パンダ イン・マイ・ライフ

ようこそ panda in my lifeの部屋へ。
音楽と本、そしてちょっとグルメなナチュラルエッセイ

『光圀伝』

2012-11-25 | book
冲方 丁(うぶかた とう)の『光圀伝』を読む。ご存知水戸黄門といわれた、水戸藩2代目藩主の物語。7歳から死する73歳までを描く。
751ページの長編。長い。とにかく、さまざまな人々が登場し、去っていく。

長男を差し置いて世子(跡継ぎ)となる苦しみ、戦国の世から太平の世への移り変わりに武から文への天下取りに発奮。
義を貫き、兄の子を世子とし、水戸藩の安定と繁栄に苦悶する姿。組織活性化、外部からの斬新な空気の導入、後を託す若者の育成など、現代の組織論にもつながる。
その間、幾たびも訪れる父、母、妻、子、友の死。生きることは死ぬこと。そして、今を生きることが同時に語られる。
記憶は一時、記録は永遠。いろいろなことを考えながら、この分厚い本を読破した。

冲方 丁は1977年昭和52年生まれ。SF作品も多く、2009年の時代小説『天地明察』が2010年7回目の本屋大賞。映画かもされた。
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「一生一途に」

2012-11-23 | book
今年2月11日に紹介した大正7年(1918)生まれの竹浪正造さんの漫画絵日記の第2弾「一生一途に」が、この8月に出た。大陸での終戦と引き上げから平成24年2月までが、ほのぼのとしたタッチで描かれる。

昭和62年、61歳でこの世を去る連れ合いとのくだりは壮絶だ。このような状況下でも記録することが、竹浪さんにとって大きなボリュームを占めていたのだろう。前回、家族のことは触れられたので、子供たちが独り立ちした後の暮らしぶりが大半を占める。平成に入り、町内会や地域活動模様が詳しい。平成元年に結成された「ツル多はげます会」がいい。男やもめでもいろんなことにチャレンジし、人を喜ばせる。

戦中からこれまでの記録は、田舎の暮らしといえども、その時その時のさまざまな課題を突きつけてくる。戦争が狂わす人の人生、もたらす心の傷跡。子供たちが去ってからの空の巣・夫婦2人世帯、高齢化社会の中、一人世帯でいかに暮らすのか。

56年間、2000冊にも及ぶ絵日記は、感傷とともに今を語る。
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衣笠祥雄はなぜ監督になれないのか

2012-11-18 | book
11月7日の新聞で、3月に開催されるWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の日本代表のメンバーが発表されたとの報道があった。監督は、広島東洋カープで、第13代(1989~93)、16代(2001~05)と10年間監督だった山本浩二。それにつけて、15年連続Bクラスという球団から3人(投手:大竹、今村、内野手:堂林)が選出された。なぜ、今年ノーヒットのーランを達成した前健は選ばれなかったのか。

『衣笠祥雄はなぜ監督になれないのか』を読む。2011年12月発刊。著者の堀治喜は、1953年群馬県生まれ。
なぜ、カープは優勝できないか。選手はなぜ、この球団を去らなければならないのか。後ろ髪を惹かれる思い出FAする選手、監督の経歴や、球団の歴史、球場の意見、赤ヘルの誕生、Cマークのいわれ、黒字球団といわれる広島東洋カープの経営、ホームグラウンドの命名の経緯など、ファン必読かな。などなど、ファン必携の一冊かな。

そういえば、今年タイガースで引退をしアニキ金本のコメントに、残念だったことに広島で優勝できなかったことがあった。そして、なぜ、広島最終戦で、あれだけのセレモニーが可能となったのか。

企業は何のために存在するのか。社会的使命か、利益優先、社主の意向、株主至上主義、消費者論理か。
地域に根ざし、裾野を広げるサッカー。それに比して、閉鎖的な感覚が強いプロ野球。国民的スポーツとなった野球の頂点、プロ野球の存在とは何かに迫る。
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夜明け遠い街角

2012-11-11 | book
またまた、ハードボイルド作品。10月14日の新聞書評から。

昭和60年1985から平成3年(1991)まで続いたバブル景気。失われた10年といわれるこの時期を、北海道の札幌の0.56平方キロ、薄野(ススキノ)という歓楽街を舞台に、淡々と、そして記憶を記録として描いた『夜明け遠き街』。キャバレーニュータイガーの黒服、副支配人、サブマネの黒頭悠介37歳が主人公のハードボイルド作品集。平成24年8月刊行。

派手なアクションも色気もない。しかし、一人一人の人間描写が鮮やか。主人公、黒頭は決してスーパーマンではなく、市井の人だ。淡々とした日々の生き様が、逆に格好いい。これがハードボイルドの本道だよなと言いたくなる。

ぼったくりの常連客を救う黒頭を描く「引き屋の街角」
「クラブ麗」の幸子がだまされた。金を奪い返す黒頭の活躍。「預金残高一億一千円也」
ホステスのナオミがやっているフィリピンパブが焼けた。地上げを背景にした「フィリピン・パブの女」
ススキノに開店した大阪の「くいだおれ小路」の社長、浅原の豪遊、「百万円の花籠」
ホステスの比奈子はマンションに3つの部屋を持っている。「マンション・コレクター」
浅原が選挙資金として用意した2億円。ホテルのスイートルームのベットで蒔かれる百万円の札束。「赤ヘネと札束の日々」
黒頭の知り合いのヤクザが救いを求めた。賭博の帰りに失踪した会社社長。「夜明け遠き街」

デテイルが時代考証済みで、ポケベルが出てくる。50年たてば、歴史資料にもなりうる。

作者の高城 高(こうじょう・こう)は、1935年生まれというから、すでに80歳近くになる。大学在学中1955年、昭和30年に作品を発表し、一躍脚光を浴びた。
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東直己の「旧友は春に帰る」

2012-11-04 | book
新聞書評から。ハードボイルドの東 直己(あずま なおみ)の「旧友は春に帰る」が紹介されていた。いわゆるススキの探偵シリーズの10冊目。
主人公の「俺」が、、旧知の「モンロー」から連絡を受ける。沖縄に行っていた彼女から「今、ススキノにいるけど、逃がしてほしい」と。見張られている彼女に何があったのか。雪まだ残る札幌が舞台。

なんとか逃した「俺」。そして、贈られてきた「ブツ」。それを狙う組員たち。行方不明になった大学教授を探す娘。追いつ追われつの「俺」と関わるエピソードと、とりまく多くの登場人物たち。男臭さが持ち味のハードボイルドだが、女性にとにかくやさしい「俺」も今回の魅力か。普段、推理小説はあまり読まないのだが、スピード感や人物の魅力がいい。スリルと読後の清涼感が魅力だ。

東は、他に探偵の畝原シリーズ、榊原健三シリーズがあるという。作者の東は、1956年というからまさに、同年代。、ましてや1992年に作家デビューというから36歳の遅咲きのミステリー作家。札幌という地方で活動するという、独立独歩の姿勢が頼もしく、新たな作家との出会いがあった。
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2012-11-03 | life


今日は、秋晴れとなった。今年、たわわになった我が家の柿を取る。生り年かな。
秋の遠い青色の空と、しぶいオレンジがいいコントラストだ。
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