goo blog サービス終了のお知らせ 

相対性理論

2025-04-15 22:31:45 | 日々


ぼくが大学1年生のときに、必修科目で物理学の講座がありました。
教授は大槻義彦先生。当時、「火の玉教授」というニックネームでよくテレビにも出演されていた有名人でした。
テレビのなかの先生と同じように、授業も面白くて物理学に関心がわく内容でした。
ですが大槻先生にまつわるウワサがありました。
試験が難しくてほとんどの生徒が落第する。でもオリンピックイヤーには恩赦で試験が簡単になるから、辛うじて卒業できる、はず。
んん~・・・ホントか?

オリンピックは2年後。今年は落第なのか・・・?
そして迎えた前期試験。
問題は全2問。
Q1 天にツバする、という慣用句があるが、天にツバしても自分にツバが落ちてこないようにするための、ツバの初速度を求めよ。
Q2 浦島太郎がカメに乗って竜宮城に行って戻ってきたとき、おじいさんにならないようにするための、カメの速度を求めよ。

こんなの、わかるわけないでしょー となり、結果は当然の0点。
この問題、相対性理論を用いれば解けるといいます。そんなことを講義で解説していただいたのでした。
ツバもカメも、信じられないぐらの猛スピードだと、理論上は成り立つのです。そんなシーンを想像すると笑っちゃいますが・・・
試験は0点だったけど、難解な物理学は、身近なところに潜んでいるという楽しみを教えていただいたのでした。

今年はあきらめるか。そう思いながら迎えた後期試験。
あれ、簡単じゃん・・・?
前期の0点を挽回するような点数を取れて、なんとか単位取得。
気がつけば、その年は冬季オリンピックの年だったのでした。ヤレヤレ恩赦だったか。

大槻義彦先生は、物理学で解明できないもの、科学で証明できないものは、すべてデマである。というような信念を持っておられたようです。
ですが、真正な宗教は別だ、と明言されました。
実体が存在せず、科学的に説明不可能だとしても、人間の心の支えになるものは、科学を超えた存在であると。

上の写真は、ルネサンスの画家ジョットが描いた宗教画。
人の心に直に触れてくるもの。
科学の一方で、人文学もまた、深遠な世界だなと思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新人のころ。

2025-04-07 22:09:00 | 日々


4月ですね。ぼくが大学を卒業して企業に就職したのは1999年。建築デザインの潮流にもなんとなく世紀末感が表れていた頃だったと思います。
ぼくが就職したのは組織設計事務所とよばれる大手の設計事務所で、大規模なビルや公共建築などの設計を手掛ける会社でした。

就職してしばらくは新人研修があって、十数名の新入社員のメンバーと過ごすのはなかなか楽しい時間でした。
昼間に会社の重役のレクチャーがあり、社訓についての話もありました。
SPEED, SENSE,・・・あともうひとつ何か の頭文字をとって「3S スリーエス」を意識するように、という話がありました。
研修後、夜に新人メンバーで語らっているときに、誰かが「そうなんですか!すみません!!すぐやります!!!」のスリーエスなんじゃないのーなんて茶化して、みんな大笑い。
そんなことも楽しい思い出です。

それから20年以上経ち、今では会社の中核として奮闘しているメンバーもいるし、会社を去りそれぞれの道に進んだメンバーもいます。
ぼくは、会社の雰囲気はとても好きだったけれども、小さな建築がもつ魅力に惹かれ続け、ここでは成し遂げることができないと覚悟を決めて会社を出たのでした。
その後、小さな建築、すなわち住宅を造り続けてきたことには、ひとつ筋を通したいという思いもありました。

写真は、そんな会社員時代に描いていたスケッチや本です。
「沈黙の世界」だなんて、ずいぶんと内向的な本を読んでいたなあと思いますが、20代に繰り返し読んで影響を受けました。
スケッチはある住宅に花壇を造るとしたら、というイメージで描いたもの。ビルの設計に携わりながら、花壇だなんて(笑)
書いてある文字は、この本に書いてあった文章からの引用でした。

LINGUA FUNDAMENTUM SANCTI SILENTII
言葉は聖なる沈黙にもとづく

そんな言葉に啓発されるような建築や空間への憧れを胸いっぱいに抱えて、過ごしていた時期だったなあと思い返します。

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

フランスのテリーヌ缶

2023-07-28 22:48:11 | 日々


フランス在住の友人から、テリーヌの缶詰をいただきました。
鴨と豚のテリーヌ。

それにしてもこの缶詰のデザインが、本当に素敵なのです。
文字は黒だけのクラシカルなフォント。
商品を主張させるようなデザインではなく、むしろシンプルで控えめなデザインです。
といっても、シンプルさを研ぎ澄ませたデザインということでもなく、肩ひじ張らないデザインなのがかっこいい。
フランスでも有名な食材店のブランドなのだそうです。
中身の素材によってパッケージの背景色が様々なのでしょうね。それらの缶が並んでいる光景を想像するとちょっとワクワクします。

できれば、ギラギラと照明で照らされたスーパーマーケットの店内ではなく、街なかのちょっとおしゃれな路面店なんかで、クラシカルな木の棚に陳列されていると嬉しいなあ。
古びたこげ茶色の木の棚に載せられた、鮮やかだったり、渋みのあるパッケージのテリーヌ缶が並ぶ光景。日々のちょっとした買い物が楽しくなっちゃいますね。
そんなことを想像してもうしばらく楽しみたいから(笑)、まだしばらく缶は開けられなさそう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

古風な花

2023-06-14 22:30:33 | 日々


雨模様の日が続きます。
庭の紫陽花の色もきれいに色づいてきました。
ひっそりとしながらも華やかで。
紫陽花は不思議な花だなと思います。

母が庭の紫陽花を採って花瓶に活けました。
玄関にある古びたキャビネットの上にある、古風な花瓶。

天窓からの光が、花瓶の紫陽花に優雅さを添えます。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

3月の色

2023-03-26 21:33:20 | 日々


東京は桜が一気に満開になるも、雨で見頃が短くなりそうですね。
でも、皇居脇を車で走っていても、雨に煙る桜の風景を眺めると、美しいなと思います。
桜の華やかさが抑えられ、むしろ渋いと感じるような。

これまで3月に旅行をすることが多かったのですが、京都の修学院離宮も3月が似合うなあと思います。
いろいろ撮った写真のなかでも、ちょっと気に入っている一枚がこれ。

池のほとりの橋の欄干と松の枝葉。
こういう色合いは今の季節ならではですね。

枯淡。
無名色。

水はライトブルー。
木はブラウン。
葉はグリーン。
子どもの頃から、着色はそういうイメージが常識と教えられてきたし、実際に季節によってはそうなのでしょう。
だからこそ、そのどの色にも当てはまらない今の3月の色が大好きです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする