果たして、ビートルズはなんだったのか。何をなしえたのか。そして、私たちに何を与えてくれたのだろうか。
かつてジョンが語っていた以下のような言葉から、その答えの一つを見つけて出せるような気がします。
60年代は革命が起きた時代だ。金とか階級とかそういうちっぽけなものじゃなく、考え方全体における革命だ。まず、若者の間でおこって、それから次の世代に伝わっていった。ビートルズもその革命の一部だ。革命というより正確に言えば、進歩だね。みんなが60年代という一つの船に乗っていた。僕らの世代は新大陸を見つけに出た船のようなものだ。僕らはその船のマストのてっぺんに立っていたんだ。僕らはその船に乗り込み、自分たちがやれることをやった」。
そして、ポールは「僕らはある種の自由をこの世に与えたと思う。今でも、多くの人たちからビートルズのおかげで開放されたと言われる。僕らはいつだって自分たちに忠実だった。ビートルズの持っていた厳しいくらいの正直さがこそが重要だったんだと思う。僕らは自分たちの意思を曲げずに自分たちの思うことをそのまま言っていた。すると世間の人たちの間で、だれもが正直にものを言ってかまわないんだという考えが広まっていった。」
自分たちに、自分自身に正直で忠実であること、それを率直にありのままに容認したのがビートルズでした。
ロックンロール、リズム・アンド・ブルースやブルースを下敷きとし、それを結晶し、その本質を汲み取りながら、そこに天衣無縫な独自のスタイルを持ち込む、型破りな個性の持ち主であるジョン・レノン。
感傷的な郷愁に満ちた甘く、そして、親しみにあふれたロックバラードを手掛ける一方、パワフルで過激なハードロックも得意とし、すぐれたバランス感覚とふところの深さを持つ、ポール・マッカートニー。
繊細かつしなやかなギター表現にマニアックな追求の後が伺えるジョージ・ハリスン。
シンプルな音に徹した、みごとなリズムキーパーであり、グループの演奏の躍動の牽引者、そして、ユーモラスな持ち味がグループの緩和剤ともなったリンゴ・スター。
ビートルズはそのデビュー時、ビートとシャウトを取り戻しました。そして、感傷と郷愁を色彩豊かに表現して見せてくれました。さらに前衛的で斬新で画期的な試みを実践しながら同時に大衆的な親しみを持ち続けてきました。その作品、歌、コーラス、演奏が明らかにするのは、実は大衆の一歩先ではなく、半歩先である歩みに留めてきた絶妙のセンス、バランス感覚にあったのではないかと思うことがあります。
世代、時代を超えて、なお、親しまれているビートルズの普遍性、なによりもの魅力は、そんなところにあるのではないでしょうか。
1980年12月8日、ジョン・レノンは凶弾に倒れ、そして、2000年11月29日、ジョージ・ハリスンは肺がんのためにこの世を去りました。しかし、ビートルズが残した偉大な音楽資産は今も伝説としてではなく。親しまれ続けています。
さて、最後にもう一曲何かを聞いていただきたい。そんなことで選んだのがこの曲です。
ジョンが個人的に好きだといっていた曲です。「アクロス・ザ・ユニヴァース(Across The Universe)」をお聞きください。
アクロス・ザ・ユニヴァース(Across The Universe)

2011年の2月20日に1回目を掲載した。3年半にわたり,細切れに掲載を始めた。ビートルズの魅力は,それぞれ人によって違うのだろう。
その曲を演奏している人。分析している人。詩が大好きな人。生き様が魅力だという人。このアルバムが一番だなんて,やりだすと大変だろう。
私は,とにかく4人の音楽だと思う。4人のだれが作り,歌っても4人の音楽だと思う。
それにしても1962年にデビューして,もう半世紀を超えた。小学校の時に,東芝のステレオの宣伝で,映画「LET IT BE」のシーンを見て,虜になった。これほど長く,人の心を放さず,虜にする魅力は何か。50の半ばのおじさんが,まだ,毎朝,味噌汁を作りながら台所で聞くのはなぜか。
