パンダ イン・マイ・ライフ

ようこそ panda in my lifeの部屋へ。
音楽と本、そしてちょっとグルメなナチュラルエッセイ

ビートルズのすべて 12 ビートルズの音楽を集大成(6)

2014-04-29 | ビートルズ
さて、この『アビイ・ロード』はビートルズの作品の中でも歌、コーラス、それに楽器の音の際立ちが目立っています。それに音のセパレーション、分離も印象的です。明快な響きとともに穏やかで丸みを帯びた音の心地よさも見逃せません。基本的にはビートルズのメンバーのアンサンブルを中心にして、スタジオミュージシャンの起用もなども最小限度に応じたものになるなど、『サージェント・ペパーズ』の再現を狙いながら、それぞれ対照的な演奏、サウンド展開になっています。
さらにシンセサイザーが効果的に使われているのも特徴として挙げられるでしょう。今にしてみれば、懐かしい音のように聞こえるシンセサイザーですが、当時としては斬新で画期的なものでした。さらにクリアなサウンドは録音機材の変化がもたらした結果ではないでしょうか。この『アビイ・ロード』に収録された作品の多くは、メンバー4人が一同に会してのものはほとんどなかったといいます。もっともメンバーのうち、ジョン、ポール、ジョージの息の合ったコーラス、さらにギターバトルがフューチュァーされた作品があります。『ホワイト・アルバム(White Album)』とは対照的にビートルズというバンドの一体感を物語るものでした。
ジョンの書いた「ビコーズ(Because)」におけるジョン、ポール、ジョージの3人によるコーラスのハーモニーがそれです。

ではそのコーラスをお聞きください。

ベートーベンのピアノソナタの月光をヒントにしてジョンが書いたという作。このハーモニーのすばらしさですね。『ホワイト・アルバム(White Album)』での緊張とは対照的にな、アンサンブルというか和に打ちのめされた覚えがあります。
さて、コーラスばかりではありません。『アビイ・ロード』のB面を締めくくる「ジ・エンド(The End)」において、ビートルズはロックバントしての本領を発揮して見せます。それは、ポール、ジョージ、ジョンの3人によるギターの競演、ギターバトルです。加えて、リンゴが珍しくソロプレーを聞かせています。そして、印象的なのはその歌詞です。ポールが書いたものですが、「受ける愛は与える愛と同じになる」。それでは、「ジ・エンド(The End)」の競演をお聞きください。

今回紹介された曲。

「アイ・ウォント・ユー(I Want You (She's So Heavy))」
「サムシング(Something)」
「ビコーズ(Because)」
「ジ・エンド(The End)」
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ビートルズのすべて 12 ビートルズの音楽を集大成(5)

2014-04-27 | ビートルズ
そうして「アビイ・ロード」においてソングライターとして、大きな評価を得たのがジョージでした。ジョージが書いた「サムシング(Something)」は、ジョージの作品としては、初めてビートルズ名義でシングルとして発表され、しかもA面で、トップにはならなかったものの好成績を収めました。また、フランク・シナトラをはじめ、幅広い分野の多くの歌手にカバーされるなど、ビートルズが生んだ名曲・傑作として名を連ねることになります。
では、「サムシング(Something)」をお聞きください。

そしてポールは、ポールならではといえる大衆的な親しみのあるポップスナンバーを披露しました。ロックバラードの「オー!ダーリン(Oh! Darling)」、昔なつかしいグッド・オールド・ディズ風のラグタイム的な「マックスウェルズ・シルヴァー・ハンマー(Maxwell's Silver Hammer)」などです。加えて、彼が熱意を持って取り組んだB面のメドレーにおいて光っていたのが、「ゴールデン・スランバーズ(Golden Slumbers)」です。
1603年に書かれた子守唄の楽譜を見つけたもので、ポールは楽譜が読めませんが、歌詞に感動し、それに新たにメロディを付け加えたという作品です。
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東野圭吾「祈りの幕が下りる時」

2014-04-20 | book
東野圭吾は「白夜行」,ガリレオシリーズや加賀恭一郎シリーズで有名な推理小説家。1958年生まれというから,まさに同世代。

東野の加賀恭一郎シリーズ10作目,2013年9月刊行の「祈りの幕が下りる時」を読んだ。書評には,これだけ多くのシリーズを書きながら,最高の傑作でなないかとあった。実は東野作品もこれまで読んだことがなかった。大変面白く,381ページのハードカバーだが,一気に1日で読んだ。深い湖の濃い緑色を見ているような暗く静寂な気持ちになった。

