パンダ イン・マイ・ライフ

ようこそ panda in my lifeの部屋へ。
音楽と本、そしてちょっとグルメなナチュラルエッセイ

鈴木先生

2013-01-27 | book
武富健治の『鈴木先生』を読んだ。2005年6月から2011年11月まで、漫画雑誌に不定期に連載された漫画である。11巻もの。

この漫画を読むきっかけは、テレビドラマ「鈴木先生」である。一昨年2011年4月から6月までテレビ東京系月曜10時からの1時間番組10回であった。ただ視聴率が1パーセントから2パーセント台で、センセーショナルな番組ではなく、終了後にじわじわと人気が出た。その結果、今年2013年1月に映画化された。
映画化に伴う、以前放送されたテレビ版をBSで年末に一気放映していたため、この評判を聞いた家人が見て、おもしろいと言ってきた。DVDを借り、はまりました。題材は過去の学園ドラマと異なり過激、せりふは辛辣、そしてマシンガントークだ。これじゃテレビ番組では見ているほうは辛く、次が楽しみで1週間身が保てない。中学生2ーAのみんなと議論を通してつくりあげる、現代という社会に住む大人と子供世界の葛藤。これほどの言葉を駆使した劇を作り上げる原作を読みたいと思った。

原作はまさに脚本だ。そのまま映像となるまさに劇画仕立ての展開。長まわしのせりふは、漫画の噴出しでは合わないようだ。小説の挿絵を見るようでもある。
鈴木が作り上げる世界は、教師と生徒は対等だからできること。悩み苦しむのは大人子供も同じだということ。いろんな意見があるということ執拗に説く鈴木と、それぞれに、わからないなりに自分の意見を持ち始めた子供たち。中学校と言う成長過程にある年齢だからこそ、この世界が出来上がる。

鈴木は、1970年生まれ。43歳。巻末の参考に見られる読書量と音楽に対する造詣。まさに奇才です。

登場人物の詳細な記述はウィキペディアで見ることができる。はまるとこの記事もおもしろい。まさに「ミッション(使命・任務)」に立ち向かう社会の個々(パーツ)を見るよう。個々の激突。これが鈴木ワールドだ。

次々に送られるミッション。げりみそ事件、酢豚事件、小4と××事件、人気投票事件、昼休み事件、コンパス事件、小川騒動、竹地×河辺事件、鈴木裁判、足子(たるこ)の変、生徒会選挙、文化祭演劇。
それを鈴木の世界観で、ぐいぐいと生徒を引っ張る。それを受け入れ消化し、成長する子供たち。同級生、学校、家庭へと染み入るように浸透していく。絵的には雑なタッチだが、それが内容にふさわしい緊張感をもたらしている。それぞれの巻末解説、カバーの裏にある作者メッセージも楽しみだ。

物流の時代で、DVD,コミックもインターネットで借りることができる。日常、あまりに多すぎる情報量に流されるている日々。その中に偶然出会えて、フィットする作品、しない作品もある。そのドキドキ感、そしてはまったときの感覚は心地よい。
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大根、しめじ、豚肉のしょうゆ炒め

2013-01-20 | food
キューピー3分クッキングで紹介された料理。冬野菜の王者大根。この大根をしょうゆ味でいただく一品。

材料は、4人分
大根:1/2本(600g)、しめじ:(大)1パック(200g)、豚肉(切り落とし):200g+(しょうゆ、酒各大さじ1/2)、しょうが:1かけ、酒:大さじ1、しょうゆ:大さじ1+1/2、塩:小さじ1/3、こしょう:少々、ごま油:小さじ1、油

作り方
1 大根は皮をむき、2cm幅、5cm長さの厚めの短冊切りにする。しめじは根元の汚れた部分を切り落とし、小房に分ける。しょうがは薄切りにする。
2 豚肉は大きいものは食べやすく切り、しょうゆ、酒をまぶす。
3 フライパンに油大さじ1/2を熱し、豚肉を入れてほぐしながら炒め、色が変わったらとり出す。
4 フライパンをきれいにして油大さじ1を熱し、しょうがをさっと炒め、大根を加えて透き通ってくるまで炒め、しめじを加えて強めの中火で炒める。全体に油がまわったら豚肉を戻し、酒、しょうゆ、塩、こしょうで調味し、水分を飛ばしながら炒め合わせ、ごま油で香りをつける。

熱々もおいしいが、冷えても、大根に味が染みておいしい。しめじのしゃきしゃき感も損なわれない。弁当のおかずにもOKの一品
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大寒の山茶花

2013-01-19 | life

明日は大寒。これから来月2月3日の節分まで、寒さ本番だ、そんな中、ようやくサザンカが赤い花を付けた。
心まで寒くなるな。
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生きる悪知恵

