
「桜坂の家」は、ぼくが独立して設計をてがけた最初の家です。
ちょうどその頃、私淑している建築家ルイス・バラガンの著作を眺めていました。
そのなかに、昼寝ができる空間の心地よさについて書いてあって、それがなんだかとても印象に残っていたのです。
住宅街に立地する「桜坂の家」で、ゆっくりと時間を過ごせるスペースのことを考えていたら、バラガンの昼寝の話がよく脳裏をよぎりました。
本を読んでいて、そのままソファに深々と沈み込んで寝てしまう、というような。
吉村障子を閉めると、白い静謐な空間に。
それを開けると、緑が鮮やかに姿を現す。
上の写真は家ができあがって数年後のシーン。
心地よさとは、いったいなんだろう。
そんなことを真剣に考えながらつくった家です。