パンダ イン・マイ・ライフ

ようこそ panda in my lifeの部屋へ。
音楽と本、そしてちょっとグルメなナチュラルエッセイ

城プラモのおとも 続

2020-05-31 | book
次に教科書で有名な山川出版社が、MOOK第1号として2009年10月に発刊したのが、「日本の城」だ。

これは、国宝・国指定重要文化財を網羅しており、206ページの巻末に「城郭の国宝・国指定重要文化財」の一覧がある。北海道・東北で16、関東が9、北陸・東海で28、近畿で27、中国・四国で21、九州・沖縄で26の計127城を掲載している。もちろんオールカラー。紙の寸法は、JISB5の182㎜×257㎜。重たい。

各城には縄張り図ではなく、古地図を採用。ふんだんに空撮を含めた写真を取り入れている。基本は見開き2ページか1ページ。しかし、姫路城は8ページにも及ぶ。江戸・彦根・熊本は6ページ、松本・大阪は5ページ、小田原・名古屋・犬山・二条城は4ページ、松江3ページなど、メリハリを持たせている。
この「日本の城」を菊版152㎜×218㎜にコンパクトにしたのが山川出版社の「ハンドブック 日本の城」だ。「日本の城」同様オールカラーだ。223ページ。2016年6月刊行


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城プラモのおとも

2020-05-24 | book
城づくりといってもプラモデルの話。もちろん、市販のものを使う。その時に参考にしているのが、城の紹介本だ。近年の城ブームで多くの本がでている。

プラモづくりに欠かせない要素は、まず、カラーであること。石垣の色合いや雰囲気を伝えていること。そして、天守のまわりの配置や木々の様子がわかる航空写真があることの3つだ。もちろん、成立過程や特色も大切なのだが、城歩きや城郭研究をしているわけではないので、その程度だ。図書館で10冊ぐらい見たが、この2冊で、今は満足している。

まず、小学館の「日本名城百選」。2008年9月発刊。歴史、特徴、縄張り図、そして空撮の見事さ。そしてもちろんオールカラーだ。構成は日本名城ベスト10、そして北から南へと計100の城が紹介される。AB版210㎜×257㎜の大きさで迫力もある。271ページ。ただ、カラーがきれいなので、紙が厚い。つまり重たい。

ちなみに松山城のページ。名城ベストテンの第5位。松山平野の中心にある勝山標高132メートルの山頂を石垣で一体化した。日本有数の高石垣の城でランクインだ。広い3ノ丸には野球場や陸上競技場、市民会館や県立図書館、NHK松山放送局まである。その空撮の写真のページだ。
それを童友社のプラモでみるとこうなる。

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夜明け前 6

2020-05-17 | book
作者は明治19年を維新以来の大きな過渡期という。新しい日本を求める心はようやく多くの若者に萌してきたが、封建時代を葬ることばかりを知って、誠の維新が成就する日を望むこともできないような不幸な薄暗しさがあたりを支配していた。


大河小説。夜明け前。明治を維新を契機に、内乱、政争、外圧、天地を揺るがす制度の変革。宿場という情報と人の行き来する場所に身を置く旧制度の申し子。そこに国学という復古の信をもって乗り切ろうとする人々。時代の流れを縦軸に、青山家という旧家に生まれた知識人の半蔵の人生を横軸に置いたこの作品。昭和4年という1929年、つまり100年近く前に書かれた作品とは思えない、今でも通じる文体、色あせない迫力で迫る。読み応え十分。

岩波文庫4冊セットで読んだ。
第一部上1969年1月第1刷2003年7月改版2018年4月第15刷412ページ
第一部下1969年2月第1刷2003年7月改版2016年14月第14刷377ページ
第二部上1969年3月第1刷2003年8月改版2018年3月第12刷369ページ
第二部下1969年4月第1刷2003年8月改版2018年4月第12刷433ページ