2013-01-14 | book
西原理恵子の『生きる悪知恵-正しくないけど役に立つ60のヒント』を読む。12年7月刊行。問いに西原が答える形で進む60篇。
西原は1964年生まれの漫画家。48歳。出生から、家族、大学入試、職歴、結婚、出産、離婚と、ほんとうに波乱万丈の人生を歩んでいる。その彼女が家族、夫婦、会社、恋愛、介護から犬猫、近所づきあいまで雑多な相談を明快、痛快にめった切りする。

ウソも方便、考え方次第。彼女のアドバイスはまさに人生訓だ。そばにおいておきたい心強い一冊。しかし、西原さんは強いなあ。


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ミスティカンツァ

2013-01-13 | food
冬の野菜の王者、ホウレンソウを使った料理のご紹介。新聞に載っていた冬のディナー「ミスティカンツァ」。この名前だけだと大層、手の込んだ料理かと敬遠していたが、よくレシピを読むとなんのことはない、要はホウレンソウのおひたしだ。冬のホウレンソウは、夏より甘みもまし、ビタミンCも3倍という。この機を逃すなである。

材料は4人分
ホウレンソウ1束、クレソン3束、エクストラバージンオリーブオイル大さじ2~3塩適量、コショウ適量

作り方約10分
①ホウレンソウとクレソンは洗い、食べやすい長さ(4から5センチ)に切り、葉と茎に分ける。
②鍋にたっぷりの湯を沸かし、湯の温度が下がらないように塩を入れる。①の葉と茎を別々にゆで、ざるにあげる。
③祖熱がとれたらよく絞って水気を切る。
④エクストラバージンオリーブオイルを加え、手でもみこむように混ぜる。塩コショウを加えてさらに混ぜ合わせる。

クレソンのほか、コマツナ、インゲン、ブロッコリー、キャベツなどでもよいと書いてある。ホウレンソウと言えば、わが家では、しょうゆをかける。それに、ごま、かつおぶしなどをかけて食べる。わさびもいい。無味で苦味のあるホウレンソとオリーブオイル独特の香りと苦味がタッグを組み、塩でしっかりと味がつき、コショウが風味を引き立たせる。シンプル・イズ・ザ・ベストの典型か。

はじめてオリーブオイルと塩コショウで食べてみた。いける。ただし、オリーブオイルが苦手な人はだめだかな。
オリーブオイルは元来好きで、フランスパンに付けてたべると美味。そのまま飲む人もいるとか。果実油なので、フルーツ感覚なのだ。
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七つの会議

2013-01-06 | book
池井戸潤の新刊『七つの会議』を読んだ。2012年11月刊行。池井戸といえば、『果つる底なき』『鉄の骨』『下町ロケット』『空飛ぶタイヤ』など、企業倫理を追求してやまない。

今回は、利潤追求のあまり、強度不足のボルト採用に手を染める企業戦士たち。その一方で、顧客を死なせ、出世競争にいやけがさす職員がいる。「客を大事にせん商売は滅びる」という父の言葉を重く受け止める村西のような重役もいる。人間模様と企業ともに暮らす家族も映し出す。

パワハラ会議によって左遷される営業課長の裏にある真実。
下請けの企業の現実。
27歳で会社に疑問を持ち、環境会議でドーナツの無人販売実現に奔走する女子職員。
営業セクションの秘密に課感づく経理マン。その役員会の果ては。
クレーム処理に追われるカスタマー室。そこで気づく折りたたみ椅子の秘密。企業の中で暗躍する室長。
出世競争にあけくれる幹部たち。隠蔽は企業を守ることか、保身か。
8つの話が、絡み合う。発端から徐々に解き明かされる秘密、保身に走る幹部の復讐の泥仕合、清貧を貫く戦士たち。それでも、企業は変わらないのか。

10年前と同じようにリコールを隠蔽しようとする幹部。親企業の結論も同じだった。その時、大きな爆弾が企業を襲う。
企業の体質とは何か。企業を守ることと顧客を守ることが相反するとき、企業の判断は、そこにいる職員の判断なのだ。
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凸凹サバンナ

2013-01-03 | book
11月11日の新聞書評から玖村まゆみの『凸凹(でこぼこ)サバンナ』を借りた。
玖村は1964年、昭和39年生まれ。48歳。巻末のプロフィールから、なんと20代から作家をめざし、海外・国内と創作に取り組んでいたという。
昨年、2011年に江戸川乱歩賞をとり、今回の作品が2作目。遅咲きのデビュー。

力のある作風。普段、我々の周りに起こりうるさまざまな出来事をモチーフに、人情劇に仕上げた手腕。同時並行的に進むストーリーを鮮やかにまとめあげた。
42歳の田中貞夫は、ヤクザな原田に事務所を借り、1人で弁護士家業を始めた。
30年も連れ添った妻との離婚を望む62歳の男性。アイドル志望の小6の女の子。隣人とのトラブル。原田たちのカモ「新宿の母」が詐欺の手に。
老いた元大学教授を世話した夫婦が巻き込まれた大学とのトラブル。兄の保から頼まれた借金と明かされる貞夫の過去と今。

