武蔵野にて

2015-12-27 18:23:05 | 日記


オノ・デザインにとって武蔵野市での2軒目となる住宅プロジェクトが進んでいます。
この界隈は建ぺい率40パーセントの地域で、つまり敷地の40パーセント分の範囲までしか建物を建てることができません。
逆に言えば、敷地の60パーセントの範囲は、おのずと屋外スペースとなります。
そのスペースを、単なる余白としておくのは、とてももったいないことだと思います。
むしろその60パーセントの屋外スペースを、いかに活きたスペースにするかを、僕は大事にしたいと思います。
そう、「敷地を満喫する」ことがとても大切なテーマになるのです。



模型を作ると、その「敷地の満喫」具合がとてもよくわかります。目線の高さになるように模型に顔を近づけながら、模型のなかを歩いてみます。
あっちに行ってみたり、こっちに行ってみたり。佇んでみたり。
ブドウ棚の下にベンチがあって、家のなかと外を行き来する楽しさ。
木漏れ日が心地よい庭。

そんなイメージを大切にもちながら、図面をひき、現場で指示をしながらつくりあげていきます。
来年の今頃には新しい生活がスタートできるよう、設計はこれから佳境にはいっていきます。


オノ・デザインは新年3日まで年末年始のお休みをいただきます。
どうぞよい年をお迎えください。
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日本画的な

2015-12-11 11:33:23 | 日々


そろそろ冬らしくなってきたかなと思いきや、季節外れの暴風雨。ニュースで西日本の嵐の様子を見ていると、地球規模の気候変動の一端なのだろうと感じずにはいられません。
風雨にさらされる建物は、より一層、環境に対してタフなものが求められるのだろうと思います。
一方で、耐えるだけでなく、季節の変わり目を趣あるものとして楽しめるようなものでありたいと思います。

家は、できあがってから、どれだけ趣を宿すことができるかに価値があると思います。
つい最近まで青々としていた葉っぱが、さぁーっと黄色や赤色に変わり、床や壁に樹影を映しこむ。そんな風情を、どれだけ身近に感じられるように家ができているかが、僕にとっては重要な尺度です。



今日の風で、綺麗な紅葉もだいぶ散りました。
その儚さや、モノクロームの光景に近づいていく様は、どこか日本画的のようにも思います。

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吉祥寺北町の家

2015-12-05 19:37:26 | 吉祥寺北町の家


武蔵野市で建てている住宅のお話です。

東京都武蔵野市の北部に位置する住宅地は、ゆったりとした広さの敷地の家が多く並びます。
落ち着いた雰囲気の界隈。
碁盤の目できっちりと直角に道路が交差する平坦な街並み。どこか、僕の生まれ故郷の京都とイメージを重ね合わせながら、建設現場によく足を運びました。

偶然にも、施主のご夫妻も京都で大学生時代を過ごしたとのこと。かといって、「京都風で」という注文があったわけではありませんが、僕の心の奥底には、そんなイメージが少し芽生えたのかもしれません。
以前にこのブログでも書いたことがあるのですが、僕にとっての京都のイメージとして「秘められた」ものへ思いを馳せる文化があるように思います。
それは、小中学校への登下校途中に、街並みから肌で感じたことでもありました。

秘めやかな佇まい。ゆったりとした敷地でありながら、どこかそんな印象の佇まいの家になりました。
その奥にある庭木と明るい空間の広がりが、道路から少し垣間見える。そのさじ加減が、僕にとって大事でした。





居心地のよい窓辺を。
いつも設計で大切にしていることを、この住宅にも盛り込みました。
自然の光に照らし出される、ごく身近な事物の趣を大切にしたいと思っています。
植栽は、お供え物のように植わっているのではなく、生活のなかで身近に感じられるようにしたいと思っています。
主張の少ない控えめなデザインのなかに、寸法と配置と質感にこだわって、丁寧につくった住宅です。

家の工事は終わり、いよいよ植栽の工事に向けて準備が始まります。





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