パンダ イン・マイ・ライフ

ようこそ panda in my lifeの部屋へ。
音楽と本、そしてちょっとグルメなナチュラルエッセイ

春の数えかた

2015-06-28 | book
新聞の思い出す本,忘れない本で紹介されていた「春の数え方」。庫本で平成17年,2005年刊行。平成13年に単行本。動物行動学者の日高敏隆著。日高は1930年昭和5年生まれ,2009年平成21年に亡くなっている。

小さい頃からの昆虫好き。そんな日高がエッセイ風に動物や植物の行動を発見とともに紹介する36の短編集。

1種類の植物はなぜ同じ高さに揃っているか。なぜ夜,光に虫たちは吸い寄せられるか。それもある一定の時間帯か。魚は横の動きで海中を動き回る。哺乳類のイルカは縦の動き,それでは鳥
類のペンギンは?。チョウとガの違い。なぜ虫たちは寒い暑いにかかわらず季節通りにやってくるのか。なにげない四季の中で,繰り広げられる求愛行動の残酷さ。

今,夏野菜が盛んに大きくなっています。キュウリ,トマト,ピーマンには黄色い花,ナスは紫。そんな間を蝶が舞います。夏大根の葉には穴が開き,虫たちが食べています。こんな自然の中に,人間は生きていることを改めて思い知らされます。厳しい生活は虫も植物も人間も同じ。一所懸命に日々を送っているのです。

スリッパの不思議やモンゴル紀行も。
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山法師の季節

2015-06-22 | life
6月7日の写真です。家にある山法師です。鮮やかな白い花が緑の葉に生えて,鮮やかです。
でも,梅雨のじめじめとしたうっとうしい季節の中で,この白い色は,身も心もすっきりとしてくれる一抹の清涼飲料水なのです。

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御宿かわせみ(17)雨月

2015-06-21 | 御宿かわせみ
御宿7かわせみ17冊目「雨月(うげつ)」1992年9月
「尾花茶屋の娘」
蔵前の料理茶屋尾花屋は遠縁の旗本の三男坊建石捨三郎をかわせみに泊まらせてくれと頼まれた。そこへ尾花屋の娘お里が訪ねてくる。捨て三郎は当主左門の嫁と関係があったらしい。その捨て三郎hある日,東吾に切りつけてくる。
「雨月」
火事で焼け出された兄弟の運命。兄の吉太郎15歳,伊之助8歳の時に離れ離れになる。伊之助は茶の行商をしながら兄を探していた。東吾は,るいとお吉に頼まれ,兄探しの手伝いをする。その頃,武家屋敷に盗賊が入ると通之進から聞く東吾。悲しい兄弟の出会いと別れ。
「白い影法師」
東吾は甲州屋に入った賊から千両箱を守る。その賊の頭が何者かに殺される。そしてその墓が何者かに発かれる。その息子,市太郎は別居し豆腐屋を女房と営んでいたが,何者かに川に突き落とされ,家が放火される。そして,今度は甲州屋の主人太左衛門が変死する。賊が殺されていた稲荷と甲州屋は隣同士だった。
梅の咲く日」
かわせみに泊まっている清水の隠居,孫八は,亀戸天満宮に日参していた。門前で飯屋を営む息子徳松に会いたいという。孫八は30年前に妻子を捨てて江戸を出ていった徳兵衛だった。東吾は徳松に話をするが,父に会いたくないという。かわせみに徳兵衛を呼び出す文が届く。徳兵衛の過去。
矢大臣殺し」
名主の倅,徳太郎は近所でも有名な鼻つまみ者の35歳。女房には逃げられ,昼間から酒を飲む毎日。その徳太郎が一杯飲み屋の布袋屋で背中に白羽の矢が刺さって死んだ。その時,稲荷小路の長屋の者たちが,仇討の芝居を練習していた。東吾が長屋を調べに行くと次々と長屋の住人が自分が犯人と申し出る。東吾の人情裁きがみごと。
春の鬼」
川口の善光寺のご開帳に深川の町役人名主が参加する。その帰り道,志保井茂右衛門の娘,お妙25歳と高橋新左衛門35歳が無理心中をした。新左衛門の女房お富世は先代の外妻のお浜と娘のお光を家に入れない。お光には,深川八郎右衛門の倅の辰之助との縁談があった。そのお富世に子ができたという。東吾は新左衛門は子どもができない体だったと突き止める。
百千鳥の琴」
東吾のかつての同門,五井兵馬の妹,和世は剃髪し,和光尼となっていた。その和光尼が,幼馴染のるいを訪ねてかわせみを訪れる。るいが持っている琴を譲ってほしいという。亡き父の思い出の琴を手放す決意をするるい。和光尼のもとへ琴を習いに来ていたおみわの亭主,森助が家の近くで殺される。
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家族の言い訳

