パンダ イン・マイ・ライフ

ようこそ panda in my lifeの部屋へ。
音楽と本、そしてちょっとグルメなナチュラルエッセイ

ビートルズのすべて 8 ロックアルバムの金字塔(4)

2012-01-29 | ビートルズ
「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」「ペニー・レイン」は両A面であった。
「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」は難解なせいか、ベストテンに入ったが、1位にはなれず、「ペニー・レイン」はアメリカでは1位になったが、イギリスでは2位止まりであった。

リバプールの少年時代を回顧したアルバムというテーマはこの2曲がなくなったために、新たなテーマが必要となった。そこで、ポールが提案したのが、ビートルズが架空のバンドを演じ、架空のアルバムを製作するということだった。とはいえ、「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」「 ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ」、そしてタイトル曲のリフレイン以外にこのテーマに沿ったものは見当たらない。
収録作品の歌詞からすると、回顧、追憶のテーマとした作品が多く、日常の周辺の出来事をテーマにした作品も目だっている。また、ジョンが息子のジュリアンをヒントにした、「 ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ」。ジョンが骨董店で見つけた昔のポースターに描かれたバラエティショーをそのまま歌詞にした「ビーイング・フォー・ザ・ベネフィット・オブ・ミスター・カイト」。いずれもジョンの個性が際立っている。
ポールの作品では、「シーズ・リーヴィング・ホーム」の哀愁感が見逃せない。
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ビブリア古書堂の事件手帖

2012-01-22 | book
昨年、超話題の推理小説が、三上延の『ビブリア古書堂の事件手帖』だ。三上は1971年生まれというから41歳という若さ。
2011年の3月に文庫で発刊。それが12月には14版だ。昨年11月に新聞書評で知り、図書館にリクエストすること約2ヶ月。待ちに待って半日で読む。とにかくすごい人気であることはまちがいない。

この魅力は、みずみずしい文体と、ダブル主人公の一人、鎌倉の古書店の若き女主人の篠川栞子(しおりこ)の普段のおどおどした態度と謎解きの豹変する態度のギャップ、そしてジャケ買いにも値する表紙の越島はぐのキュートなイラストが魅力だ。どれも本を謎解きの舞台にして、人を描く。この設定もびっくりだし、次々と繰り出される短編に、過去の登場人物がからむという設定も楽しい。

1話「夏目漱石『漱石全集・新書版』(岩波書店)」。もうひとりの主人公、五浦大輔23歳が登場。死んだ祖母が持っていたこの本が語る大輔の出生の秘密。
2話「小山清『落穂拾ひ・聖アンデルセン』(新潮文庫)」。女子高校生の失恋とホームレス志田との不思議な交流
3話「ヴィノグラードフ・クジミン『論理学入門』(青木文庫)」。前科のある中年の人生。
4話「太宰治『晩年』(砂子屋書房)」。貴重本をめぐる栞子の危機。これまでの登場人物が総出演。
エピローグでダブル主人公が仲直り。これからも続けてと願う読者の期待に応えて2冊目が昨年10月に刊行22万部の売れ行きだそうだ。

短編で小気味のいい文章と、わくわくどきどき構成もすごい。文庫という手軽さも人気の秘密。このシリーズは当分続きそう。いや、続いてほしいと思わせる1冊です。

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ビートルズのすべて 8 ロックアルバムの金字塔(3)

2012-01-15 | ビートルズ
プロセスを説明しよう。
ジョンレノンの弾き語りによる「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」。このデモバージョンを元に、メンバーが集まり、取り直しを繰り返しながら、完成したが、ジョンは納得しなかった。さらに新たなバージョンを作るが、それにもジョンは納得しない。最初のバージョンと次のバージョンをつなぎ合わせることを提案する。しかし、テンポ、キーが異なる。キーやテープスピードを調整して完成した。
成果を聞いてみよう。最初のOKテイクを、そして、最初のOKテイクに再録音のOKテイクをつなぎ合わせ発表されたバージョン。

最初のOKテイクの2回目のBパート[No one I think is in my tree]は2回目のテイクで削除。また、[Let me take you down]というフレーズ2回繰り返されてしばらくのところがポイントだ。
1分10秒過ぎたあたりから、ギターのあったのが変わって、声が膨らんでいることから、つなぎ合わせたというのがわかる。
ジョンは、昔を思い出を語るだけではなく、ヘルプと同様、当時のジョンの内面の心の叫びを表現したものだった。

また、ポールの「ペニー・レイン」もかつてのリバプールでの少年時代の追想を込めたものだった。同時に「サージェント・ペパーズ」の製作意図を実現しようということあった。
同時にクリーンでアメリカっぽいサウンド。一つ一つの楽器の音がかぶらないサウンドだった。これは、ポールが繰り返し聞き、刺激を受けていた、ビーチボーイズのアルバム「ペット・サウンズ」に関連してのことだった。ビートルズの「ラバー・ソウル」を聞いて衝撃を受けた、メンバーのブライアン・ウィルソンがスタジオに入り、スタジオ・ミュージシャンと組んで完成させた。軽快で明るいサーフィンサウンドを看板にしていたビーチボーイズの従来のイメージを破った的な作品だった。内省的な観察による歌詞、独特なメロディ、コード展開、特にベースを基本にしたアンサンブルなど、発売当時、アメリカでは難解な作品として受け止められたが、イギリスでは高い評価を受け、後にビートルズを追い落とす存在にもなる。

ビーチボーイズ「神のみぞ知る(God Only Knows)」
「ペニー・レイン(Penny Lane)」

似てるような、似てないような。雰囲気が似ている。
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昭和の栄

2012-01-14 | life
山茶花もかなり種類がある。我が家の庭は、薄いピンク色の山茶花が咲き始めた。桜のように満開で散るのではなく、ぼちぼちと咲いては散り、咲いては散る。これが長い間楽しめる理由だ。
造園業者に聞くと、この山茶花は「昭和の栄」(しょうわのさかえ)というらしい。

寒さの中にも楽しみがあるというのはいいものだ。
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星海社の『武器としての決断思考』

2012-01-09 | book
「もっと早くに出会えていればなあ」と思わせるのが、瀧本哲史の『武器としての決断思考』だ。新書で2011年9月発刊。

大学の講義をわかりやすく、7時間という章立て構成している。その章の最後にそれぞれのまとめが一覧にしてある。講義形式はこういうスタイルが多い。社会に出る前の若い人へ、決断することの大事さを解き、そのためには、どういう思考が必要かが述べられている。

日本の学校では、いわゆる雑学的な知識は教えるが、考える力は教えない。○○するか、否か。人生の岐路や日々の暮らしの中で決断を迫れれる。決断するために、その選択肢のどちらのメリット・デメリットを考え、そのどちらにも突っ込みを入れてみろと瀧本はいう。

突込みには、情報収集が欠かせない。いわゆるディベートのやり方なのだが、それは相手をやりこめる手段ではなく、第三者に判断してもらうための提案合戦なのだ。もちろん、この判断は、正解ではなく最善策でしかない。しかし、「また、今度話しましょう」「決まらないのでこのままに」といったシーンが多い日常で、ほんとうにこの思考は新鮮だ。そして、この思考には「なぜか」の発想と、突っ込みを入れるための多くの情報が必要になる。この感性があるかどうか、そしてこの労力をどう考えるかが鍵なのだ。

世界を視野に入れたグローバル経済、過密と過疎、少子社会、超高齢社会の中で、さまざまな事件事故が多発する現代において、生き抜くには、この思考は若者だけではなく、大人にも必要なのだとつくづく考えさせられた1冊。

この発行は、「さおだけ屋はなぜ・・・」で有名になった編集者、柿内芳文が起こした星海社だ。柿内は1978年生まれ、33歳。武器としての教養をコンセプトに次世代を切り開く力をもたらしたいという。

9日は成人の日。若人の集いは、ある意味、年上の人々の生き方を問う日でもある。
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ビートルズのすべて 8 ロックアルバムの金字塔(2)

2012-01-08 | ビートルズ
66年の夏、日本、フィリピン、イギリスへ帰って、アメリカ公演を行い、ライブ活動を中止する。その秋、メンバーは、66年初頭以来の休暇をとる。ステージから解放された反面、何をしていいかわからなかったとジョン。ジョージはインドに向かい、音楽はもとより、宗教・哲学に傾倒していく。リンゴはスペインへ。ポールはイギリスにいて、最新の文化・流行を吸収する。ミリタリールック、アーミールックもその一つだ。

66年の11月に、「サージェント・ペパーズ」はレコーディング開始、翌年4月まで130日129日、700時間の録音時間及んだ。最初に録音されたのは、ジョンの「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー(Strawberry Fields Forever)」。ポールが中心となって書いた「ホエン・アイム・シックスティー・フォー(When I'm Sixty-Four)」と「ペニー・レイン(Penny Lane)」の3曲だった。「ホエン・アイム・シックスティー・フォー 」は、ポールが15歳から16歳の頃、書いたといわれる作品で、すでにレパートリーに入れていた。「ストロベリー・フィールズ」は、ジョンが幼少期に遊んだリバプールの孤児院施設。少年時代の追憶を語った作品。ポールの「ペニー・レイン」もリバプールの実在の場所にちなんだ作品だった。

そうしたことから、メンバーが過ごしたリバプールの思い出の場所にちなんだ作品を集めるというのがアルバムのテーマになった。「ストロベリー・フィールズ」「ペニー・レイン」その2曲は、シングルとして先に発表され、このシングルはアルバムに収録されなかった。しかし、やがて登場する、「サージェント・ペパーズ」の内容を予告するような作品だった。たとえば、「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」は、後にビートルズアンソロジーにおいてその製作過程が明らかになっている。
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感謝の日々を『50歳を超えても30代に見える生き方』

2012-01-03 | book
目から鱗ということわざがあるが、まさに納得の1冊が、医者である南雲吉則(なぐも・よしのり)の『50歳を超えても30代に見える生き方「人生100年計画の工程表」』だ。2011年10月発刊の新書。

南雲は、1955年生まれ、56歳。まさに同年齢だ。生き方として、健康づくりを説く。心・美・体のために、早寝早起き(睡眠ゴールデンタイムの活用)、ゴボウの効用、一汁一菜・薄着の勧め、スポーツはウオーキング、スキンシップと感謝の心が大切だと。
それらを「なぜか」という視点で、人の体の機能、これまでの人類や動・植物の歴史から紐解く。

とかく、世間は、効用だけをアピールする。減量、減塩という手法にこだわる。
検診を受けましょうといった啓発一辺倒、メタボは怖いという強迫観念の植え付けだけを狙う。がんになってからの闘病記をことさら強調する。しかし、どうしてそれが必要なのか。人間の体はなぜそうなるのか。南雲は、その理由を一面的な説明ではなく、3次元の解説で行う。理屈があって、行動に移せると思う。

図書館で借りたが、購入し、マーカーしようと思うほどに、納得の一冊。久々に出会えた充実感あり。1年の計は正月から。
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ビートルズのすべて 8 ロックアルバムの金字塔(1)

2012-01-02 | ビートルズ
2012年、平成24年、明けまして・・・・・といいたいところだが、東日本大震災のことがあると、うかつにも言えない雰囲気がある。しかし、何らかの形で生きながらえている我々には、ひとつの節目として、あえて新玉の年を迎え、「おめでとう」という勇気を持とうと思う。
「ビートルズのすべて」の8回目は、「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド  ロックアルバムの金字塔」だ。昨年1月三が日の放送からもう1年が経つ。早いのか、遅いのか、そんな時の流れの中で、日々は確実に過ぎていく。13回シリーズも8回目を向かえ、いよいよビートルズ最盛期へと突入する。

『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』は、ビートルズ8枚目のアルバム。イギリスでは昭和42年(1967年)の6月1日に、アメリカは6月2日、日本では翌月の7月5日に発売された。
買えなくて、ロック・フォークの専門レコード喫茶店で聞いた。豪華なジャケットに目を見張った。カラフルミリタリー調のロングジャケットに身を包んだ4人。デビュー当時のビートルズの蝋人形、20世紀の著名人の顔写真の数々、前列には日本の福助の人形があった。

「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band)」 
「ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ(With A Little Help From My Friends)」
お聞きください。

2曲はつながっているのであるが、
この後、「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ(Lucy In The Sky With Diamonds)」
「ゲッティング・ベター(Getting Better)」
「フィクシング・ア・ホール(Fixing A Hole)」
「シーズ・リーヴィング・ホーム(She's Leaving Home)」
「ビーイング・フォー・ザ・ベネフィット・オブ・ミスター・カイト(Being For The Benefit Of Mr. Kite!)」 
と切れ目なく、続いてあっという間にA面が終わる。

そして、B面は、ジョージのシタールの神秘的な響きのジョージの「ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー(Within You Without You)」 
「ホエン・アイム・シックスティー・フォー(When I'm Sixty-Four)」
ユーモラスな「ラヴリー・リタ(Lovely Rita)」
朝の牧場の様子を描いたような「グッド・モーニング・グッド・モーニング(Good Morning Good Morning)」
そして、テーマが繰り返された後で、
「ア・デイ・イン・ザ・ライフ(A Day In The Life)」。シリアスで重厚な響き。しかも、めまぐるしくサウンドが変化し、最後に大きなピアノ余韻を残して終わる。

「サージェント・ペパーズ」の演奏サウンドは、ジャケットそのもののように華麗でカラフルで、なおかつ幻想的で神秘的でした。それにもまして、曲が切れ目なく続き、目くるめく展開していくサウンドにしがみついていくのが精一杯だった。それから歌・演奏の迫力、インパクト、ダイナミズムに圧倒された。最後に不思議な逆回転のテープのノイズのようなものが聞こえてきた。これは、ピックアップを上げない限りしなければ、続く仕掛けのものであった。

今年がよい年でありますように。


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老いの歌

2012-01-01 | book
新年を迎え、高齢時代の日々を生きる我々には一日一日と老いが迫っている。おめでたい日にあえて、死へのカウントダウンを考える。

岩波新書の『老いの歌-新しく生きる時間へ』を読んだ。2011年8月刊。著者の小高賢は、1944年生まれというから67歳になる。多くの和歌とともに、我々にその生き方を問いかける。

日本は高齢社会にいる。平均寿命は、明治から大正にかけて、男女とも43.4歳、まさに人生50年時代だった。それが、昭和30年1955には男性が63.6歳、女性が67.75歳。昭和60年1985年には74.78歳、80.48歳。平成21年2009には79.59歳、86.44歳になる。この半世紀で約20歳も寿命が延びたことになる。

しかし、このような状況は過去にはない。つまり、日本人がはじめて迎える状況なのだ。未知との遭遇ともいうべき時間がすでに来ている。定年が60歳としても、そこから20年、30年という長きに渡る時間が待っている。それは決してバラ色の空間ではなく、老いはもちろん、介護や闘病といった日々が同居するのだ。その生活を、多くの高齢者が親しむ和歌五七五七七の31文字の世界でを紹介した。

恋、死といった人生50年時代の和歌だけではなく、新たに体、病、食といった日々の暮らしがほとばしる世界。老いという大きな河を漕ぎ出す我々に、痛みや恐れ、苦悩が、あきらめ、なぐさめ、ジョークといった思いでこぶしのように突きあがる。この本で紹介される多くの歌が、今、私たちがいる世界をまざまざと見せ付ける。この現実をどう生き抜くか。浄土に戻るまで。
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