一年の終わりに

2014-12-31 22:11:11 | 朝霞の家

 今年一年の締めくくりに、朝霞でつくってきた住宅をお引渡ししました。
まだ植栽工事も途中ですし、生活の場として馴染んでくるまでは、まだもうしばらく時間がかかります。
それでも、家具もまだ入っていない室内で佇みながら、この住宅に対して考えてきたことをゆっくりと反芻するのは、ちょっと大事な時間でもあります。

 といっても、いつも新しい取組みやろうと思っているのではなく、僕自身が良いと思うことを少しずつ磨きをかけて、それぞれの仕事に繰り返し活かしていくことが、僕の仕事のスタンスのように思います。

 10年後も、20年後も、じんわりといいと思える住宅になるように、ひとつひとつの仕事に向き合うこと。
年の瀬の、なんとなく粛々とした気分が、そんな思いを強めてくれます。

 皆様にとって、来年も幸多き年でありますように。どうぞよいお年を。


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紅葉

2014-12-17 20:33:05 | 進行中プロジェクト


 僕のアトリエの玄関前にあるモミジが、きれいに紅葉しています。
もう70年ぐらい植わっている古い木で、周りのモミジよりもワンテンポ遅れて赤く色づきます。
その分、近所のなかではちょっと目立つ存在に。木枠の窓越しに見るモミジは、やはり美しいなと思います。





 もうすぐ完成する朝霞の現場では、お施主さんと植木屋さんと僕とで、庭づくりの打合せをしました。
家の内部はできあがり、残すところは外構工事のみ。急ぎ工事が進んでいます。

 この木枠の窓越しに、どのような木々を植えるか。この家の印象を決定づける大事な部分です。
いろいろと相談しながら、いくつか植える木々のうちひとつを、大きなモミジの株立ちにしようということになりました。
立ち会っておられた施主のお父様が、「モミジは紅葉もきれいだし、新緑の季節の色もホントにきれいなんだよね」とおっしゃったのが印象的でした。
たしかにモミジの緑は美しく、雨上がりの時など、その鮮やかさが際立ちます。

 大きなモミジからは木漏れ日が大ガラスを通して室内に入り込むことでしょう。
ロールスクリーンを下せば樹影が映り込むことでしょう。
濃茶に塗り込んだ木枠のフレームに切り取られるようにして、モミジの鮮やかな緑そして赤が際立つ光景を想像していると、それだけでなんだか幸せな気持ちになります(笑)
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久々の集い

2014-12-08 18:36:55 | 片倉の家

 
 「片倉の家」ができあがって半年ほど。施主のIさんから食事会にお招きいただきました。
施工を担当くださった栄港建設の関係者、そして大工さん親子と久々の再会となりました。
みなさん、現場で見かけるのとは異なり正装で、ちょっと不思議な雰囲気です。
 
 
 八畳間に集い、お茶を一服いただきました。
建て替える以前から残っていた茶室を引き継ぐように、新しい和室にも炉が切られました。和室は決まりがあるようでいながら自由なもの。
敬愛する建築家・村野藤吾の言葉を思い起こしながら、重くなく、明るく、それでいて趣のある雰囲気にしたいと思って、造作の取捨選択を吟味して設計しました。
それを形にしてくださった棟梁親子の仕事は極めて厳密なものでした。
工事監督や大工さんと現場で交わした、ああだこうだの話が、もうずっと昔のことのよう。穏やかな陽光で明るく照らされた室内の、平穏な時間。
すべてはこのような時間のためにつくったものでした。


 
 棟梁の講釈は尽きるところがない(笑)のですが、それを聞きながら、棟梁の皺に刻まれた何十年というキャリアに思いを馳せずにはいられませんでした。
また、仕事をお願いする機会に恵まれるのだろうか。

 技は見せつけるのではなくて、技は消すもの。そのようなことが、素朴でありながら洗練を感じさせるものに近づく奥義なのかもしれません。
少しでもそのようなものに近づけたかどうか。

 いずれにしても、気持ちよく時間を過ごすことができました。これから何年、何十年と、変わらず平穏な雰囲気がこの家に宿り続けることが予感できたので、なんだかじいんと嬉しくなりました。
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