米崎地検の若手検事、佐方貞人の活躍を描く、柚月裕子の最新作『検事の死命』を読む。2003年9月刊行。
4つの物語からなる。
「心を掬う」。出した郵便が着かない。そんな話を佐方が聞きつけ、郵便局を洗い、郵便局員の不正を暴く。手紙に託されたさまざまな人々の想いを大切にした名編。
「業をおろす」佐方の父の無念を心に秘めた人々。その真実が父の友、お寺の住職が13回忌で明らかにする。家族を敬愛する佐方と家族の絆。
「死命を賭ける「死命」刑事部編」。地方の名士の一族の婿養子が、電車でチカン騒ぎを起こす。揉み消しを図る一族。代議士が地検に圧力をかける。その力を跳ね返す佐方。地検や警察の盟友たちの覚悟。そこには綿密な調査に裏打ちされた人を信じる佐方の眼力があった。
「死命を決する「死命」公判部編」。刑事部から公判部に移った佐方は、敏腕弁護士と法廷で闘う。尋問や、新手の証人の登場など、公判という限られた時間の中で繰り出されるジャブやストレート。そして、カウンターパンチ。
正義とは何か。それを貫く強い使命感。そのとらえ方が違う人々が集まる組織。地検内の内部抗争も。
佐方のさわやかな姿勢に拍手を送りたくなる。
佐方の正義を信ずる家族や職場のスタッフたち。まさにそれが佐方の使命感を支えているのだ。
『最後の証人』『検事の本懐』に続く3作目。この作品は読みやすく、凝縮したエッセンスに満ち溢れている。作者の力が上がったと感じる。快読の1冊だった。
4つの物語からなる。
「心を掬う」。出した郵便が着かない。そんな話を佐方が聞きつけ、郵便局を洗い、郵便局員の不正を暴く。手紙に託されたさまざまな人々の想いを大切にした名編。
「業をおろす」佐方の父の無念を心に秘めた人々。その真実が父の友、お寺の住職が13回忌で明らかにする。家族を敬愛する佐方と家族の絆。
「死命を賭ける「死命」刑事部編」。地方の名士の一族の婿養子が、電車でチカン騒ぎを起こす。揉み消しを図る一族。代議士が地検に圧力をかける。その力を跳ね返す佐方。地検や警察の盟友たちの覚悟。そこには綿密な調査に裏打ちされた人を信じる佐方の眼力があった。
「死命を決する「死命」公判部編」。刑事部から公判部に移った佐方は、敏腕弁護士と法廷で闘う。尋問や、新手の証人の登場など、公判という限られた時間の中で繰り出されるジャブやストレート。そして、カウンターパンチ。
正義とは何か。それを貫く強い使命感。そのとらえ方が違う人々が集まる組織。地検内の内部抗争も。
佐方のさわやかな姿勢に拍手を送りたくなる。
佐方の正義を信ずる家族や職場のスタッフたち。まさにそれが佐方の使命感を支えているのだ。
『最後の証人』『検事の本懐』に続く3作目。この作品は読みやすく、凝縮したエッセンスに満ち溢れている。作者の力が上がったと感じる。快読の1冊だった。