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パンダ イン・マイ・ライフ

ようこそ panda in my lifeの部屋へ。
音楽と本、そしてちょっとグルメなナチュラルエッセイ

ベートーベンのヴァイオリン協奏曲(3)

2010-05-05 | music/classic/Beethoven
ふくよかでやわらかいベートーベンのヴァイオリン協奏曲

ユーディ・メニューイン(1916年-1999年)はアメリカ合衆国出身のヴァイオリン奏者。イギリスでも活躍した。80歳を超えるまで現役として活動を続けた。
1953年にイギリスで録音したモノーラルCD。37歳のメニューインの生き生きとした演奏。ロンドンの名門、フィルハーモニア管弦楽団が、ドイツの巨匠、ウィルヘルム・フルトヴェングラー(1886年-1954年)が亡くなる1年前、67歳というまさに親子ほどの違う2人の演奏である。

ベートーベンを弾くならフルトヴェングラー先生だ、と公言はばからなかったというメニューン。第2次世界大戦後にスイスに隠遁していたフルトヴェングラーと初めて協演したのも、この協奏曲であった。

管弦のスケールの大きさは、さすが、フルトヴェングラー。そして、メニューインの澄んだ、ふくよかな音色。フルトヴェングラーは、この若手のヴァイオリニストを、まさにお釈迦様の手のように、ゆったりと、じっくりと歌わせている。

Total 44:06 ①24:01②9:42③10:23

ベートーベンのヴァイオリン協奏曲(2)

2010-05-04 | music/classic/Beethoven
ウクライナ生まれの20世紀を代表するヴァイオリニスト、オイストラフが、じっくり聞かせるベートーベンのヴァイオリン協奏曲。
1958年(昭和33年)、50歳という油の乗り切ったときの演奏。フランス国立放送局管弦楽団、アンドレ・クリュイタンス指揮を聞いた。

たしかに50年以上前の録音であり、鮮明さには今のもとは比べ物にならないが、この骨太の協奏曲を、ゆったりと、まさに歌い上げるテクニックと表現力、ふくよかな音色。
特に2楽章のアンダンテ。じっくりと聞かせる芳醇なソロ。なんともいえないひと時。
なぜ、このヴァイオリンコンチェルトが人気が高いか、それを改めてわからせてくれる円熟の演奏だ。

Total 45:45 ①25:35②9:45③10:25

ベートーベンのヴァイオリン協奏曲ニ長調

2010-05-01 | music/classic/Beethoven
毎年、楽しみなゴールデン・ウィーク。外出や畑でバタバタしながらも、家にいる時間もある。本に音楽に暇を見つけては楽しむ。今年はヴァイオリン協奏曲だ。まずは、大御所、ベートーベン。


ベートーベン(1770~1827)のヴァイオリン協奏曲ニ長調

古今のヴァイオリン協奏曲の最高峰といわれるのが、ベートーベンが作曲した唯一のヴァイオリン協奏曲ニ短調だ。
1806年、36歳の時の作品。交響曲5番、6番の直前の中期の作品。
これまで、ヴァイオリン協奏曲といえば、モーツァルトは、3番が22分、5番が29分であるから、この40分を超える協奏曲には面食らったであろう。
説に拠ると、初演の評は芳しくなく、1844年に名ヴァイオリニスト、ヨアヒムが取り上げるまで表に出なかったという。

ベートーベンらしい、雄大で骨太の曲風である。管弦との組み合わせの展開もあるが、1楽章の後半の独奏も素敵だ。
1楽章 テンパニーのリズムではじまる。10分余りで独奏ヴァイオリンの登場。優美な主題が全編を彩る。後半の独奏も充分に楽しめる。
2楽章 叙情的で静かな落ち着きのなる楽章である。独奏もきれいだ。
3楽章 間髪いれずに3楽章へ。民謡風のテーマがロマン溢れる。

アメリカで活躍したヴァイオリニスト、アイザック・スターン(1920年-2001年)が、1975年(昭和50年)にニューヨーク・フィル、ダニエル・バレンボイム指揮で録音した。
一つ一つのフレーズを丁寧に、感情込めて歌うスターンの音色に聞き入る。

Total 42:39 ①24:10②9:12③9:17

美しくも、どっしりとした曲風。独奏もふんだんにあり、管弦とがっぷり四つに構える。それぞれの楽章も独特で飽きさせない。

スプリング・ソナタ

2009-04-19 | music/classic/Beethoven
ハナミズキに続いて、我が家ではツツジが咲き始めている。公園や庭木でもよく見るようになった。多彩な色も楽しみである。春本番の嗜好だ。

昨日のNHKのラジオ第1の「土曜朝一番」の「千住真理子 Tea For Classic」は、今日は「春」をテーマに、ヴィヴァルディの協奏曲集「四季」とベートーベンのヴァイオリンソナタ第5番「スプリング・ソナタ」だった。

特にベートーベンの「春」は、ベートーベンが作曲した10のソナタのうち、5番目であり、それも1800年頃の作品というから1770年生まれのベートーベンが30歳の頃である。56歳でこの世を去るベートーベンが、これからというときに、難聴をわずらい、視覚障害にも苦しんでいたという。32歳の「ハイリゲンシュタットの遺書」で絶望から明日に向かい歩み始める前の曲ということになる。

この「春」はベートーベンの命名ではないらしい。
4楽章からなるこのソナタの魅力は、1楽章冒頭の春の訪れを告げる伸びやかな美しいテーマにあるのだが、ヴァイオリンソナタといえども、ピアノとヴァイオリンが対等に絡み合う曲風にある。
また、2楽章のアダージョ・モルト・エスプレッシーヴォのゆったりとした春の日差しを楽しむのもいい。3楽章はヴァイオリンとピアノの戯れを小品で。4楽章の力強くものどかな田園風景を思わせる楽章もいい。



私がもっているCDは、ヴァイオリンがギドン・クレーメル。ピアノがマルタ・アルゲリッチの1987年の録音。発売後の88年1月に買った。もう20年前のことになる。
1947年生まれのクレーメルが40歳。1941年生まれアルゲリッチが46歳の時。
23:34(1楽章9:40 2楽章6:01 3楽章1:19 4楽章6:34)

ベートーベン 10 「シンフォニー8番」

2008-05-03 | music/classic/Beethoven
ベートーベン46歳の頃、7番とともに初演された。演奏時間も20分余りと9つのシンフォニーの中で一番短い。
だから余計に明るく伸びやかに感じるのだろうか。
ベートーヴェンはこの第8番を結構気に入っていたという。聴衆からはあまりよい反応が得られず、現代でも相対的に人気は今ひとつといわれる。

カラヤン54歳・ベルリンフィルの62年の録音から。
1楽章(9:22)は冒頭からのいきなりの主題が気持ちいい。
2楽章(3:57)は3分あまりの楽章。メトロノームの考案者メルツェルに贈った『親愛なるメルツェル』というカノンの旋律が使われているという。
3楽章(5:57)は宮廷風の旋律とホルンとクラリネットの牧歌風の旋律が絡み合う。
4楽章(7:09)はリズミカルな打楽器・管・弦の響きが印象的。

ベートーベン 9 「シンフォニー2番」

2008-04-07 | music/classic/Beethoven
続いて偶数番号のベートーベンシンフォニー。2番は32歳の時に作られた演奏時間30分余りの作品である。
随所に後の9番のメロディーが顔を出す。

32歳・1802年といえば難聴の疾患で絶望の淵にあった時期、つまり「ハイリゲンシュタットの遺書」が書かれた時期である。
ベートーベンはこの03年を大きな転換期としている。
その時期に書かれた作品としても興味深い。

今はカラヤン54歳・ベルリンの62年の録音、鮮やかですがすがしい演奏に、はまっている。

1楽章(10:19)はギリシャ彫刻を見ているような堅牢でがっしりとした楽章。
2楽章(10:35)はゆったりとしたおだやかな美しいメロディラインが続く。
3楽章( 3:53)は短かくも気高く鮮やか。
4楽章( 6:19)はアップテンポでリズミカルな美しい旋律が次々と現れる。

ベートーベン 8 「シンフォニー4番」

2008-04-03 | music/classic/Beethoven
ベートーベンのシンフォニーは奇数がつとに有名だ。
でも、小ぶりながら隠れた名品がそこかしことある。

