「方丈記」。京都に生まれ、暮らした鴨長明(かもの ながあきら)の1212年、58歳の時に書いた古典。枕草子、徒然草と並ぶ3大随筆。長明は1155~1216。数え年で62歳で亡くなる。
岩波文庫の「新訂 方丈記」は、平成元年(1989)5月発刊。平成29年(2017)4月に44刷だ。校注は、中世日本文学者の市古貞次(いちこ ていじ)。明治44年(1911)生まれ、平成16年(2004)年に亡くなっている。
本文の下に脚注を施し、語句の説明をしている。補注もあるが、言葉の意味ではなく、関連する文章などの事項だ。後半に底本とした大福光寺所蔵の方丈記が載っている。現代語訳はない。
巻末の解説は「長明の略伝」と「方丈記について」である。市古は方丈記を5段に分けて解説している。
岩波は、原文を読ます。原文は、声に出しても黙読しても、現代語訳では味わえない、響きや意味合いがある。現代語訳は、押し付けのような感じがして好きではない。もちろん脚注だけでは、理解できない言葉があるので、古語辞典はもとより、他の本を参考に、意味を本に書き入れている。これがよい。鎌倉時代の空気に触れているような気がしてくる。
定年退職の直後、平成30年(2018)4月2日に購入した。晩年、命の尽きるのを見据えながら、天変地異や世相で世の無常を説き、自らの生きざま、人生観を赤裸々に綴る。こういう風に生きているのだと時に強がり、時に寂しがる。人間長明の人生哲学がある。
さすがに教科書で習う中学生や高校生では、この心境、わからねえだろうなあ。今だから染み入る方丈記だ。
岩波文庫の「新訂 方丈記」は、平成元年(1989)5月発刊。平成29年(2017)4月に44刷だ。校注は、中世日本文学者の市古貞次(いちこ ていじ)。明治44年(1911)生まれ、平成16年(2004)年に亡くなっている。
本文の下に脚注を施し、語句の説明をしている。補注もあるが、言葉の意味ではなく、関連する文章などの事項だ。後半に底本とした大福光寺所蔵の方丈記が載っている。現代語訳はない。
巻末の解説は「長明の略伝」と「方丈記について」である。市古は方丈記を5段に分けて解説している。
岩波は、原文を読ます。原文は、声に出しても黙読しても、現代語訳では味わえない、響きや意味合いがある。現代語訳は、押し付けのような感じがして好きではない。もちろん脚注だけでは、理解できない言葉があるので、古語辞典はもとより、他の本を参考に、意味を本に書き入れている。これがよい。鎌倉時代の空気に触れているような気がしてくる。
定年退職の直後、平成30年(2018)4月2日に購入した。晩年、命の尽きるのを見据えながら、天変地異や世相で世の無常を説き、自らの生きざま、人生観を赤裸々に綴る。こういう風に生きているのだと時に強がり、時に寂しがる。人間長明の人生哲学がある。
さすがに教科書で習う中学生や高校生では、この心境、わからねえだろうなあ。今だから染み入る方丈記だ。