タカラ 料理のための紹興酒,麦太郎・麦次郎・餃子浪漫(栃木県)
登場人物 カナコ,ウメ,要

鉄板の上の思い出
アキラが夏バテで食欲をなくしていた。そこにいた商店街の獣医,茂(しげる)先生とウメが思い出の食べ物の話を始める。
茂先生は鉄板焼きそば,鉄板スパゲティだった。美音は,アキラ,ウメ,茂先生の前で鉄板料理を作る羽目になる。その鉄板はその昔父がとろろステーキを作るために揃えたものだった。とろろが苦手な姉妹に要がよいアイデアを提案する。
登場料理 梅干しの竹皮包み,鉄板焼きそば,鉄板ナポリタン,とろろステーキ
登場酒 龍力 純米酒 ドラゴン緑 (兵庫県)
登場人物 アキラ,ウメ,茂先生,カンジ,要

満点と赤点
ぼったくりに1組の夫婦がやってくる。馨のボーイフレンド,哲の両親,父のアツシと母のユミコだった。その時,商店街の寄り合いが終わり,店にいた薬局のシンゾウ,八百屋のヒロシ,魚屋のミチヤだった。新しい形態の店がどんどん出てきて,いずれも既存の店はいずれも危機感をもっていた。夫婦は客が減る喫茶店に悩んでいた。
ウメと要の語り。それが美音から馨,そして哲から両親に伝わる。10人70点より,3人満点がよい。
登場料理 鰯の生姜煮,鰯の煮つけのムニエル,アサリニンニクバター
登場酒 しそ焼酎・しそ小町(宝酒造),越乃景虎 洞窟貯蔵酒 特別純米酒(新潟県),出羽桜 桜花吟醸酒(山形県),山鶴 蔵人の詩 特別純米酒(奈良県)
登場人物 哲の両親,シンゾウ,ヒロシ,ミチヤ,ウメ,要

心温まる食べ物に,おいしいお酒,そこに集まる人間模様。若い美音と馨が両親の思いを胸に切り盛りする居酒屋。
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居酒屋 ぼったくり

2016-04-10 | book
「居酒屋ぼったくり」を読んだ。新聞書評から。2014年5月刊行。作者は秋川滝美。2012年からオンラインで作品を公開しているという。
東京下町の商店街の中ほどにある,居酒屋。その名も「ぼったくり」。カウンター8席,小上がり座敷を入れても20人入るかどうかの小さな店。30歳になろうかという美音(みね)と5歳下の馨(かおる)姉妹が営む小料理屋。季節感あふれる家庭料理を出す。それでお金とるんかい,ぼったくりだ。そこに訪れる常連さんや近所の人々との交流を描いて,一話完結。1話ごとに料理と酒の銘柄が登場する。7作品収録。常連さんが登場するので,登場人物も掲載しました。

料理を題材とした出版物も多い。漫画では,クッキングパパが長期連載かな。時代小説もあるし,流行りと言えば流行かなあ。

暖簾の向こう側
トクの弟子の若者。仕事がいやになったと現場に来ない。現場に穴が開き困り果てるトク。
登場料理 おでん,卵黄の味噌漬け,菜飯,かき菜のおひたし
登場酒 諏訪泉の特別純米(鳥取県)
登場人物 ヨシノリ 商店街の肉屋,トク 70代 足場組む仕事,シンゾウ 商店街の薬局店 料理に厳しい,ウメ 商店街の近くで独り暮らしの女性。孫もいる。焼酎の梅割りを楽しみにしている。

思い出に付ける付箋(タグ)
アキがぼったくりにやってくる。仕事で何か面白くないことがあったらしい。
登場料理 人参の葉の炒め物,スペシャル茶漬け,鶏の煮こごり,茸雑炊
登場酒 厳選辛口吉乃川(新潟県)
登場人物 アキ 二度目の年女を済ませた女性。仕事に疲れてやって来る,謎の男,リョウ 就職2年目の男性

丑の日の孝行娘
近くに住む小学生の早紀が,スーパーの前にいた。疲れている両親に鰻を買って食べさせたいという。弟と2人で小遣いを貯めているが,高くて買えない。早紀に店を手伝言う代わりに一肌脱ぐ美音。
登場料理 鰻のちらし寿司,ミョウガの梅酢漬け,あつあつの小鯵南蛮,福島の桃
登場人物 謎の男

汗かき職人の夏
アキラの後輩が,お客にクレームを言われて悩んでいた。汗かきでエアコンの取り付けに行くと,臭い,暑苦しいと嫌がられるのだという。
登場料理 なすの田楽,豚肉味噌巻き,豆腐の揚げっぱなし,手羽先スペシャル風,ゆかりとおかかのおにぎり,キュウリ一本漬け
登場酒 朝日山 百寿盃(新潟県),北斗随想(北海道)
登場人物 アキラ 30歳の家電量販店の工事請負会社に勤めている,カンジ アキラの後輩の汗かき,マサ 植木職人のお年寄り,謎の男,ウメ

拾った子猫
ウメが近くの公園で子猫の泣き声がするという。マサもそう言ってぼったりくにやってきた。居合わせたリョウとアキは公園へ行き,生まれたばかりの5匹の弱った子猫を連れてくる。
その晩は猫を美音と馨が引き取ることに。謎の男が登場し,猫の世話を申し出る。謎の男の名前が要(かなめ)とわかる。
登場料理 鮎の塩焼き,冷やし茶漬け,カマンベール生ハム巻き,トマトと生ハムのカッペリーニ
登場酒 上善如水(新潟県),梅錦風神(愛媛県),NIGHT MUSIC(輸入)
登場人物
ウメ,リョウ,アキ,マサ,シンゾウ,要,要の友人

