かもめ食堂

2021-09-12 22:15:27 | 自由が丘の家


コロナのワクチン接種をして、ウワサ通りにちょっと調子を崩した時に、なんとなく映画を観たくなって、ひさしぶりに「かもめ食堂」を観ました。
かなり以前に一度観たきりで、断片的な映像は鮮明に覚えていたのだけれど、ストーリーはあまり覚えていなくて、どんなだったかなあと。

学生のときに、一番好きな映画は、と聞かれれば、即座にアンドレイ・タルコフスキーの作品と答えていたと思います。
暗喩に満ちた映像は観ているだけで引き込まれ、ストーリーは難解なのだけれど、これこそが表現体だと思っていました。
もちろん今でもそのような感想はあるものの、それから20年以上も経った今では、もう少し直接的でわかりやすい映画は、素直に楽しいなと思うようになりました(笑)

ひさしぶりに観た「かもめ食堂」は、ココロにすぅっと入ってきました。
シンメトリカルな画面構成に映し出される料理や事物。自然の光に照らされて静かな存在感があります。
そして、BGMがほとんどないんですね。揚げたフライをさくっさくっと包丁で切る音、コーヒーをこぽこぽ淹れる音の心地よさ! 料理にまつわるあらゆる音がシンプルに表現されます。

あ~、これもヒュッゲだったんだな、と今になって思います。
そう、ぼくの設計する住宅のテーマは「ヒュッゲであること。」
窓辺に居るだけでほっこりできるような、そんな場所をつくりたいのです。

そんなことを考えるとき、あらためてお手本のように思える映画でした。




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夕方の風景

2021-06-25 23:02:24 | 自由が丘の家


最近は、庭を楽しめる家を、というテーマで設計のご依頼をいただくことが増えてきました。
風光明媚なロケーションの敷地もあるけれど、多くは街なかの比較的ちいさな敷地。そのなかにほっと息をつけるような場所をつくりたい、という想いとともに家づくりが進んでいきます。

ぼくのアトリエ兼住居は、古くから残る庭に寄り添うように建てたから、一日を通して庭の様子を楽しめるはず・・。
でも、複数の仕事を同時に進めながら忙しく過ごしていると、日中にゆっくり庭でコーヒータイム、なんて余裕がなくなるのも実情です。
仕事がいくつかあれば、そのぶんトラブルや問題も生じますし、う~ん どうしようかな、とあれこれ考えて解決して、ちょっと疲れて庭に出るのは、夕方になってから。
今はまだ夕方といっても明るいけれど、一日が終わりに近づいて、太陽も徐々に低くなり華やかさがなくなってきた時間帯の庭というのは、独特の趣きがあるように思います。
緑は最後に光を受けてより鮮やかに輝き、一方で地面のあたりには闇が宿りはじめて。不思議な深淵さがあるように感じます。あ、もちろん蚊も元気いっぱいですが・・・。

設計案のデザインスケッチでは、木漏れ日あふれる日中のイメージを描いたりするのですが、実は、絵には表現できないこんな夕方の時間に、庭の癒しが現れるようにも思います。
京都の寺とかに行っても、閉門時間の午後4時ぐらいになって、庭に離れがたい風情が現れたりしますよね。

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ちいさな楽しみ

2020-12-14 23:22:37 | 自由が丘の家


今年は、なるべく外出や遠出を控えるべき冬になりそうです。
ぼくの日常もひきつづき、現場に行く以外はアトリエにいる時間が長くなりそうです。
でもそんなふうに過ごしていると、例年以上に木々の変化も新鮮に感じます。

自由が丘のアトリエの玄関前。
前回のブログでお話した大磯の地山のように広がる風景というのは住宅街では望むべくもないけれど、一本のモミジの鮮烈な紅葉は印象的です。
古くからあったモミジを残し、モミジを見るために窓が開けられ、白い壁はモミジの樹影の背景となるもの。
つまり、主役は建物ではなくモミジが主役のデザインでした。
新緑の季節もよいけれど、年に一度こういう眺めがあるのはよいものですね。



変わり映えのない日々。そんな時間を過ごすのも退屈でないというか、いいなあと思える空間づくりを目指したいものです。
いる場所が変わり映えがないといっても、仕事中は頭のなかでぐるぐるといろいろなことを考えるから、案外疲れるもの。
だから一仕事終えてのコーヒータイムは、ぼくにとってはちょっといい時間です。
南に面した窓はたったこれだけなのだけれど、インスタントコーヒーから立ち上る湯気と香気を感じつつ、そこから緑が見えるのをぼぉっと眺めながらコーヒーを飲んでいるのも、なんだか不思議と良い時間です。
ホントは豆から挽いたコーヒーだったら、よりいいのだろうけど(笑)


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外壁の趣き

2020-11-04 21:27:38 | 自由が丘の家


進行しているいくつかの現場で、外壁の色をどうするか打合せをしています。
色だけでなく、素材もいろいろです。
左官塗、吹付、金属板などなど。
多くの場合で話題に上がるのが、経年でみすぼらしくなっていかないこと、メンテナンスが大変でないことです。
それは当然その通りですね。
外壁は雨風に晒されますから、必ず汚れていくものですが、汚れてもそれが馴染むような外壁になるといいですね。
家ができあがった時が一番よかった、というのではなく、だんだんと風合いを増してくる雰囲気にしたいものだと思います。

そんなイメージを先鋭化させていくと、建材メーカーから発売されている外装材では、どうも物足りなくなってしまう感覚もあります。
そうしてつくった家の外壁が上の写真。
これは黒漆喰といわれる左官塗材で、漆喰に黒い灰墨が混ぜてあるものです。
雨風に晒されて、だんだんと灰墨が落ちて、削げ落ちたような表情になっていきます。

長年暮らした家の建て替えで、すべてを新しくするのではなく、ずっと流れてきた時間と記憶につながるように、古い庭木や家具や道具を残し、新しい家でありながら、ずっと以前からそこにあったような雰囲気をつくりたいと思ったのです。

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西の窓

2020-06-11 21:27:13 | 自由が丘の家


僕の設計アトリエには西向きの窓があります。
西に向いているからあんまり大きな窓にすると眩しくなってしまうけれど、ちょうど庭に面していて、眺めもよいはず。
そんなことをよりどころにしながら窓辺のデザインを決めていきました。

外の風景を額縁のように切り取る、きれいな正方形のシルエットにしよう。
せっかくきれいに風景を切り取るなら、木の窓枠でシンプルにつくろう。しかもFIX窓で。
窓辺に座って過ごしているときにちょうどよくするために、高さは低めに抑えよう。
ついでに座れると居心地がよいから出窓にしよう。
ロースクリーンも隠れるように格納できるようにしよう。

そんなふうにして窓辺のデザインができあがっていきました。
毎年、この季節になると黄色い花が咲き誇ります。

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