パリ・リスボンの旅から。
頭に2本の塔をもつ建物のシルエットを見て、「カテドラル」という言葉をイメージする人も少なくないように思います。きっと多くの場合、そのイメージの源泉はパリ・ノートルダム寺院のシルエットでしょう。建物の正面にはおおきな広場が面していて、観光客が集い憩う場所にもなっています。
そんな優美な「カテドラル」の情景も、ところ変われば様子はさまざま。2番目の写真はポルトガル北部の街・ポルトにある教会。スタジオ・ジブリの映画「魔女の宅急便」の舞台にもなった古い街のなかに、この教会は建っています。建物の外壁はアズレージョとよばれるこの地方特有の絵柄タイルで仕上げられています。今ではだいぶ剥落し、石が黒ずみ、広場には鳩の骨がちらほら・・・。ノートルダムとは似つかぬ雰囲気の光景がひろがります。それでも、昼間には広場で少年達がサッカーをし、買い物帰りの主婦が立ち寄り祈っていく。敬虔なカトリックの国の日常の姿があります。
3番目の写真はポルトガルのリスボン・アルファマ地区にあるカテドラル(風住居?)。市電が走る急な坂道の途中にこの建物はありました。ポルトの教会と同じくタイルで彩られた建物ですが、もうだいぶ古びてきています。その窓にひるがえるのはリスボン名物の洗濯物!この街はホントに洗濯が好きな人が多いようで、どの路地も風になびく洗濯物でいっぱいになっています。でも、そんな生活感がとても愛おしく思えるのです。あたりまえの日常のなかにこそ、幸せがつまっている。そんな気持ちにさせてくれる街でした。古びた街並みに元気な日常の光景がひろがっていきます。カテドラルは、ここに生きている!