経堂の家 訪問。

2022-05-19 22:13:44 | 経堂の家


竣工後の一年点検で「経堂の家」へ。
建物は完成したものの、中庭は良い時期を見計らいながらゆっくりと進められました。
新しい家具もいくつか入ったとのことで、久々の訪問を楽しみにしていました。

上の写真は、玄関ホールからダイニングに入って、最初に目に飛び込んでくる光景です。
木の窓枠に縁どられて、新緑が目にまぶしく映え、思わず息をのむ感じ。

中庭の窓辺に寄り添うように丸いダイニングテーブルを置くことを、初期の段階から決めて、その空間が居心地よくなるようにディテールを練りながら設計しました。
北欧の建築家アルヴァ・アアルトのデザインも参照しつつできあがった窓辺の空間は、優しく、でもキリっと庭の風景を切り取ってみせてくれて、独特の雰囲気になりました。

少し暑いぐらいに太陽が照りつける日でした。
でも深い庇に守られて、室内はちょうどよい明るさで落ち着きます。
家具や器や道具が置かれた室内は、静かに調和しています。
ほどよい明るさと陰影と。そんな雰囲気が、置かれた器物に趣をもたらしてくれているようでした。
BGMの流れる室内。なんだか眠くなるような安堵感(笑)

大工さんにもだいぶご苦労をおかけした家だけれども、おかげさまで点検でもほぼ問題無し。いやあ、素晴らしい。
お施主さんからも、いろいろと嬉しいお言葉をいただきました。設計者冥利に尽きる思いです。
新しい家での生活が始まって、テレビが置かれなくなりました。
それだけで、この家で過ごす時間がどのようなものかが、垣間見える気がします。


コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

別冊太陽

2022-05-12 21:59:40 | 大磯の家


平凡社「別冊 太陽」誌に、設計作品「大磯の平屋」を掲載いただいています。
特集タイトルは「小さな平屋に暮らす」。
名作住宅の論評あり、平屋でのスローライフの紹介あり、盛りだくさんで読み応えのある内容です。
ぼくの設計した「大磯の平屋」は、最近竣工した事例集として取り上げていただいていますが、先に挙げたような成熟した平屋住宅と見比べると、まだ庭も若い感じがします。
だんだんと緑のボリュームも増え、家と庭とが一体になっていくのかなあと想像すると、待ち遠しくなります(笑)

「小さな平屋」という言葉が指し示すイメージには、独特の趣きがあるように思います。
見栄や体裁から離れ、自分たちの暮らしのためだけに考えて造られた、ちょうどよい大きさの空間。
屋根が低く、軒が深く、守られたような安心感があります。

もうすぐ季節は梅雨。しとしとと降る雨が軒先から雫になって落ちてきます。
少し陰影の深くなった室内から、雨のしとしと音を聴きつつ、濡れて鮮やかになった緑を眺めつつ、安心な室内で過ごす時間はよいものだろうなあと思います。

別冊太陽 リンク http://www.heibonsha.co.jp/book/b601729.html
大磯の平屋 リンク http://www.ono-design.jp/works/ooisohiraya
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

北庭の楽しみ

2022-05-06 21:55:39 | 月見台の家


ちょうど10年前に1年点検に伺った「月見台の家」のスナップ写真。
その前年に建設中だったときには東日本大震災に遭い、資材不足のなか完成にこぎつけた住宅でした。

あたりまえのことを大事にしよう。そんなことを切々と考えさせられた時期でもありました。
だから、この室内にソファが運び込まれ、北側の庭に面したリビングが居心地の良い居場所になったときには、本当に嬉しかったのです。
北側に面しているから直射日光は入らないのだけれど、そのぶん穏やかで静かな空間になりました。
窓には通称「吉村障子」が建て込まれ、障子を閉めると一面の光窓のような風情になります。

大きめのソファに身を委ねて無為に時間を過ごしたくなる雰囲気。
そんな雰囲気をつくりだすためには大事にしたことは、余計なデザインをせずに、窓辺の明かりと、穏やかな陰影だけで空間をつくること。
そのぶんフォトジェニックな要素は無いのだけれど、この空間に身を置くと、じんわりと効いてくる。
そんな気分を大事にしたかったのです。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