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夜明け前 5  第2部 下

2020-05-10 | book
夜明け前 第2部 下巻
父祖伝来守ってきた本陣問屋庄屋3役の廃止の中、旧庄屋の改称の戸長と学校の世話をする学事掛の役に邁進する平蔵。しかし、木曽の森林を巡る山林事件。耕地も少なく農業も難渋で生活のもとでは森林しかない。新政府はそれを許さない。33カ村の総代としてを信州松本に向かう。地方の実情に応じ地域の住民の期待に応えてほしいと訴える。しかし、その行動の前に戸長を解かれる半蔵。失意の中、結婚間近のお粂が、家で自刃する、木曽谷の旧家に生まれ育ったお粂はなぜ自刃したのか。幸いにも一命をとりとめるが、地域住民のため奔走した半蔵は家も妻も家族も顧みる時間がなかった。半蔵は打ちのめされる。半蔵43歳。神道に行く道を定めた半蔵は、祖先がその建立に寄与し、眠る万福寺からの別れを決断する。
明治7年に半蔵は神社に仕え、新しい生涯を開きたいと東京行きを思い立つ。再び生きると。寺子屋方式から欧米の学風を取り入れる教育の変革。変わりゆく東京。知り合いの縁故を得て、教部省に一時奉職することになる。しかし、本当の思いはどこか古い神社に勤めたいというのが本意だった。その頃、岩倉、大久保らの欧州訪問の間、西郷らの征韓武政力論が政府を動かそうとしていた。帰りくる古代ではなく、思いがけない近代だった。現実の仕事に幻滅し、辞職を決意する。行っても行っても思うようにならない。そこに飛騨の水無神社の宮司に推薦する話が舞い込む。時代・東京の変化へのあこがれ、そして山中で時代に取り残され埋もれてしまう焦り。維新を先導した国学の衰退と長い鎖国から解き放たれた西洋から来る洋学、廃仏毀釈で危ぶまれた仏教の復興。半蔵は、飛騨行きを前に、皇居から行幸に行くが扇を投げ入れてしまう。献扇事件。明治8年1月に判決。2月上旬に馬籠へ帰る。長男宗太が18歳、半蔵は家督を宗太に譲り、44歳で隠居を決める。吉左衛門の隠居は66だった。
4年後、明治12年のころ、木曽路にイギリス人。鉄道敷設の下見。明治。街道筋で働く人たち。町人と百姓を兼ねたような街道人。長い武家奉公を忍び、顎で使われる機械のような生活に屈服してきたものたち。宿場・本陣・問屋・傳馬・宿人足・七里飛脚の廃止。長い街道生活の中で、内では封建制度が崩壊し、外には外国の勢い。あまりに大きな時代の大変態に精神に変調をきたし、様々な病、突然の死を迎える者多し。
4年余りの飛騨、水無神社での暮らしを経て、子弟の教育に余生を送ろうと馬籠に帰る半蔵。隣の伏見屋の旧友の45歳での伊之助の死。4年の生活。新しい太陽の輝く時を待ち受けた。政府の分裂の西南戦争。祭政一致から諸外国の例で政教分離へ。神道事務局からの神官への月給も減り、平田門人の誇りも打ち砕かれる。斎の道を進むべく頼った飛騨から破壊されたような人として帰ってきた。
明治14年。半蔵が51歳。宗太の下の弟、3男森夫13歳と4男和助を勉強のために東京に行かせる。お粂が嫁ぎ先の木曽福島から東京京橋に夫と住んでいた。しかし、半蔵の心は晴れない。生涯に成し遂げえないものを後進に期待していた。平田国学の隆盛である。しかし、これも西洋の学風が理を考え極めるに賢いことを認識していた。
明治17年、青山の家が傾き始める。土地や家屋を処分しようとする宗太。宗太に癇癪を起し、止めに入った妻、お民を傷つける。半蔵は、東京へ出かけ、森夫、和助に会う。懐かしい東京の人々。しかし、そこには不平等条約の撤回に向け、西洋化に進む流れがあった。
宗太との別居。先代、吉左衛門と集めた和漢の書。しかし、今は日の目を見ず、今後もその時は来ないのか。半蔵は、先祖が関わり、眠る万福寺に火をつけようとする。青山家は座敷牢を作り、半蔵を追いやる。敵が、恐ろしい奴がやってくると半蔵。狂気に苛まれる。明治19年、息を引き取る。56歳であった。
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夜明け前 4 第2部 上