2015-06-14 | book
家族のすれ違う思い。様々な偶然に戸惑い,ちょっとした言葉や行動に人生を狂わされる人。森川由加里や田原俊彦,SMAPなど,700曲を超える作詞を提供している森浩美の小説第1弾「家族の言い訳」2006年3月発刊を新聞書評から借りてみた。

8つの短編からなる。妻,夫,子供。なぜこの家族なのか,大勢の人間がいるのに,だれが決めたのだろう。いずれも人が生きていく切なさを丁寧に描いた秀作揃い。

夫の蒸発で路頭に迷った私。幼い息子が病気になり,転がり込んだ旅館の女将との出会い。「ホタルの熱」
夫が急死した。その死に不審を抱く妻。会社の中で孤軍奮闘する夫の姿を知るにつれ,自分と夫の距離をつくづく感じることになる。「乾いた声でも」
会社につまずき,解散の手続きを済ませ,後に残ったのは借金だけ。そんな男があるタクシーに乗り,その運転手から聞かされた人生とは。「星空への寄り道」
出版社の雑誌,副編集長で頑張る独身の舞子。外回りの途中で入った店で声をかけられた子連れの女。昔,舞子の雑誌社に勤めていたが,舞子にこの仕事には向いていないと言われ,今は結婚し,家庭を築いていた。「カレーの匂い」
女子高の高校教師,吉村は教え子の12歳年下の文香と結婚したが,1余りで離婚を迫られていた。そんな時,女子高の真美が万引きで捕まり,吉村に警察に来てほしいと連絡が入り,迎えに行く羽目に。「柿の代わり」
70越えた母を持つ2人兄妹の兄は,東京で妻の父の税理士事務所を手伝っていた。田舎が嫌で高校を出て都会で暮らした兄。母の病気を聞きに妻と訪れた病院で聞いた母の思いに愕然とする。「おかあちゃんの口紅」。
5年前乳飲み子を抱えた里佳子と知り合い,結婚した30歳の僕。1年前にメンズショップをお客とのトラブルで辞め,好きなイラストでなんとか生計を立てていた。里佳子が僕にくれたクリスマスプレゼントは小さい頃,別れた母親が持っていた物だった。里佳子は母親と会っていた。「イブのクレヨン」
軽井沢のホテルで働く父が仕事をリタイアするという。65歳の父から手紙をもらいホテルに向かった僕は父と一夜を過ごす。父は母との折り合いが悪く,別居状態だった。父には父の過去があり,人生がある。余生を軽井沢で過ごすという。伝言は,自分が死んだら祖母のお墓に入れてほしいというものだった。「粉雪のキャッチボール」

なぜ人は正直になれないのだろう。しんどい,寂しい,もういやだ。そんなストレートな思いをぶつけ合えたらいいのに。でも,それができないのが人間なのか。切ないなあ。
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清とこの夜

2015-06-07 | book
広小路尚祈は1972年生まれの小説家。10以上の職種を経験し,2007年に文芸誌新人賞を受賞した。その最新作「清とこの夜」を読んだ。2014年11月刊行。

妻に先立たれ一人で居酒屋を営む清。娘は結婚したが,夫がリストラされ,麻雀の毎日に,二人暮らしにいたたまれなくなり,清のところに転がり込んでくる。そのほかにこの店の常連,定年間近の工員。離婚し,高校生の息子に死ねと言われ,美貌と肉体のギャップにさいなまれるバツイチの保険外交員などが登場し,広小路は,過激で饒舌なショートセンテンスを,登場人物を次々に変えて,マシンガンのように繰り出す。

世相をキャッチして繰り広げられる人間劇。舞台にでもしたらおもしろいと思った。
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