映画「かもめ食堂」のシーンが、ずっと心に残っています。
主人公がフィンランドのヘルシンキで営むちいさな食堂。
素材を活かして丁寧に手作りされた食事が、徐々に評判をよんで・・・。
丁寧に食事をつくることが、こんなに楽しく素敵なんだ!と思わせてくれる雰囲気。
それは、キッチンの上にある高窓から自然光が穏やかに降り注いできて、食材を、調理を、とても美しく浮かび上がらせてくれているのでした。
場所は変わって東京・練馬。周りを建物に囲まれたちいさな土地ですが、こんなキッチンができあがりました。
高窓からの光で、とても明るいキッチン。
キッチンの向こうはベンチコーナーになっていて、そこからは梅園が望めます。もちろんキッチンからの眺めも最高です。
ちいさな男の子ふたりがいる家族の家。これからたくさんごはんを食べて、大きくなっていくことでしょう。
おかあさんにとっても、ごはんを作る時間が楽しくなるように。
そんなことを思い描きながら設計していたら、いつしか見た「かもめ食堂」の趣きがでました。偶然でしょうか、必然でしょうか。
「かもめ食堂」の食事と同じように、この家も自然な素材を多く採り入れました。
オークの無垢板フローリング、キッチンカウンター、スプルスの窓枠やベンチ、などなど。
だんだん陽にやけて飴色になって、味わいのある趣きが出てくるのが楽しみです。
そして、男の子が元気よく暮らす家、きっとたくさんキズや汚れもできるでしょう(笑)それも、自然なことだと思います。
梅の盛りのある日、無事に家をお引渡しできました。