ギャラリーの家

2022-10-15 21:47:30 | 祖師谷の家


今春に完成した「祖師谷の家」は、2階建ての小さな住宅です。家族4人暮らしで77㎡(23坪)、でも空間のつながり方に変化と広がりがあって狭く感じることはありません。
暮らしに必要な広さは、案外ちいさくてよいのかなと思います。

施主のTさんは音楽とアートをお好きなご夫婦。話の流れのなかで、ギャラリーのような家にしたいというイメージが徐々にできあがってきました。
大きな白い壁と、所々に開けられた開口部。窓の数は少ないのだけれども、周囲環境をよく見ながら選び抜いた窓ばかり。窓で切り取った風景も絵画のように家のインテリアの一部になっています。

リビングの小さな吹抜けからは、明るい光が室内の奥深くまで差し込みます。小さな家だからこそ、このような吹抜けが宝物のように感じられました。
身体の延長にあるような ちょうどよいサイズ感のこの空間を、時折思い起こしては心地よい気持ちになります。
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チークのフローリング

2022-03-21 22:36:43 | 祖師谷の家


「祖師谷の家」で使ったチークの無垢材のフローリング。
チーク材は古来より堅牢で美しい素材として重宝され、家具や船舶などにもよく使われてきました。
チークに限ったことではないけれど、無垢の良材は伐採規制などにより世界的に枯渇しています。
その状況は今後ますます深刻になっていくと思います。
いろいろな技術は発展していくのだけれども、かねてからあり続けた事物は、ずっとあり続けてくれるわけではありません。
無垢の木をふんだんに使う、というよりも、それらが暮らしのなかで役に立ち、活き活きとした姿を見せてくれるような使い方をしたいものです。

木漏れ日を受けるチーク材の表情を見ているだけで、なんだかいいなと思います。
チーク材は、少し翳りがあるような空間で見ると、その特徴がよく表れるように思います。
まだ真新しい床だけれども、これから暮らしのなかでたくさんキズや凹みもついて摩耗し、それが味になっていくのだろうと思います。

コストを考慮して、要素を抑えて設計した住宅だけれども、その分ひとつひとつの素材や要素の存在感が際立つ家になりました。
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寄る辺のある家

2022-03-10 17:42:49 | 祖師谷の家


「祖師谷の家」の現場が大詰めを迎えました。ウッドショックに影響も受けたけれど、ここまで辿り着いて感慨無量です。

床面積23坪の小住宅。都心の住宅街にあるこの敷地は家々に囲まれているけれど、隣地の一部に竹林が見え、それを拠り所にしながら設計をしました。
竹林に面してちょっとした吹抜けがあって、そこには背の高い窓が据えられています。
竹林越しに木漏れ日が室内の奥深くに入り、光と影が余韻となって、白い壁や木のフローリングに映り込んでいます。

小さな住宅のなかに現れた大きな窓は、心身の寄る辺となることでしょう。
心身の寄る辺がある家には、平穏や安らぎが宿るように思います。
大きな家でも、小さな家でも、そんな感覚を大切にしたいなと思います。
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