このブログにたびたび登場するオディロン・ルドンの絵画。
19世紀後半から20世紀初旬にかけて生きた画家ルドンには、以前からずっと憧れをもっていました。
ぼく自身が、20世紀末に多感な時期を過ごし、「世紀末芸術」に深い関心があったことも、関係があるのだと思います。
絶望的で退廃的な、モノクロームの画風。
これだけ聞くと見るのもイヤになりそうですが、その画風に漂う静けさや孤独、そして時に表れる愛嬌は、深く心に沁み込んできます。
ルドンは50歳になってから、大きく画風が変わりました。
弾けるような鮮やかな色彩のパステル画。
なぜそのように画風が変わったのか、いろいろな説があります。
晩年になってからの長男の誕生、過去との決別・・・
いずれにしても前向きなことだったようです。
ぼくも今年ついに50歳になりました。
建築家人生としてはまだ折り返し地点です。(建築家は40代にしてまだ若手と言われる、スロースタートの職業なのです!)
ぼくもルドンのように、新たな作風の展開を楽しみたいと思います。
胸の内に思い描くテーマは、ロマネスク性、ということ。
このテーマをより自覚的に、設計のなかに沁み込ませ、それがやがて、その建物で過ごす人々にとって「寄る辺」となることを願いたいのです。