さまざまトラブルに巻き込まれる田中と田中を巻き込む人たち。登場人物はすべていい人だ。でも、何らかのつらさや悩みを抱えながら生きている。もちろん主人公の貞夫も。
読中に、あたたかいものが体の中を流れる。そんなホットできる小説だ。
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音楽と心

2013-01-02 | book
高橋幸宏の『心に訊く音楽、心に効く音楽ー私的名曲ガイドブック』を読む。2012年8月刊行の新書版。
YMOというバンドで一世を風靡したドラマー。このバンドはギターの細野晴臣、キーボードの坂本龍一と3人で1978年(昭和56年)結成。その高橋の飽くことのない音楽遍歴をまとめたもの。

なんと小学5年生でドラムを買ってもらい、高校生でスタジオミュージシャンとして活躍。1952年生まれというから60歳を数える。ソロアルバムも直近で2009年で、これまでのリリースは22枚というからすごい。

アメリカンポップスに刺激された1960年代、ビートルズや多くのドラマーとの出会い。とにかくすごい情報量だ。

知らないアーチストがほとんど中で、ジョージハリソンのアルバム『オール・シングス・マスト・パス』やサイモンとガーファンクルの「アイ・アム・ア・ロック」「四月になれば彼女は」「スカボロー・フェア」などの曲が出てくると意見の一致に「そうそう」と思わずひざをたたく。出てくるアーチストもユーミン加藤和彦(トノバン)、キャロル、泉谷しげる、はっぴいえんど、サディステック・ミカ・バンドなどなど数え切れない。そして、フランス、アメリカなどのの映画音楽、ボサノバなどさまざまなジャンルとの出会いがある。ほんとうにすごい量の音楽、多くの人との出会い刺激を受けているのがわかる。ましてや60歳でも現役。痛みや寂しさ、恐怖や孤独を求め、裏切られても続いていく自分を感じるという。プロというのはほんとうにすごい。高橋のように、それを職としている日々は常にすごい緊張感のあるものなのだろう。それを今も続けている。

自分は音楽を職としていない。しかし、音楽との出会いがなければ、人生はつまらなく、味気ないものになったのに違いない。心の充足感が無ければ、生きてこれなかったかもしれない。人と音楽との距離や付き合い方は、人さまざまなのだろうが、「心」という絆は共通項なのだ。
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元旦の年明けうどん

2013-01-01 | food
業界のアイデアか策略か、元旦のラジオ放送で、年明けうどん、年明けラーメンの話題をしていた。

年越しそばも、なにやらバレンタインデーのチョコ、恵方巻きの巻き寿司と同じ手合いに感じていたが、ついにここまで来たかと思わせる。さらに今日の新聞折込スーパーマーケット初売りちらしには、この年明けうどん・ラーメンとともに「新春梅干まつり」まで載っていて、すさまじい商魂を垣間見た。しかし、ついつい乗せられ、年明けうどんを作ってみた。うどんの白に紅として梅干なのだ。もちろん赤いかまぼこでもOKなのだが・・・。白に半熟卵の白も加えてみた。

梅干とうどんというのが、いまいちミスマッチな感じがしていたのだが、結構いけた。先入観とは恐ろしいものだ。結局、業界やマスコミに乗せられてしまったのだった。
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無名の虎

2013-01-01 | book
新聞書評から、仁志耕一郎の時代小説『無名の虎』を読んだ。2012年11月刊行。仁志は、1955年生まれというから少し年上の同世代だ。巻末の略歴によると富山県生まれで、40代半ばで小説家を目指す。小説家を目指して13年。江戸川乱歩賞に落ちること10回。やみくもに長編4作、短編1作を応募した年もあったという。2012年に小説現代長編新人賞。本作で、朝日時代小説大賞と、おめでた続きだ。

武田信玄の時代、甲斐の国で、利き腕を失い、戦いでの出世を諦めた雨宮軍兵衛の生き様を描く。
30歳の軍兵衛は、武士の面子の中で、治水に命をかける。男が戦場に出向く間に女性を力を得て、水龍と戦う。
妻と出会いも、義父と息子を洪水で失う軍兵衛。失意の彼を何が立ち上がらせたのか。
サラリーマンでいうと、花形職場を左遷され、黒子の職に生きるリーマンの話。武功を上げ、出生をしていく同僚に自暴自棄になる時もある。槍を捨て、未経験の治水という大事業に挑む。慣れない分野に戸惑いながら、天の力に無力感を感じながら、国の守りに生き様を見出していく。軍兵衛の姿に、今の自分を映し、力をもらうサラリーマン読者も多いことだろう。ただ、頻繁に出てくる地名にその位置がなかなか理解しづらいのが難か。しばらくは巻頭の地図が手放せない。

挿入される甲斐の虎・信玄との会話もいい。現実逃避をして、職を去ることのできるものはいい。人生、勝ち負けではない。役目を全うすることだ。耳の痛い言葉だ。

新年を迎えるにふさわしい作品。読後のすがすがしさ、そして力みなぎる一編。



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