夏休みの過ごし方
ヤマちゃんとケンさんは50歳になろうとする会社員。子どもたちの夏休みの過ごし方で話をしている。夏休みの自由研究の提案する美音。家事をするお母さんの負担軽減も図り,一石二鳥。その方法は料理のお手伝いレシピの提供だった。
おまけ:謎の男,要の携帯に電話がかかる。女性らしい。
登場料理 枝豆,おつまみ素麺,素麺チヂミ
登場酒 ヒューガルデンホワイト(アサヒビール)
登場人物
ヤマちゃんとケンさん 50歳になろうとする会社員
マサ,要,ウメ

ゴーヤの苦み
ウメがぼったくりにゴーヤを持ってくる。流行りで栽培したものの,たくさん生って困って持ってきたのだった。そこにリョウが後輩のリョウを連れてくる。ホームシックで沖縄に帰りたいという。そこで美音はぼったくり風ゴーヤチャンプルを出すことになる。
登場料理 ゴーヤチャンプルー,ゴーヤのおひたし,めはり寿司
登場人物
ウメ,リョウ,ノリ リョウの後輩。沖縄生まれ,要,アキラ,シンゾウ

要と美音の仲中が進展しそうでしないのがよい。
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御宿かわせみ(26) 長助の女房

2016-04-03 | 御宿かわせみ
御宿かわせみ26冊目「長助の女房」1999年8月 オール讀物 平成10年8月~11年5月

老いの坂道
町奉行所の定廻り同心の新田彦左衛門は養子大一郎が、同じ吟味方同心の娘を嫁に迎えた。その結婚式風景。
引退しても現職が忘れられない彦左衛門と大一郎のいさかい。結婚式で一緒になった町火消人足改役の同心の原久蔵も隠居した。
その原は琴の師匠を囲っていたが、いさかいを起こし凶行に及ぶ。隠居後の2つの道。
東吾が大一郎夫婦に説く、どの役にもそれなりの役目があるとするシーンが印象的。
江戸の湯船
深川で船で風呂を提供する湯船の船頭、50過ぎの権助が殺される。
そして、船頭の七之助と岡場所のお俊が殺される。
お俊は、幼馴染の大工、弥吉が10年貯めたお金で身を引き受け、2日後に弥吉と祝言をあげるとこにになっていた。
弥吉には30ぐらいmの姉、おらんがいた。おらんは深川の芸者だった。
嫉妬の深さ。
千手観音の謎
香苗が重陽の節句に使おうと準備した神林家の家宝の千手観音像を壊した。東吾は香苗から相談を受け、重陽の節句に宗太郎の知り合いに別の観音像を借りることにした。
節句に呼ばれた小太郎が、この千住観音像の背中から穴を見つけ、煙草のようなものを見つける。
借りてきた像と神林家の像の謎が解き明かされる。
長助の女房
深川の蕎麦屋長寿庵の長助が,奉行所から褒賞を受ける。神林家,麻生家,畝家からそれぞれお祝いの品が届けられる。
長助の女房おえいは,町で見かけた男が気になる。それは魚屋の清五郎の女房,おときの別れた男,おときの子,清太郎の実の父親の辰吉だった。
辰吉は木場人足で事件を起こし,江戸おかまいとなっていたはずだった。
嫌な予感がしたおえいは,魚屋を訪れる。おえいの活躍。颯爽とした通之進の活躍。
嫁入り舟
麻太郎と千春の姿を見守る東吾。意を決して通之進と香苗に真実を伝えようとするが・・・。
その頃,東吾の講武所で教える高岡兵太郎の父,同心の兵左衛門が亡くなる。
兵左衛門は,兵太郎が生まれるとき,実家の今井家から手伝いに来ていた従妹のお先との間に子供お涼ができた。
兵左衛門は,昨年,妻が亡くなり,お涼を引き取る。お涼は嫁入り先が決まっていた。
兵太郎とお涼の微妙な感情の間に東吾は忠告をする。
しかし,それは将来,麻太郎と千春の姿でもあった。
人魚の宝珠
館林から商売で江戸に来る米問屋の伊兵衛はかわせみに泊まって,親類の娘おすみの離縁話の仲裁に入っていた。
菓子屋の和泉屋へ嫁に来たが2年経っても子ができずにいた。
一旦,かわせみまで連れて帰ったが,なんとか和泉屋へ返したつもりが,おすみは帰っていないという。
おすみは姑と仲が悪かったという。悲しい結末。
玉川の鵜飼」
るいは千絵に誘われ,玉川へ鵜飼を見に行くことになる。
その道中の旅籠で知り合った堀の内の名主の倅,藤之助と母親のおつね,嫁のおいつ。
鵜飼の夜に,いっしょに江戸から出かけた蔵前の大口屋の養子伊左衛門の内儀,お秀がいなくなる。その時,おいつが藤之助もいないといってきた。
翌朝,玉川にお秀の死体があがる。
お秀といい仲の藤之助が疑われる。
唐獅子の産着
神田で大店の3歳の子がさらわれ,10両と引き換えに無事帰る事件が続発する。
犯人は3人の亭主に死に別れ,8人の子がいるお咲で,子どもを使ってやり遂げていた。
しかし,1人,まだ帰らない子がいた。
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