パンダ イン・マイ・ライフ

ようこそ panda in my lifeの部屋へ。
音楽と本、そしてちょっとグルメなナチュラルエッセイ

ビートルズのすべて 1 ビートルズの登場(2)

2011-02-27 | ビートルズ
ビートルズのメンバーは、ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スターの4人。
デビューは1962年(昭和37年)10月。デビュー曲は、ラヴ・ミー・ドゥ(Love Me Do)だ。第1回はビートルズの登場「ラヴ・ミー・ドゥ(Love Me Do) ビートルズのデビュー」

まず、4人が生まれ育ったリバプールの紹介から。
リバプールは、イギリス南部のイングランドの北西部にある。この町は、17世紀末に商業都市となり、18世紀には北アメリカ、西アフリカを結ぶ、大西洋貿易の拠点となり、奴隷貿易で発展した。19世紀初頭、産業革命により、鉄道交通の拠点となり、19世紀末にはロンドンに告ぐ第2の都市、イギリス第1の港と成長した。最高80万人近い人口を有し、工業交易都市として栄えるが、第2次世界大戦時空襲爆撃を受ける。
1940年台後半綿貿易繊維産業の衰退もあり、1950年から斜陽化した歴史がある。
戦後、復興から放置されたこともあり、メンバーも幼少時焼け跡を遊び場とした育ったと言う。

戦後復興の中で、若者の文化風俗の新しい動向が生まれる。
その一つとして、雇用から締め出された若者は、特異なファッションに身を包み、食堂や街路にたまり場としてたむろし、粗野で乱暴な行動を通し、社会への反抗の姿勢を示した。ジョンやリンゴもテディボーイを気取ったものの、実際にはなりきれなかった。
2つ目は、戯曲や文学における、アングリーヤングメン「怒れる若者たち」の登場だ。ことに映画化された怒れる若者たちの作品は、ビートルズ登場の背景となった.
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ビートルズのすべて 1 ビートルズの登場(1)

2011-02-20 | ビートルズ
サザンの桑田佳祐が、昨年の7月、食道がんを公表した。まさに同年代のわたしとしては、身につまされた。その桑田が回復し、年末の紅白に出演していた。医療のすごさと回復力に驚嘆した。
妻の原由子が、朝日新聞土曜日の「あじわい夕日新聞」に、桑田の病気について書いていた。看病も大変だったであろう。原が桑田の手術の時に、聞いていたのが桑田の大好きなビートルズだった。それも1枚目から順番に聞き、心配がピークに達したときが、「レット・イット・ビー」だったという。。

そして、今年の正月3が日は、NHKラジオ第2で、夜、カルチャーラジオ「芸術その魅力 ビートルズのすべて」を放送していた。2010年はビートルズの解散から40年目にあたった。音楽はもとより、社会にも大きな影響を与え、世代や時代を超えて愛されているビートルズとは。その音楽の魅力を振り返り、足跡をたどる3日間であった。
13回にも及ぶ30分番組の解説は、音楽評論家の小倉(おぐら)エージ。結構、アカデミックな番組で、テープおこしをしながら、この番組の魅力を紹介することにする。
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春雪の日 「悪人」を読む

2011-02-13 | book
寒気が日本列島を覆う。
我が家の椿

そして、山茶花(さざんか)


今年のキネマ旬報、日本映画のベストワンが「悪人」である。今年は、原作が著名な単行本の映画が多く、ランクインした。
この映画の原作は、2006年から2007年にかけて、朝日新聞に連載され、07年4月に刊行された吉田修一の「悪人」である。

舞台は、九州北部の福岡、佐賀、長崎。被害者の保険外交員、石橋芳乃、21歳は、出会い系サイトで、加害者となる若い土木作業員、清水祐一と出会う。
本当の悪人とはだれなのか。ふとした出来事が2人を被害者と加害者に仕立てていく。2人にからむさまざまな人々、家族、隣人が、一人称で語る真実。
佳乃の父、理髪店を経営する佳男。佳乃を殺人現場まで送り、突き放す22歳の大学生、増尾圭吾。その圭吾の生き方に疑問を感じる、同級生の鶴田公紀。小学生の祐一を、女で一人で育て上げた、祖母、房枝。29歳の双子の姉、紳士服店員の馬込光代。最初から最後まであふれ出る、それぞれの過去と生き様。緊迫感のある文体。さすが新聞小説だけあって、420ページの単行本であるが、一気に読ませる。