仙台でホステスをしていた田島百合子の死から始まり,その息子,警視庁の捜査一課の加賀恭一郎の登場となる。音信不通だった加賀の母がなせ,自分の居場所を知ったのか。その母が懇志にしていた綿部俊一とはだれか。そんな疑問を引きずりながら,10年後に話は移る。
今度は東京下町のアパートで滋賀県彦根から上京していた40代の押谷道子の絞殺死体が発見される。その部屋の住人の越谷睦夫は行方不明だった。
その押谷は中学校の同級生,今は,東京で演出家をしている浅居博美に会いに行っていたという。浅居は角倉と名乗り,明治座での公演を目前にしていた。
話は角倉博美に移る。博美の一家は,母親厚子が父親忠雄の印鑑を無断で使い,多額の借金を背負い,父と一人娘は借金取りから逃れ,博美が14歳の時,北陸へ向かった。その父は自殺したという。博美で周りで起きる,博美の中学時代の恩師苗村誠三の行方不明やホームレスの殺人事件。暗い深い闇の中で息づく博美と忠雄親子。
母親の死を自分に知らせたのはだれか,母の遺品から,その人物を探り,母親の生きざまを知ろうとする恭一郎。今は,日本橋署刑事課に席を置いていた。その恭一郎は,以前,剣道の取材を通して,博美と面識があった。

仙台東京,滋賀と舞台は動く。恭一郎の母親の遺品と越谷のアパートにあったカレンダーの12の橋の名前。これが1つのキーワードになる。
従兄になる加賀にアドバイスをもらいながら犯人を追いつめる警視庁の松宮。それぞれの出来事が1つの糸になって紡ぎだされていく。その面白さ。

恭一郎と看護師の金森登紀子との再会もいい。

人の悲しい性を垣間見て,松本清張作品と同じ香りのする作品だった。
人気作家ゆえに敬遠ていた面もあるが,恭一郎シリーズにチャレンジしてみるかな。
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ハナミズキ

2014-04-19 | life
春らしく,寒い日と暑い日が繰り返し来る。風も強く,空も白々しい。

そんな日に,白く,緑の花弁が鮮やかなハナミズキが咲き始めた。

ほんとうにすがすがしく,心がすっきりする。明日は24節気の穀雨。立夏まで,まさに穀物が成長する季節だ。
今日,夏野菜の畝を作る。連休に苗を植え,種をまく。



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至高の音楽

2014-04-13 | music/classic
2013年12月9日発刊の「至高の音楽」。永遠の0(ゼロ)の作家,NHK経営委員として話題になった百田尚樹(ひゃくたなおき)は,1956年生まれというから同年代だ。中学時代のフォーク,高校時代のロック,そしてクラシックとつながる氏の音楽の系譜の中で,クラッシックの博識ぶりを披露する。

紹介されたのは,27の作品。ほんとうに物知り。その興味とともに付録のCDがいい。音楽には,その人その人に思い入れと思い出がある。私は,1988年,1991年新版と発刊された,今は亡き,志鳥栄八郎さんの「不滅の名曲はこのCDで」でCDを集めた。

確かに演奏時間の長いクラシックを数多く聞くのは,時間と体力と気力と知力が必要なので,つらいことが多い。でも,そこに身を置く幸せを知ると,これがいい。「至高」といわれる由縁だろう。新しい発見があるこの本を,ゆっくりと楽しみたいと思う。

紹介された27曲の中で持っていないのは以下のとおり
シューベルト「魔王」,ヴァーグナー「ヴァルキューレ」,パガニーニ「24の奇想曲」,ラヴェル「夜のガスパール」,マスカーニ「カヴァレリア・ルスティカーナ」の5曲。また,聞く楽しみができた。
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御宿かわせみ3「水郷から来た女」

2014-04-06 | 御宿かわせみ
1977年昭和52年6月刊行の御宿かわせみ第3弾「水郷から来た女」。7編を収める。

湯の宿
お吉、嘉助、るいの3人は箱根へ行くことになる。その頃、畝(うねび)源三郎の亡父が手柄を立てた凶賊の一味が島抜けをしたと知らせが入る。
桐の花散る
25年前4歳の娘を江戸でかどわかされていた美濃の国の材木問屋、多田屋吉右衛門は、かわせみの常連客。泊まっていた矢先、商家に強盗が入り、バラバラ死体が発見された。
水郷から来た女。
日本橋の両替商、板倉屋重兵衛の一人息子5歳の伊之助が誘拐された。その後起こる身代金目当ての商家の子供の誘拐事件。そんな中、東吾は、駆け落ちをした姉を探す女剣士と出会う。
風鈴が切れた
嘉助の孫娘がかどわかしに遭う。狸穴(まみあな)の方月館道場へ代稽古に通う東吾は、道場主が頼む女按摩のおみつに風鈴を買う。夫弥吉が、おみつのうわき相手を殺したと東吾に知らせが入る。
女がひとり
嘉助の娘、お民が東吾に相談を持ちかける。幼馴染のおかつが、男に入れあげていると。おかつにはともに暮らす地のつながりのない弟の与吉がいた。
夏の夜ばなし
かわせみの女中おきくが化け物屋敷の話を持ってきた。その話の医師の良庵が殺される。おきくの両親は、良庵の家の前に住んでいた。酒問屋、松江候が粋な計らい。
女主人殺人事件
お茶屋の主人、お節が殺された。50歳近くの大柄なお節には好きな人がいたらしい。船宿の女主人お峯、独り者の38歳が殺され、両替商の女主人お勝30歳も。その手がるいにも伸びる。
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