進行中のプロジェクト

2012-12-31 09:47:08 | 進行中プロジェクト

今年から来年にかけて、いくつかの住宅の設計を終え、工事が始まります。それらの仕事のご紹介をしたいと思います。

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上の写真は、東京・南馬込に建つ2世帯住宅。ふたつの世帯が左右に並んで住まうかたちで、2軒の家があわさったような木造3階建ての計画です。細い路地の奥に建ち、まわりは崖や家々に囲まれた敷地です。そのなかに必要なスペースを高密度にプランニングしていくことはとても難しかったけれども、両世帯に程よい距離関係を築くことができたように思います。3階にはロッジア(屋根の掛かったテラス)を備え、居心地のよさそうな屋外スペースをつくることができそうです。いよいよ年明けに工事が始まります。

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上の2枚の写真は、東京・成城に建つ、こちらも2世帯住宅です。木造2階建てで、上下階で世帯が分かれています。約100坪のゆったりとした敷地には、植栽もふくめて計画をしていきます。家のなかから庭を気持ちよく眺められるように、窓の位置や付け方に気を配りました。ソファに座りながらゆったりと庭を見下ろす窓の傍らには本棚も造りつけました。そして、ダイニングから続くロッジアにはベンチを造りつけ、コーヒータイムや雑誌を見たり、そんな暮らしのなかのちょっとした場面を居心地のよいものにしたいと思いました。この住宅は来春に着工する予定です。

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上の2枚の写真は、静岡・富士市に始まった計画です。お施主さんは、以前に僕たちの事務所で設計をした「富士のふたつの家」を実際にご覧になり、設計をご依頼くださいました。このようにしてつながっていくのは、とても嬉しいことですね。敷地は、小さな用水路と林に面した静かな場所でした。用水路のちょろちょろと流れる音が静けさを助長しています。そんな敷地の様子を眺めながら、メキシコの建築家ルイス・バラガンの自邸のことを思い出しました。水の音と、緑と。そんな環境を採り入れながら、静けさに満ちた落ち着いた住宅になるよう、設計を磨いていきたいと思います。

今年もいよいよ終わります。年末年始には、行きたかった展覧会に駆け込みで行ってこよう!(笑)

それでは、皆さんもどうぞよいお年を。

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冬の朝のできごと

2012-12-25 20:14:51 | 日々

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朝起きて、リビングの窓から窓の外をふと見ると、ある光景に目がとまりました。庭に置かれている信楽焼きの鉢のなかの水がキュッと寒さで凍って、白い花が氷のなかでとても鮮やかに見えたのでした。これだけ朝も冷え込むと、たしかに屋外の水が凍るのも不思議ではありませんね。

昨日は造園屋さんが、庭木の手入れに来てくださいました。時折、草花も手入れをしてくださって、その都度この信楽焼きの鉢や、鉄でできたバードバスの置物に、庭の草花をなにか添えていってくださいます。今回の作品(!)はこれ。水が凍りついたおかげで、一晩たってもとても鮮やかに浮かんでいるのでした。

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冬の庭はやはり寒いですから、なかなかゆっくりと庭で過ごすことはありません(笑)。ですが時折こうしてゆっくりと庭を眺めると、冬の植物ならではの渋い色合いに、はっとする瞬間があります。

絵本画家だったターシャ・テューダーさんの庭は、そのナチュラルガーデンとしての魅力に多くのファンがいますね。僕もそんな庭の雰囲気にあこがれる一人ですが、よくよく自然の姿を観察すると、いろいろな発見があり、とても楽しいものです。自然の姿に、遊びごころを加えながら楽しむ庭。寒い季節には、暖かく居心地の良い窓辺からそんな雰囲気を眺める。小さなスペースでも、そんな楽しみに満ちた家づくりができるといいなあ。

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小さな工房

2012-12-15 23:43:28 | 住宅の仕事

今年の春先に、イタリアのフィレンツェを旅しました。旧市街に残るルネサンス期の建物が、いまだに現役で使われていることにびっくりしました。14,5世紀につくられたそれらの建物は、傷んだところは修理され、風化もしていますがそれが独特の味わいになっています。

そしてさらに印象深かったのは、それらの建物は、素朴でありながらとても丁寧につくられているということでした。しっくい塗の壁を守るように、軒や庇が木で整然とつくられ、雨といも、きちんと雨がはけるように大きなものが取り付けられ、床に流れ落ちた水が排水溝に流れやすいように、床の目地も美しくデザインされているのでした。

決して奇をてらうデザインではないのだけれど、ものごとの役割を楽しむかのようなデザインと丁寧な手仕事は、長い時間を重ねて、より深い魅力を生み出しているように思いました。そんな伝統は、街中で今も元気に活躍する小さな工房に引き継がれているようです。革製品の工房が多いと聞きますが、大量生産のものではなく、ひとつひとつ手で作られるものには、とても惹かれます。

僕が営む小さな設計事務所も、規模という意味では、「小さな工房」の仲間入りです(笑)
小さな工房であるなら、手づくりならではの趣を、設計する住宅に宿したいと思います。

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設計するというのは、職人のように直接ものをつくることではないけれども、光や、影や、質感を味方につけて趣をもたらす術には、こだわりたいと思っています。

光や影や質感を求めようとすると、どうしてもアルミサッシでは物足りなくなってしまう。極端に言えば、アルミサッシだけたくさんついた派手でカッコいい住宅より、光と影と質感の魅力に溢れた窓辺がたったひとつある住宅の方が、心惹かれてしまうのです。(言い過ぎかな?笑)

そこにイスやソファやベンチを置いて、のんびり過ごせるような、そんな窓辺。フィレンツェの古い建物にも、そんな場所がたくさんあったなあ、と、思い起こしたりするのも僕にとっては楽しい時間です。

写真は仙台に建つ「青葉の家」から。

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