社会の中で、うごめき、息を潜め、暮らす人々の生態。人の輪もなく、孤立化する現代社会の現実がある。
勝ち組と負け組み、親に捨てられる子供。高齢社会の現実と罠、変化のない生活にいらだつ人々、出会い系サイトというコミュニケーション手段でしか出会えない若者たち。
いつだれがそういう境遇に陥るか分からない人間社会。でも、人と触れずにはいられない人の性。
行き場のないいきどおりが、本文で吐露される中、全編を覆う九州弁がなぜかむなしく、そして、暖かい。
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エンジンたれ。「今、ここに生きる仏教」

2011-02-11 | book
1月30日の日本経済新聞の文化欄に、作家の嵐山光三郎が、「上手な逝き方」と題したエッセイを寄せている。そこに葬式の意義を、生と死の意味を問うものとし、自分が死ぬ準備でもあり、この世の無常を知る機会だという。昨年も伯父を2人見送った。その時に、いつかは自分もこの世からいなくなるのだと改めて自覚し、血縁者と、顔を合わせたり、話をする機会も得た。家族とは、死者のために残された者の寄り合いなんだと知らされる

高齢化、児童虐待、雇用状況の深刻化など、現代日本の抱えるさまざまな試練に、仏教はどう向き合っているのか。
近年、仏教会に活を入れ続ける、文化人類学者の上田紀行と、浄土真宗本願寺派のトップ、第24代門主である大谷光真が対談した。これが「今、ここに生きる仏教」である。2010年、昨年11月刊行。

葬式仏教となり、檀家制度に守られながら、まさにたまに顔を出す仏教。しかし、高齢化の中、檀家制度は先細り、お寺自体も格差が広がる。一方、相変わらずの上位解脱の説法方式に、両者は危機感をにじませる。
本当の、仏教は隔絶された異端の地なのか。広く社会に門戸を広げ、大いに市民の声を聞き、ともに悩み、修行せよと呼びかける。

今、地方紙に五木寛之の「親鸞(激動編)」が今年から連載されている。信憑性はともかくも、あくまでも小説。その悩み、民とともに生きる姿は、まさに、悩める仏教を象徴している。

他力本願、凡夫のみ、報恩感謝とは。仏教の役目とは、悩めるわれわれの生きる光となり、その支えとなるべきだ。今をいかに生きるかのエンジンとなれ。仏教の行動力を、現代に問う。
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叫び 「小暮写真館」 宮部みゆき

2011-02-06 | book
ストーリーテラーの宮部みゆきの書き下ろし。2010年5月の新刊、「小暮写真館(こぐれしゃしんかん)」。

713ページ、厚さ4センチの本。最初なかなか読む気が失せたが、読み出すとその世界にのめり込む。しかし最近、きちんとした姿勢で読むことができず、寝ながら読む癖がついているので、この本の重さはつらかった。

「小暮写真館」「世界の縁側」「カモメの名前」「鉄路の春」の4つの章からなり、それぞれ、別仕立てで読めるが、登場人物が、進むに連れて重なり合うので、この順番をお勧めする。

物語は、主人公の高校1年生の花菱英一(ハナちゃん)が、父秀夫、母京子、8つ年下の小学生、光(ひかる)ことピカと、小暮写真館という空家に移り住むことから、物語が始まる。

「小暮写真館」は、心霊写真を渡され、そを原因を突き止める第1章。新興宗教の家族と、その嫁とのトラブル。
同級生の寺内小春(コゲパン)と、女子バレー部の先輩から預かった心霊写真の真相を探る第2章。そこには、婚約者との破局を迎えた一人の女性がいた。
不登校の子供の写真に秘めた叫びを突き止める第3章「カモメの名前」
4歳で死んだ主人公の妹、風子をめぐる親戚と家族との葛藤を描き、ハナちゃんの淡い恋の結末も見せる「鉄路の春」。

装丁の菜の花と電車の写真の意味が、最終章になってわかる。
妻、恋人、両親、親戚との関係に悩み、緊張し、苦しむ大人や子どもたち。内容はヘビー。

この4章で高校の3年間が過ぎる。ハナちゃんを囲む、同級生の店子力(たなこつとむ)ことテンコ、のっぽの橋口くんなど、友人たちとの生活がいきいきと描かれる。読後の爽快感がいい。
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