2020-05-06 | book
夜明け前 第2部 上巻

鎖国から開国、幕政から王政復古。時代の流れが日本に押し寄せる。神戸、大阪、京都の様子が描かれる。
伏見鳥羽の闘いそして、神戸三宮で起きた備前藩の英吉利人襲撃事件。新政府と英吉利。旧幕府と仏蘭西、中立をとる亜米利加。泉州堺の旭茶屋の仏蘭西軍への土佐家中襲撃事件。和蘭、英国、仏国の三国大阪、京都参内。300年もの間、閉ざしてきた日本。その間、外の力を借りることなく、独自の文化を育んできた東洋の国を垣間見る外国の人々。

東征軍の中山道。馬籠の半蔵。混乱の日本。尾州(尾張藩)の保護下にあるというものの不安はぬぐい切れない。薩州、長州、土州らの東征は道すがらの各藩の瀬踏みでもあった。美濃から飛騨にかけての諸藩も参加する。尾州、彦根、会津を助けた大垣藩も。しかし、藩内は紛糾していた、
とことんやれの歌とともに、4日間にわたり馬籠峠を越していく。しかし、人々はこれらを見物の対象でしか見なかった。そして江戸城総攻撃の中止と開城。新政府と旧幕府の混乱は馬籠にも押し寄せる。
お粂13歳、宗太11歳、
江戸城の尾州お預かり。代々本陣、問屋、庄屋を務めた祖先、このような激動の時代にめぐり合わせたのが幸福なのか、国許へ国許へと街道を通る江戸の外様大名、紀州の上屋敷下屋敷の男女4000人の人々が300年来住み慣れた江戸を離れる。物価上昇に反する百姓一揆。民家には新政府の信用も薄い。半蔵38歳。東京遷都。会津落城。東北戦争の終結。
身分や世襲、主従関係その他の方形的なものの打破。そして助郷や関所の廃止など宿場の改革。問屋の廃止。革新と破壊。吉左衛門は古希。版籍奉還。尾州徳川は名古屋藩知事へ。
吉左衛門の死。太陽暦へ。四民平等。本陣、庄屋、名主は戸長、副戸長へ。武家の地盤も無くなる。18歳のお粂の縁談。お民は妻籠本陣の兄、伊平次訪問。武家の宿の本陣廃止で
家も壊すことに。お粂は約束の家からの破談。どこへも行きたくないと言い出す。郵便制が木曽路にも。伊平次は郵便事務を引き受け、世へ出ていく。半蔵42歳。城郭も無用の長物と壊される。
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夜明け前 3 第1部 下

2020-05-05 | book
夜明け前 第1部 下巻
喜左衛門は体調もよくなり、半蔵の仕事ぶりが気になる。当時、当たり前であった世襲の悲哀。時代は、攘夷行動のピークに。下関のアメリカ商船発砲や、生麦事件賠償金を発端とした薩摩英国戦争の記載。また、御所における長州派の下野などが語られる。半蔵は、ますます京都の動きが気になり、家業に身が入らない。足元の馬籠の様子も変化を遂げている。参勤交代の減や武家や公家のあわただしい人の動きの増加による業務増に対する人々の反発に手を焼く。また、浪人の増加や世情の不安を背にした殺伐とした行為も増える。
本陣とは公用兼軍用の旅舎。問屋(といや)は、武家のための食糧や武器などの輸送の場所。街道の強請と脅迫の実例