魔女の宅急便

2022-04-30 21:39:47 | 旅行記


昨晩 TVで「魔女の宅急便」がやっていて、ついつい見入ってしまいました。
Yahooコメントかなにかで、何十回観ても飽きない、と書かれていましたが、ストーリーも知っているのに何回でも観たくなるというのは、いったいどういうことなんでしょう。
ぼく自身も、何回か観たことがあるような気が(笑)
なんだか幸せな気持ちになるんですよね。お馴染みのストーリーもさることながら、背景の美しい街並みや、魅力的なパン屋さんにも。

モデルとなった街並みは、実在するいくつかの街並みのイメージをミックスしているそうですが、そのなかのひとつにポルトガルの港町ポルトも入っているそうです。
もう15年以上前ですが、旅行で初めてポルトの街に訪れたときには、遠い街に来たなあと感慨にふけった記憶があります。
電車の終着点サン・ベント駅は、石とタイルで覆われた建物で、いい具合に摩耗した雰囲気が、ぼくにはとてもしっくり感じられました。

ポルトの街は、道路の舗装も、建物の壁も、家具も、何もかも、昔から存在する古い素材でできている街。単純に言うとプラスチックとかビニールとかが無いのかな。
どちらかというとそういった素材に囲まれた東京に暮らす身からすると、とても羨ましくなりました。

道すがら出会ったパン屋さん。店構えは石造り。そのガラスショーケースのなかにはパンがゴロゴロ。パンまでもが石やガラスと同じような「素材」に見えてくるから不思議です。
パッと見には石ころのような固そうなパンなのですが、実際に買って食べてみると、ふんわり柔らかくて美味しいこと!

「魔女の宅急便」でキキが店番をするパン屋さんは、また別の街に実在するパン屋さんがモデルになっているそうです。
店の外から眺めて楽しく、ドアを開けてその香りで幸せになる、という様が、映画のなかでも活き活きと描かれています。
斬新な何かを描き出すというよりも、これまでの人生で見たり聞いたりしてきたあらゆる「記憶」が、映画を観ながら去来するような感覚がもたらされます。
メランコリックな気分のテーマ曲や、空をホウキにまたがって浮遊するシーンは、すべて「記憶」という儚いものに繋がっているような気もします。
そんなところにも、この映画の飽きない魅力があるのでしょうか。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ダイニングテーブル

2022-04-24 22:41:48 | 吉祥寺北町の家


住宅の設計にあわせて、家具のデザインもすることがあります。
その中心となるのはダイニングテーブル。無垢板を素材に選んで造ります。

ぼくの設計の特徴は、窓辺に居心地の良い居場所をつくること。
ダイニングのスペースは、食事のためだけでなく、無為に過ごせる場所にしたいと常々思っています。
長く時間を過ごすのだから、そこに置かれる家具はしっかりしたものを。
使い続けて愛着がわくものを。
そんなことを考えると、やはり無垢の木を用いてテーブルを造りたくなります。

上の写真は「吉祥寺北町の家」のダイニング。
庭に寄り添うような気持ちのよいスペースにしたいと思いました。
家具づくりにあたり大事にしたのは、このスペースにちょうどよいサイズで、長く過ごしていて疲れないこと。
テーブルのフォルムそのものはいたってシンプルですが、そのぶん無垢の木の存在感が際立ちます。
角部は丸く削り出すようなデザインになっていて、体にもよく馴染みます。

ミズナラの木でつくったテーブルは3枚接ぎです。テーブルの幅が90センチぐらいありますから、幅30センチほどの木を接ぎ合わせたもの。
もうこういうものはなかなか造れないのだろうなあと思うと、愛おしく思えます(笑)
テーブルとあわせてベンチも造りました。

キズも凹みも汚れもツヤも。少しずつ変化をしていくのがいいところ。
家は、できた姿が一番良いのではなく、時間が経って良くなっていくことをイメージしたいものです。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする