パンダ イン・マイ・ライフ

ようこそ panda in my lifeの部屋へ。
音楽と本、そしてちょっとグルメなナチュラルエッセイ

徒然草

2023-12-31 | book
家に一冊の文庫本がある。244段からなる吉田兼好の随筆集、徒然草だ。川瀬一馬(1906年明治39~1999年平成11)の校注と現代語訳付き。第1刷が昭和46年1971年。手元にあるのは第11刷の昭和50年1975年発行のものだ。記憶では、高校の古典の授業で徒然草を知り、その世界に触れたいと書店を訪れ、棚にあった同著を買った記憶がある。多分、全部読むのではなく、教科書に載っていた部分を確認するために買ったのだと思う。値段は300円。半世紀前の本だ。

著者の吉田兼好は、鎌倉時代の終わり(1333年)から南北朝時代の人。1350年に68歳で亡くなったという。神官の家に生まれ、漢学から和歌、仏教にも精通していた。30代半ばに出家し、徒然草は50歳ごろに作られたとされる。

私も今年65歳となり、高齢者の仲間入りを果たした。いよいよ兼好法師が亡くなった年齢に近くなってきた。そんな時、図書館で「こころ彩る徒然草 兼好さんとお茶をいっぷく」と出会った。平成29年2017年、5年前に発刊された、昭和34年生まれのエッセイスト、木村耕一の著だ。244段の中から、現代に通じるメッセージを66選び、意訳した生きるヒント集だ。

このヒント集を読もうと、徒然草の解説本を検索してみた。直近では平成27年(2015)初版の「新版 徒然草 現代語訳付」を購入。令和5年(2023)37版だ。川瀬本と同様に、後半にまとめて現代語訳があり、注も川瀬本より少ない。
図書館で昭和54年(1979)第一刷の講談社学術文庫の三木紀人の徒然草を見た。各段に現代語訳、語釈、解説がある。4分冊だが、段落ごとに読む進めることができ、解説も奥深い。購入した本は、令和4年(2022)第50刷だ。つまり40年以上読み継がれているということ。

いずれも文庫本なので如何せん、字が小さい。どうしようもない。そこで、これも図書館で岩波書店の「新 古典文学大系39」の徒然草を見た。A4版の大きさで、現代語訳はないが、脚注が各ページにある。字も大きい。ただ、1989年(平成元年)1月初版(3,000円)。品切れで現在では販売していない。なんとかセカンドハンドで手に入れた。

もっと若い頃に読んでいたらと、よく感想にある。しかし、この境地はそれなりの経験を踏まなければ、心に響かないと思う。65歳にして、徒然草を前にあたふたする自分がいる。法師の心情が染みる。

よいお年をお迎えください。
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山本一力 大川わたり

2023-12-24 | 山本一力
山本一力の「大川わたり」を読んだ。2001年平成13年12月刊行。

流し大工の銀次は27歳。9歳の時、大工に弟子入りし、腕を上げ、深川の六右衛門店で一人暮らしをしていた。しかし、深川の達磨の猪之介賭場に出入りし、20両の借金をした。銀次は取り立てを待ってほしいと猪之介に頼むが、猪之助は、利子は要らない、20両返すまでは、大川をわたって来るなと言い渡す。
大川の西に知り合いのいない銀次が頼ったのが、剣術道場の修繕で顔見知りの堀正之介だった。厳しい修練に耐え、読み書き算盤を学んだ銀次は、正之介から呉服屋千代屋の手代にどうかと告げられる。先輩手代の与ノ助は、銀次と親しくなった22歳の女中おやすに横恋慕し、銀次に引き継いだ仕事で銀次を窮地に立たせる。
与ノ助は、深川の達磨の猪之介賭場に出入りし、借金をつくる。銀次をよく思わない猪之介賭場の代貸の新三郎は与ノ助を使い、銀次を追い詰める。新三郎は猪之介を見限り、上野の賭場を仕切る公家の弐吉と手を組む。銀次には手を出すなという猪之介は、張り番の仙六に新三郎を見張らせる。
途中、おやす、猪之介の生い立ちが。銀次を信じて見守る正之介、千代屋の当主太兵衛。
銀次に引き継いだ与ノ助の贔屓筋の踊りの師匠藤村柳花は、銀次に大口の取引を持ち掛ける。それは、銀次を陥れ、千代屋から千両をいただく新三郎の罠だった。
両国の料亭折り鶴で主要人物は集まる。太兵衛と弐吉、新三郎。そして隠し部屋の猪之介、正之介、銀次。息詰まるクライマックスシーン。そして、想像もできない筋書きにハラハラだ。最後までそれぞれの登場人物を際立たせ、最後に結びつける著者の力量に完敗。

舞台化されたという。濃密な作品だ。
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二つの句集

2023-12-03 | book
今年10月に二つの句集を手に入れた。「六歳の俳句」と「磯見漁師」だ。
前者の作者、かとうゆみさんは、書名のとおり6歳から俳句を始めた。刊行当時の令和5年2023年現在で小学4年生だ。
後者の作者は斉藤凡太さんは大正生まれ。妻の死がきっかけで70歳から俳句を始めた。刊行時の平成24年2012年は87歳で、2022年令和4年2月に95歳で亡くなる。かとうさんは全国紙に、斎藤さんは新潟の地方紙に投句を続けた。

就寝前に、それぞれの感性に触れる時間を持つ。かとうさんには学校生活や家庭での斬新な感受性を、さいとうさんには日々漁師の暮らしの中での感動を。また、知らぬ季語との出会いが楽しい。かとうさんの本には句の背景が書いてある。
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