シューマンが「2人の北欧神話の巨人(3番と5番のこと)の間にはさまれたギリシアの乙女」と例えたという愛らしい小品が4番。36歳の頃の作品だ。演奏時時間は30分ばかりで親しみやすい。

54歳のカラヤンはいきいきと鮮やかで、1962年ベルリンフィルの演奏もすばらしい。

1楽章(9:52)は暗い序章から。聞くのをやめよかと思うと、明るいリズミカルな主題がくる。2楽章(9:58)はクラリネットの調べがやさしい。3楽章(5:44)は緩急起伏に富んで豊か。4楽章(5:24)は弦が刻むリズミカルなべートーベンらしい楽章。



ベートーベン 5「シンフォニー1番(2)」

2008-03-31 | music/classic/Beethoven
カラヤンの美学

カラヤンはベートーベンのシンフォニー全曲録音を4回している。
50、60、70、80年代それぞれの個性があるといわれる。

60、70、80はベルリンを振った。
特に70年盤は、カラヤンは大半の曲を一度録音し、寝かせてから録音を修正しているという。
つまり、完璧な芸術として磨き上げられたものである。
特にこの1番(2番も)は最長、最多のセッションを重ねたという。75年から76年、77年と5回録音データがある。

音楽は生の緊張感だという主義には合わないかもしれない。しかし、完璧を求めるのも芸術家の宿命か。

60歳代のカラヤンの精力的なタクトが気持ちよい。アンサンブルも精緻でみずみずしい。録音もいい。

1番と2番のカップリングで1,000円とは。これもうれしい。

(1975・76・77)
7:45 6:03 3:35 5:37 23:06
(1984)
10:05 6:18 3:54 5:49 26:06

ベートーベン 5「シンフォニー1番(1)」

2008-03-29 | music/classic/Beethoven
最近お気に入りのシンフォニーがベートーベンの1番である。
ベートーベンは57年間の人生の中で、9つのシンフォニーを作った。先輩ハイドンは108つのシンフォニー、モーツァルトは8歳にして書いた1番をはじめ41つの作品がある。
この1番はベートーベンが30歳にして初めて作ったシンフォニーである。
30分にも満たない作品であるが、これまでのシンフォニーには見られない大きなストーリー性と重厚な肉厚さがある。

まさに変革者、ベートーベンがそこにある。もちろん、ハイドンやモーツァルトといった先達の色合いが濃い作品ではあるが、、リズミカルで明朗なベートーベンらしさがそこここと見られる。
1楽章の出だしはシンフォニー7番の出だしとよく似ているし、4楽章の牧歌的な民謡風な曲風が気に入っている。
4つの楽章が独立し、大胆かつ個性的で主題もメロディアス。まさにベートーベンのシンフォニーなのだ。
志鳥栄八郎氏いわく、それまでベートーベンはピアノや弦楽器、管楽器などの楽器のための作品を書き、これらの楽器をとことん分析し、満を持してシンフォニーに挑んだという。

巨匠クレンペラーはイギリスのフィルハーモニアオケでじっくりと格調高い緊張感あふれる演奏を聴かす。
クレンペラー(1957)9:46 8:49 4:00 6:18 28:53


ワルター御大は、さすがすがすがしくロマンティックな演奏をコロンビア響で。
ワルター(1958)7:06 6:35 3:44 6:09 23:34


イッセルシュミット御大はじっくりとウィーンフィルで、重厚で端正な演奏を聞かせる。
イッセルシュミット(1965)10:11 6:44 3:53 6:11 27:59


壮年のクーベリックはロンドンシンフォニーでさわやかで優美なベト1。
クーベリック(1974)9:04 8:05 3:58 5:42 26:49


帝王カラヤンは晩年の4度目のベートーベン全集からデジタル録音で。重厚な風格ある演奏でメリハリがある。
カラヤン(1984)10:05 6:18 3:54 5:49 26:06


ショルティは2回目のベートーベンシンフォニー全曲録音から主兵シカゴのデジタル。明るくさわやかなテンポが小気味よい。
ショルティ(1989)8:04 7:14 3:28 5:36 24:22


これからいろんな楽風に触れるのが楽しみだ。