ブルックリンの窓辺

2020-09-26 23:39:45 | 旅行記


ニューヨークを訪れると、その街並みの雰囲気にクラシックな印象をもつ人が多いそうです。
マンハッタンのビル街もそうですし、タウンハウスが建ち並ぶ住宅街についても、新しいというよりは むしろ古い印象をもつのは、その素材のせいもあるかもしれません。
レンガや石、そしてとっぷりとペンキの塗り重ねられた鉄の外階段。
街としての歴史はそれほど古くないのに、東京よりもずっと年季のはいった質感を感じ取れるのは、うらやましいなあと思います。

写真はブルックリン地区の住宅街。建物自体は画一的な感じなのですが、レンガ積みの外壁に緑が絡んで、いい雰囲気です。
住宅街では、建物と緑がワンセットになっていますね。広い庭があるわけではないのに、どの窓からも緑を身近に感じられるのは素敵です。



ほどよい大きさの窓辺から、室内のスタンドランプの明かりが洩れます。
防犯意識の高い街だから、壁もドアも重厚そのものなのだけれど、ひとたび中に入ってしまえば、安心感のある時間が待っている。

10月に間もなくはいって ひんやりとした気候になってくると、少しずつ色づき始めた緑を窓の外に見やりながら、温かいコーヒーを煎れる。
そういうのも「ヒュッゲ」な時間というのでしょうか。



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雨の日

2020-05-20 06:28:02 | 旅行記


最近の東京は雨が続きます。少し窓を開けてしとしと降る雨音を聞いているのは、なんだか落ち着きます。
雨の日は暗く、写真に撮ってもなかなか絵になりにくいもの。
雑誌編集の方に、雨の日の写真撮影があるのか聞いたところ、あまり聞いたことがない、とのことでした。
華やかさに欠けますものね。
でも、時としてとても華やかな雨の写真もあるように思います。
和風庭園の濡れた敷石や苔庭。陰に深く沈む緑と、雨に濡れて鮮やかさを増す緑。

見る庭より、過ごせる庭を。
そんなふうに思って庭のデザインをすることが多いのですが、こんなシーンを見ると、雨の日に眺めるちょっとした美しい庭先があるのはいいものだと、あらためて思いなおします。
写真は京都・大徳寺の高桐院より。
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モンマルトル

2020-05-02 21:26:43 | 旅行記


NHKで放映中の海外連続ドラマ「レ・ミゼラブル」は、その独特の映像美に引きこまれます。
貧富の差が激しく血なまぐさい時代のもつ暗さを、その退廃的な映像で感じさせます。
現在見るパリの街はとても優美ですが、それでも20世紀中頃までは黒く煤けたままの暗く退廃的な雰囲気も残る街並みだったとか。
きれいに洗われて、一直線に伸びる道の先に雄々しい記念建造物なんかがあったりしますから、旅行で訪れると、その優美さに思わず おお~!と感嘆の声をあげてしまいそうになります。

画家が集った界隈 モンマルトルは、そんな雄々しく優美な街並みとうってかわって、庶民的で寂れた風情が残っています。
(それでも立派な観光地としてかつてよりはきれいになったそうですが)
ぼくにとっても、もう15年ぐらい前になりますが、旅行でうろうろと散策していて一番心に残ったのが、この界隈でした。

風化した壁の表情と、雑草?プランター?が覗く小さな窓辺。たんなる通りすがりの街角にも、風化した独特の趣があり、とても好みでした。
モンマルトルといえば、ユトリロら画家たちがこぞって描いたサクレ・クール寺院が有名だけれども、そんな巨大な名所よりも、丘の上にある小さな名もなき教会のなかに、静けさと安寧がありました。

無名のものがもつ趣が、日常のなかに静かに息づいている。
今もそんな雰囲気を守ってくれているでしょうか。

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古びること

2020-02-08 22:52:43 | 旅行記


ポルトガルのリスボンを旅行したときのこと。古びたカフェに入り、案内されたテーブルで撮った写真。
きれいに整えられたテーブルクロスの脇にあった、古びた柱。いつの時代のものかわかりませんが、長年の間に凹み、欠け、傷のついた柱が傍にあるだけで、何か不思議な心地よさがあります。

自分以前のものがあり続けるというのは、それだけで安堵感のようなものがあります。それは、古い様式の柱であっても、庭に植わっている木々であっても、使い古された道具であっても。
そんな感覚を楽しめるようなモノのつくり方には、あこがれるなあ。形のデザインもさることながら、正しく古びていく素材の選び方が大事なんだろうと思います。

ちなみに、このカフェで出てきたケーキは絶品! 旅行先で出会う「大当たり」には幸せな気分になりますね。
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リスボンの石ころ

2019-12-03 21:56:15 | 旅行記


もう10年以上前に旅行したリスボンの街。ノスタルジックな雰囲気の漂う街だったけれど、それからずいぶんと時間が経って、記憶のなかで明滅する風景を思い返すのも、またいいものです。
リスボンの道には、白い舗石が敷き詰められていて、それが踏まれて角が丸まって、とてもよい風合いを出しているのが印象的でした。

石がよく採れる風土。それだけでも羨ましいかぎりですが、それをぎっしりふんだんに敷き詰めて。
敷き詰めてあるだけだから、時折ポロっとはずれてしまったり。そんな場所があちこちにあって、そのたびに職人さんが直しています。
そんなふうにしてできている道は、アスファルト舗装とはまるで違う美しさを醸し出します。

道端に転がっていたそんなひとかけらの石ころを、おみやげに持って帰ってきました。
それを見ているだけで、遠い記憶がおぼろげに蘇ります。
たったひとつの断片から広がっていく世界。そういうのって、自由だなあ。

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