パンダ イン・マイ・ライフ

ようこそ panda in my lifeの部屋へ。
音楽と本、そしてちょっとグルメなナチュラルエッセイ

しない生活

2015-07-26 | book
小池龍之介の「しない生活」を読んだ。サブタイトルは「煩悩を静める108のお稽古」だ。
1978年生まれの僧侶が説く。2014年3月に刊行し,5月には第7刷というからベストセラー。図書館にリクエストするも何か月待ちだった。新聞に連載されていた。

著者自身の体験から,108つのケースを取り上げ,仏陀の言葉を引用し,食欲,出世欲,ねたみ,自我など,毎日私たちに訪れる苦しみから逃れる術を見開きで完結させる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

説教師

2015-07-20 | book
北欧のスェーデンの推理作家,カミラ・レックバリのエリカとパトリックのコンビが犯人を突き止めるシリーズの第2作目,2004年に発表,日本では2010年7月に出版された「説教師」を読んだ。前作を踏襲し,スェーデンの南の都市,フィエルバッカを舞台に,パトリックが勤めるターヌムスヘーデ署の皆が登場する。署長のメルバリ,法医学のペーデシェンのほか,相変わらず署員が足を引っ張ったり,成果を上げたりと忙しい。

今回は,観光地で若い女性が死体で見つかり,その下に白骨化した死体が2体見つかるところから始まる。その女性が訪れていたという,フルト一族の醜聞が暴かれる。そして,また,若い女性がいなくなった。混乱に陥る避暑地。焦る刑事たち。フルト一族のDNA判定が今回の鍵だ

中に,避暑に訪れるエリカの親戚とのコミカルなやりとりで季節を醸し出す。そして,暴的な夫と別れた妹アンナとの確執も。終わりの方で,エリカのアンナへの心配が現実となり,次作に引き継がれる。エリカの妊娠でパトリックとの絆も更に深まる。

犯人捜しの妙はもちろん,登場人物の描写も明確で,それぞれの成長も楽しめる。しばらくは余韻に浸り,次作との出会いを楽しみにしたい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

シャバはつらいよ

2015-07-19 | book
「シャバはつらいよ」は,1984年生まれの大野更紗が,2011年6月に出した「困った人」(2014年1月2日ブログ掲載)の続編。2014年7月刊行。

2010年6月に退院して独り暮らしを始めた著者。制度を活用し,ヘルパ-さんに助けられ,生活し始めたものの,移動手段に困り,生活費,治療代といった経済的困窮が立ち塞がる。元気な頃
にはなかった部屋の寒さという現実が横たわる。そこに2011年3月11日の大震災。首都東京にも食糧難の現実が生活を危機に陥れる。福島の実家・親戚の安否も。そんな中,SNSのネットワークで助けられ,一日一日の生活をしのいでいく。電動車いすもゲットできた。その間,ブログで制度,病気などを綴り,積み上げていく。

病気という時に癇癪を起こすこの因果な友人と付き合いながら,現実の生活とも格闘する著者。心が折れそうになりながらも,常にバイタリティで跳ね除ける。そこにはセイフティネットとも
いうべき人の輪が彼女にはあった。しかし,彼女は強い。でも題名もあるように,やはりつらいのだ。そんな日々を寅さんのように生きていっている。病気はもちろん,生活費,生活の不安の中で,毎日を生きていく姿は,まさに日日是好日だ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

近代日本漫画百選

2015-07-12 | book
「近代日本漫画百選」は,岩波文庫,清水勲編の1997年2月刊行。題名の通り,100の漫画の解説で構成され,見開きの右ページに漫画,その左ページに解説がある。

どこから読んでも面白いのだが,歴史をたどれば,図1の葛飾北斎の「くそ別所」からだろう。清水は,全編を諷刺画という側面から列挙する。


最後の図99が長谷川町子のサザエさん

100が手塚治虫だ。


江戸,明治,大正,昭和と時代は移り変わっても,漫画は社会に向き合い,メッセージを発し続けている。しかし,これほどの作品を集め,その時代背景,漫画に込められた意図をきちんと整理する能力と努力に脱帽だ。巻末に諷刺画の系譜,年表も。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

超高速!参勤交代

2015-07-05 | book
「超高速!参勤交代」は,1969年生まれの土橋章宏の作品。2013年9月発刊。昨年,2014年,映画化され,土橋自身が手掛けた脚本が日本アカデミー賞を受けた。土橋の作品は,スマートでわかりやすく,読んでいて,映像を見るような爽快感がある。軽い,といわれればそれまでだが,痛快さも,読書の楽しみの1つかな。

東北の小藩が舞台。幕府老中が,そこに隠されたと思われた金山を手に入れるため,ある命令を下し,藩の取り潰しを画策する。その命令は,5日で江戸城に来いというものであった。道中で,藩主,家臣,忍者,飯盛り女など,さまざまな登場人物が藩主の魅力に惹かれ,知恵と力を振り絞る。老中側の横やりも親戚の藩や仙台藩の助力を得て,なんとか江戸にたどり着くというストーリーだ。

人は,感情を持つ。それが故につらく,悲しく,おもしろい。そして,社会につながっていく。家族,親せき,職場,地域と,その空間は広がっていく。そこに人の魅力があふれる。1つの目標に向かい,歩みだす人々の力強さ,困難を突き破る心地よさがある。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする