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大は小を兼ねる?

2025-02-09 21:36:37 | 桜坂の家


最近、取り組んでいる実施設計が佳境になって大忙し。
作業的にどんどんとこなしていければよいのですが、デザインの肝になるところはしばし沈思黙考。
そんなふうにして時間がかかってしまいます。

たとえば写真の部屋の窓の位置や大きさを考えていたときのこと。
この部屋は寝室で、正面の壁には、その気になれば壁いっぱいに窓を大きく開けることもできました。
ですが寝室なので、腰壁が高いぐらいのほうが落ち着くかな、座っていても外から見えないぐらいの高さに。
明るすぎず、でも部屋全体にふんわりと明るさが広がるといいな、と思い、障子で自然光を和らげて。
窓の外には、道向かいに立つ古い保存樹木が見えるはず。障子を開けるたびに、パッと新鮮に樹木が見えるといいな。



そんなことを考えながらできあがった窓辺のデザインが、こんな感じ。
窓は大きくしておけばよい、明るければ明るいほどよい、という考え方もあるかもしれませんが、そこで過ごすことを考えて、ちょうどよい心地よい在り方を考えること。
そうすることで、そのようにしなければ生まれない風情が、生まれる。
大は小を兼ねる、ということはないと思うのです。
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時ヲカケル

2021-03-20 22:18:17 | 桜坂の家


早いもので、独立して設計事務所を構えてから17年目になります。
最初期の仕事である「桜坂の家」を設計していた頃は、仕事も少ないぶん気合を入れて設計に向き合っていました(笑)
とはいえ、ボスの元を辞して間もない頃だから、どうも自分の持ち味や本領を自覚せぬまま、教わった作法が先に出る、といった感じだったかもしれません。
それでも、やはり僕自身の奥底にあるものが無意識に滲み出るというのか、今につながる原点だなと思います。

「桜坂の家」も、当時からだいぶ状況は変わりました。
子どもが誕生しライフスタイルが大きく変わりました。
コロナ禍であっても在宅勤務が増えたということではないようですが、オウチ時間を楽しむ工夫をしてくれています。
小さな中庭を利用したオープンエアのダイニングは、家で過ごす時間を楽しいものにしてくれているようです。
その後ローフードマイスターとして活躍する施主のキッチンは、プロ仕様でハードで使い倒す雰囲気に。



「桜坂の家」ができあがって16年。生活の変化をすべて予測できたわけではないけれど、家がそれを受容できているようでひと安心。
使って味が出るというのはこのことだなあと思わせてくれる雰囲気があります。


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バーバパパの家

2020-06-06 22:47:08 | 桜坂の家


家の設計を考えるときは、その土地でどうしたら落ち着きと安心感が得られるだろう、というようなことを考えるところからスタートします。
特に住宅街では、道行く人の視線や、隣家との関係がありますから、窓ばかり開けると逆に落ち着かなくなってしまいます。

壁に護られた家。
そんなキーワードを、いつしか考えるようになりました。
土地の形と状況に応じて、変幻自在の壁の位置を操り、安心感のある家の内部をつくります。
そして、ここぞ!というところに窓を開ける。
ここに窓を開けたら、どんな雰囲気で「外」と出会うのだろう?
そんなことをイメージしながら壁と窓をデザインしていくのは楽しいものです。

普通の窓ではなくて、特別な光と風景が入ってくる窓。
そんな雰囲気に満ちた家は、変化に富んでいて飽きることがありません。



状況に応じてどんな風にも変幻自在な家づくり。
子どもの絵本を見ていて、あれ、これだ!!と思ったのは、ご存じバーバパパ。
ピンク色の体が、どんなかたちにも変幻自在。
こんなところに源泉があったとは!
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朝、出かける時。

2019-11-01 22:45:36 | 桜坂の家


日々の暮らしのなかのあたりまえのことを、楽しむ。そんな感覚が芽生えたら素敵だなと思います。
朝、出掛ける時に靴を履きながら過ごすちょっとした時間。
玄関の地窓から緑が見えて、朝日に照らされた樹影が室内の壁に映り込んで、ゆらめいている。
心のなかに少しの癒しをもたらしてくれるような、そんな雰囲気が、家のあちらこちらに散りばめられていたら素敵だと思います。

台風による大きな災害があって、あたりまえの暮らしを過ごすことが、いかにかけがえのないことかを気付かされます。
都市計画レベルでの対策も必要だし、猛威を振るう環境に耐えるタフな家づくりに向けて、議論も活発になっていくことと思います。
同時に家づくりがスペックばかりで評価されるのではなく、あたりまえの暮らしを楽しむものに向かっていくことを大事にしたいと思います。
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丸い扉

2019-10-06 23:18:13 | 桜坂の家


家を訪問した際に、印象に残るシーンは何かしらあるものだと思いますが、「桜坂の家」では、不思議なことに多くの方に言われるのが「丸い扉」のこと。
リビングに白い大きな壁があって、その中に突然、その「丸い扉」はあります。
黒い和紙が貼ってあって、ちょっと高さの低い扉。
丸い扉と言われたり、アーチの入口と言われたり、あるいは、茶室だよね、と言われたり。

実際には、扉の奥は和室になっていて、茶室ではないですが、すこし独立した雰囲気の部屋になっています。
扉の奥に、なにか謎が秘められた感じ。
外の緑が鮮烈だからこそ、逆に黒い扉のもつ「謎」感がつよまります。
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