パンダ イン・マイ・ライフ

ようこそ panda in my lifeの部屋へ。
音楽と本、そしてちょっとグルメなナチュラルエッセイ

空飛び猫

2018-08-26 | book
アシューラ・K・ル・グウィン。アメリカの女性作家、SF作家。1929年生まれ。2018年、今年の1月22日に亡くなった。代表作はゲド戦記。我が家にも全6巻が揃っている。

そのグウィンが、絵本を書いていると知り、図書館で借りた。訳は村上春樹。1993年に第1刷。「空飛び猫」。Catwingsだ。1988年に刊行された。今から30年前、グウィンが60歳の時の作品。村上はこの表紙を見て、これを訳さずにいられようかと向かったという。

都会の薄汚れた危険極まりない喧騒の街。人、犬、ネズミ、自動車、トラック。そこに生まれた4匹の猫。なぜか4匹には羽が生えていた。ジェーン・ダビー母さんは皆を一人立ちさせる時が来たと、セルマ、ロジャー、ジェームズ、ハリエットを旅立たせる。そして、新しい夫、トム・ジョーンズさんと暮らすことを決意していた。

4匹は町を抜け、工場地帯を抜け、森にたどり着く。初めて降り立つ土や草の地面。そこにはさまざまな鳥たちや魚、怖いフクロウ、やかましいアライグマなどの動物たちがいた。危険がない場所などどこにもない。楡の木の洞に住む4匹の猫たち。そして、ある日、ハリエットが人間の子供を見かける。8歳の女の子スーザン。そして、12歳の兄のハンク。近くの農場の子供たちだった。子猫たちは母さんから、人間の良い手、悪い手を教わっていた。
翼を持った子猫たちが旅を通して成長していく姿。50ページほどの絵本。思わず繰り返し5回読んだ。読むたびに発見がある。味わい深い。
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孤独のすすめ

2018-08-19 | book
五木寛之が老年にかかる自分の生き方を、そして、これからの高齢者の生き方、行く末を語る「孤独のすすめ‐人生後半の生き方‐」を読んだ。2017年7月刊行。図書館にリクエストしたが、すごい予約の人数で数か月待った。

老いとともに孤独を恐れる。かつては毎日仏壇に手を合わせることで、自分もいつかご先祖様と同じ世界に旅立つのだと念じていた。自分の死生観を託せる宗教を見つけ、学ぶことは死への恐れを振り払ううえでかなり有意義だ。
アメリカ人は運命に対して最後まで闘うべきという。自分は他力を信じる。運命を受け入れて大きな力に任せる。
アンチエンジングのアンチは、老いることを悪としている。必ず訪れる老いを受け入れ、そのうえで新しい展開を考えるべきだ。年齢にあらがうアンチではなく、自然の摂理に寄り添うナチュラルエイジング。

年を重ねるごとに孤独に強くなり、孤独のすばらしさを知る。孤立を恐れず孤独を楽しむのが、人生後半期の充実した生き方の一つ。

中国では人生を青春、朱夏、白秋、玄冬と4つの季節に分けて考えた。この順に巡っていくのが自然の摂理。後ろを振り返り、一人静かに孤独を楽しみながら思い出を咀嚼すればよい。だれにも迷惑をかけないし、お金もかからない。
登山の時代は終わった。これからは下山の時代。人生の下山期しか見えないものがある。人生の黄金期は若者時代、現役世代というのが通り相場だが、実社会からリタイアする時期こそがクライマックスだ。

体の不具合が出てくるが、治すのではなく治めること。治療ではなく、養生だ。

心配なのは、嫌老の考え。世代間の対立がなにをもたらすのか。嫌老社会から賢老社会へ転換すべき。老人の能力を活かせ。

さまざまな定年後や老後本が出ては売れ、そして消えていく。読まなければ不安が解消できない。人間とは煩悩の中にある動物なのだ。

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生きていくあなたへ

2018-08-12 | book
日野原重明さんが逝去される前に、口述で記録をとった「生きていくあなたへ‐105歳どうしても遺したかった言葉」を読んだ。2017年9月刊行。
日野原さんは、明治44年、1911年生まれ。2017年7月18日に逝去された。聖路加国際病院院長を務めた。

105歳。そう遠くない未来に自分が死ぬことはとても恐ろしい。死ぬことから逃れられないし、逃れなくてもよい。今を生きている自分の命を輝かせることが、死と一つになった生をいきるということ。
今までたくさんの親しい人を亡くした。でもむしろ生きていた時よりも、その人の姿が鮮やかになっていく。死は新しい始まりだ。
現実に変えられないことがたくさんある。その現実の中で、真心を込めて生きる。
病は苦痛をもたらすが、これまで無知だった自分をいさめ、感謝という恵みをもたらしてくれる。
亡くなった人のことを胸においてその人のことをイメージし続けていると、そこに本当の私が見えてくる。
こんなにも・・・しているのにと思う自分がいる。まず、自分の心からやわらかくしてみては。
別れは悲しい。でも別れは出会った本当の意味を教えてくれる。
家族とは何か。ともに食卓を囲む存在。食事の大切さ、すばらしさ。
本物の苦難を乗り越えた夫婦は真の友達になれる
悲しみに出合った時、人間はその悲しみを乗り越える力を持っている。
苦しいとき、逆境にあるときこそ人間の根源に出合うことができる。過去の自分を脱ぎ捨てよう。キープオンゴーイング。前に進み続けよう。
運動不足より感動不足が深刻だ。
働くとは何か。会社でどんな待遇か、どれだけ稼いでいるか。ではなく、自分が生きていることがどれだけ社会に還元できるかだ。
これから何度も苦難に出合う。でもその苦しみが大きいほど、大きい自己発見がある。それを超えて自分の時間を人々に捧げる。
最後のインタビューが2017年1月。

新聞記事で日野原さんが100歳の時に10年日記を買われたとあった。100歳で10年に日記。それに触発されて2013年に10年日記を購入した。今年で6年目を迎えた。
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ヘンテコノミクス

2018-08-05 | book
「ヘンテコノミクス」は2017年11月刊行。副題に「行動経済学まんが」とあるように、まんがで経済学を語る。行動経済学とは、これまでの経済学では説明しきれない人間の経済活動を人間の心理から解明しようとする学問だという。人は安い、かっこいい、質がいいという理由だけで行動するのか。そこには人間的な原理が横たわる。

叱るだけでは壁の落書きはなくせない、セールスポイントを逆説で、延長保育を有料にしたら、思い出の品の価値、なじみの店を替えたら後ろめたい、身内にライバルを出現させる効果、相手が喜び言葉を最後に、松竹梅の中間どころを選ぶ心理、ファーストインプレッション第一印象に支配される、中身ではなく服装が与える影響、均等分配と上昇分配の違い、ものは言いよう、目先の損を嫌う心理、ただほど怖いものはない、言葉にだまされる。23の人間心理を描き出す。

経済学というとむつかしそうだが、普段、私たちが行う購買のシーンで、あるあると思わせる心の行方。
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布袋草の連日咲き

2018-08-04 | life
猛暑。まさにその言葉通り、動くのが億劫というよりも怖い、恐怖心を覚えるほどだ。

そんな恐ろしい夏に、布袋草が金曜日2輪、土曜日1輪と咲いた。

初めてのこと。連日咲き。



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