かつてジョンが語っていた以下のような言葉から、その答えの一つを見つけて出せるような気がします。
60年代は革命が起きた時代だ。金とか階級とかそういうちっぽけなものじゃなく、考え方全体における革命だ。まず、若者の間でおこって、それから次の世代に伝わっていった。ビートルズもその革命の一部だ。革命というより正確に言えば、進歩だね。みんなが60年代という一つの船に乗っていた。僕らの世代は新大陸を見つけに出た船のようなものだ。僕らはその船のマストのてっぺんに立っていたんだ。僕らはその船に乗り込み、自分たちがやれることをやった」。
そして、ポールは「僕らはある種の自由をこの世に与えたと思う。今でも、多くの人たちからビートルズのおかげで開放されたと言われる。僕らはいつだって自分たちに忠実だった。ビートルズの持っていた厳しいくらいの正直さがこそが重要だったんだと思う。僕らは自分たちの意思を曲げずに自分たちの思うことをそのまま言っていた。すると世間の人たちの間で、だれもが正直にものを言ってかまわないんだという考えが広まっていった。」
自分たちに、自分自身に正直で忠実であること、それを率直にありのままに容認したのがビートルズでした。
ロックンロール、リズム・アンド・ブルースやブルースを下敷きとし、それを結晶し、その本質を汲み取りながら、そこに天衣無縫な独自のスタイルを持ち込む、型破りな個性の持ち主であるジョン・レノン。
感傷的な郷愁に満ちた甘く、そして、親しみにあふれたロックバラードを手掛ける一方、パワフルで過激なハードロックも得意とし、すぐれたバランス感覚とふところの深さを持つ、ポール・マッカートニー。
繊細かつしなやかなギター表現にマニアックな追求の後が伺えるジョージ・ハリスン。
シンプルな音に徹した、みごとなリズムキーパーであり、グループの演奏の躍動の牽引者、そして、ユーモラスな持ち味がグループの緩和剤ともなったリンゴ・スター。
ビートルズはそのデビュー時、ビートとシャウトを取り戻しました。そして、感傷と郷愁を色彩豊かに表現して見せてくれました。さらに前衛的で斬新で画期的な試みを実践しながら同時に大衆的な親しみを持ち続けてきました。その作品、歌、コーラス、演奏が明らかにするのは、実は大衆の一歩先ではなく、半歩先である歩みに留めてきた絶妙のセンス、バランス感覚にあったのではないかと思うことがあります。
世代、時代を超えて、なお、親しまれているビートルズの普遍性、なによりもの魅力は、そんなところにあるのではないでしょうか。
1980年12月8日、ジョン・レノンは凶弾に倒れ、そして、2000年11月29日、ジョージ・ハリスンは肺がんのためにこの世を去りました。しかし、ビートルズが残した偉大な音楽資産は今も伝説としてではなく。親しまれ続けています。
さて、最後にもう一曲何かを聞いていただきたい。そんなことで選んだのがこの曲です。
ジョンが個人的に好きだといっていた曲です。「アクロス・ザ・ユニヴァース(Across The Universe)」をお聞きください。
アクロス・ザ・ユニヴァース(Across The Universe)

2011年の2月20日に1回目を掲載した。3年半にわたり,細切れに掲載を始めた。ビートルズの魅力は,それぞれ人によって違うのだろう。
その曲を演奏している人。分析している人。詩が大好きな人。生き様が魅力だという人。このアルバムが一番だなんて,やりだすと大変だろう。
私は,とにかく4人の音楽だと思う。4人のだれが作り,歌っても4人の音楽だと思う。
それにしても1962年にデビューして,もう半世紀を超えた。小学校の時に,東芝のステレオの宣伝で,映画「LET IT BE」のシーンを見て,虜になった。これほど長く,人の心を放さず,虜にする魅力は何か。50の半ばのおじさんが,まだ,毎朝,味噌汁を作りながら台所で聞くのはなぜか。