木曽十一宿を代表し、半蔵を含め3人の庄屋が定助郷の設置を幕府に要望するため、江戸へ向かう。しかし、なかなか色よい返事が来ない。半蔵が10年近く前に来た江戸。定宿はこの前と同じ十一屋。
そして、水戸浪士の動向。尊王と攘夷を結び付けた水戸。天狗党として筑波で蜂起するも敗れ、中山道を西へ加賀に向かう千余人。多くの水戸義士の悲劇。その結果、水戸は歴史から遠ざかる。街道の混乱を紹介。思想背景の平田篤胤の支持者は武士に少なく、庄屋や本陣問屋、医師に多く、地方の名士であった。そして、参勤交代制度の復活も諸藩の心はすでに幕府を離れ、各自で発展の道を模索する。海運業の発達、海外への留学、兵制や物産の萌芽があった。それは木曽の地元、尾州も例外ではなかった。御三家の一つであってもだ。
江戸や大阪で起きた物価高騰による裕福な家への打ちこわし。木曽谷の飢饉。第1次長州征伐と将軍家の威信喪失。ええじゃないか騒動の木曽谷への来訪。。大政奉還と王政復古。半蔵は、木曽谷にいて、祝杯を酌み交わし、建て直しの日の到来に喜びをかみしめる。

お粂12歳、宗太10歳。
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夜明け前 2 第1部 上

2020-05-04 | book
夜明け前 第1部上巻。
55歳の当主、吉左エ門は、16代目となる。馬籠宿の要として、家を守ってきた。険しい谷と川に挟まれた風景がとにかく目の前に迫る。武家や商人が、馬や牛が、もの、情報が、街道を行き来する。粛々とその通行を円滑にする任務を果たす青木家の人々。息子の半蔵は、外来の仏教や儒教ではなく、国学に目覚めていた。

黒船が来襲。開国の中、ただあわただしい江戸行きの人たちに、江戸の緊張感だけが馬籠に伝わってくる。今でこそ、インターネットやテレビ、ラジオ、新聞などマスメディアが発達しているが、当時の情報源は、人の口と手紙しかない。
青木家の祖先が神奈川、三浦にあると知り、半蔵は、江戸から開国直後の三浦半島へ。その旅程も詳細だ。荷役の牛を担う牛行司と、業務を差配する問屋との争いや、近隣の農家を大名の通過に伴い労役につかせる助郷という制度も。井伊直弼や岩瀬肥後、坂下門外事件、和宮降嫁、生麦事件、参勤交代の負担軽減など幕末の出来事も語られる。人々は京都へ向かうようになる。

半蔵は結婚し、3人の子、お粂、宗太、正己を授かる。そして吉左エ門が病に倒れ、半蔵は当主になる。吉左エ門の治癒を願い、御嶽へ参るシーンで1部上巻は終わる。412ページ。

半蔵は、家を守るというこの時代の当たり前の風習に日々追われている。一方で、宿場という情報の集約地に住むことから、時代が確実に変わりつつあることを肌に感じている。このままではいけないと思いながらも、この地で生活することしかできない自分にジレンマを感じ続ける。

大河小説の予感である。
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夜明け前 1 

2020-05-03 | book
「夜明け前」は、島崎藤村(1872年3月25日(明治5年2月17日)- 1943年(昭和18年)8月22日))が57歳の時、昭和4年1929年から7年1932年までの4年間、年4回にわたり雑誌掲載された。歴史小説の大作だ。岩波文庫全4巻を読んだ。昭和4年というから発表から90年。しかし、読んでみると、とても今の時代小説と思えるほど、文章がすんなり入って来るのにびっくりした。

時は幕末。中山道の木曽十一宿の一つ、美濃境の馬籠(まごめ 現在の長野県に隣接する岐阜県中津川市馬籠)宿の本陣、問屋、庄屋の3役を務める青木家が舞台。藤村の父がモデルと言われている。「木曽路はすべて山の中である」から始まる。
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