パンダ イン・マイ・ライフ

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音楽と本、そしてちょっとグルメなナチュラルエッセイ

可燃物

2024-05-19 | book
1978年生まれのミステリー作家、米澤穂信の「可燃物」を読んだ。2023年7月刊行。推理短編5編を掲載。2020年、2021年、2023年に月間文芸誌に掲載された群馬県警の刑事、葛(かつら)の名推理を描く。

米澤は、2014年平成26年の『満願』で
「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」1位の史上初のミステリ・ランキング3冠に。
翌年の2015年の『王とサーカス』で
2年連続でミステリ・ランキング3冠に輝いた。
そして、2022年令和2年、『黒牢城』で
直木賞、そして、2021年の「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」「本格ミステリ・ベスト10」の国内部門1位で、史上初となるミステリ・ランキング4冠を達成した。
この可燃物で、
4度目の「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」のミステリ・ランキング3冠に輝いた。

崖の下
中学生の頃からの仲良し5人が、スノーボードに興じるため、群馬県のスキー場に来ていた。その中の後藤と水野が崖の下で発見される。後藤は首筋を刺され、死んでいた。犯人は水野か。しかし、凶器が見つからない。

ねむけ
群馬県で一人暮らしの76歳の女性が襲われ、金品を持ち去られていた。3人の容疑者のうちの一人、田熊は翌日の朝、3時に信号交差点で軽乗用車と事故を起こした。田熊が信号無視で事故を起こしたなら逮捕できる。信号は赤だったのか、青だったのか。2台ともドライブレコーダーを搭載していなかった。そこに4人の証言者が現れる。4人とも赤だったという。

命の恩
バラバラの人の死体が確認された。遺体は塗装業を営む58歳の男性野末。野末の部屋から手書きの借用書が出てきた。それも特定の男性宮田村から金を借りていた。次々と見つかる遺体。宮田村は娘と山で遭難した際に、野末に助けられていた。野末は生命保険に加入していた、受取人は息子。宮田村は殺人を自供する。遺体の中で首が見つかっていなかった。

可燃物
12月、可燃物のゴミ収取場所で放火事件が起きる。7件の不審火も起きる。着火に使われたさまざまな紙。3人の不審人物が浮かび上がる。その一人が60歳代の大野原だった。7年前の家具店火災に関わり、今はスーパーの警備をしていた。そして放火がピタリと止まる。

本物か
ファミレスで男が立てこもっていると連絡が入る。当時の様子を聞きこむ葛。犯人に34歳の前科一犯の志多が浮かび上がる、店内には46歳の店長、20代後半の女性のホールスタッフ、そして6歳の志多の息子がいるらしい。

いずれも状況証拠を丹念に積み上げ、真実に迫っていく。先入観の怖さ。話の展開が読者を引き付けて離さない。短編が故の緊張感が続く。
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