家のなかに、自分ひとりだけがすっぽり入るぐらいの、ほんの小さなスペースがあるのは、なんだかとても楽しいものです。
「奥沢の家」では、夫婦それぞれにそんなスペースがあります。リビングの続きにあるこのスペースは、ちょっとしたデスクコーナーになっています。
ドアもないから、姿が隠れてしまうわけでないけれど、でも壁が視線を遮って、つかずはなれずのちょうどいい距離感。
窓からは、この土地に古くからあった百日紅の木が見えます。木漏れ日の気持ちいい、自分だけの場所。
そんな親密な気分に合うように、アルミサッシに木の窓枠をかぶせ、網戸も木製でつくり、吊り本棚もつくって・・・。
さながらコックピットのようでありながら、しっとりと風情の漂う場所になりました。