深町秋生の「探偵は女手ひとつ」2016年12月刊行を読んだ。2012年から2016年まで各誌に掲載された6作の短編集。深町は、山形生まれで在住。2004年に「このミス大賞」を受賞し、作家デビュー。ハードボイルド作品を手掛ける。
本作は、山形を舞台に、30代後半の、元刑事、椎名留美が探偵として活躍する。タイトルの通り、山形署に勤務していた椎名は、職場結婚し、退職したものの、夫が急逝し、探偵業を営みながら、小学生の一人娘と暮らす。もちろん、全編山形弁で語られ、雪下ろし、サクランボなどの郷土色の随所に出しながら、夜の街を描き出す。元刑事の警察つながりや、現職の時のネットワークをいかし、依頼者の案件を解決していく。
サクランボ泥棒を捕まえる「紅い宝石」、店内保安員をしていた留美は、少女の万引きに遭遇する。その少女が行方を消した「昏い追跡」。留美の現職時代に高校生でやんちゃをしていた逸平が、強い味方となって、留美に協力する。組の依頼で、失踪した女性たちの行方を追う「白い崩壊」。雪下ろしの依頼を受けていたアパート経営の老人の恵理から頼まれたのは、入居人の男性の女性関係だった。その女性は複数の家を定期的に訪れていた。その背景を知る「碧い育成」。逸平の妻、麗から、逸平の浮気を調べてほしいと依頼を受ける留美。逸平を追うとそこに若い男女を食い物にする夜の世界の犯罪が浮かび上がる「黒い夜会」。訪問販売の男性から女性ストーカーの被害の依頼を受け、対応していた留美は、新たな女性ストーカーと出くわす「苦い制裁」。
いずれも、真実を知りたいという留美の一途さが、彼女の理解者たちに守られ、事件を解決する。そこには、雪国で生活する生活者の視点があり、読後も心地よい。
続編の登場を楽しみにしている。
本作は、山形を舞台に、30代後半の、元刑事、椎名留美が探偵として活躍する。タイトルの通り、山形署に勤務していた椎名は、職場結婚し、退職したものの、夫が急逝し、探偵業を営みながら、小学生の一人娘と暮らす。もちろん、全編山形弁で語られ、雪下ろし、サクランボなどの郷土色の随所に出しながら、夜の街を描き出す。元刑事の警察つながりや、現職の時のネットワークをいかし、依頼者の案件を解決していく。
サクランボ泥棒を捕まえる「紅い宝石」、店内保安員をしていた留美は、少女の万引きに遭遇する。その少女が行方を消した「昏い追跡」。留美の現職時代に高校生でやんちゃをしていた逸平が、強い味方となって、留美に協力する。組の依頼で、失踪した女性たちの行方を追う「白い崩壊」。雪下ろしの依頼を受けていたアパート経営の老人の恵理から頼まれたのは、入居人の男性の女性関係だった。その女性は複数の家を定期的に訪れていた。その背景を知る「碧い育成」。逸平の妻、麗から、逸平の浮気を調べてほしいと依頼を受ける留美。逸平を追うとそこに若い男女を食い物にする夜の世界の犯罪が浮かび上がる「黒い夜会」。訪問販売の男性から女性ストーカーの被害の依頼を受け、対応していた留美は、新たな女性ストーカーと出くわす「苦い制裁」。
いずれも、真実を知りたいという留美の一途さが、彼女の理解者たちに守られ、事件を解決する。そこには、雪国で生活する生活者の視点があり、読後も心地よい。
続編の登場を楽しみにしている。