雨の中の家

2021-10-13 22:34:34 | 吉祥寺北町の家


「吉祥寺北町の家」に、長期優良住宅制度の定期点検で伺いました。
できあがって5年以上が経ち、久々の訪問となりました。

今日はしとしと雨。
どんなふうになっているかな。手がけた家に久々に再開するのはちょっとどきどきします。
かつて通いなれた道を通って近づくと、その壁面の多い懐かしい表情が見えました。

派手さはない外観。
いつの間にか大きくなった庭木。

ずうっと見ているとなんだか、じわじわくる感じ。無名のロマネスクの礼拝堂に出会う感じに似ている、かな。
時間を味方につけて、場所の一部になってきたような雰囲気があって嬉しくなりました。

肝心の点検では特に問題がなく、ひとまず安心。
この住宅を建ててくれた渡邉技建の工事監督さんと大工さんには、ちょうど今も進行中の杉並区の新築現場で携わってくれています。
下地づくりがしっかりしているから問題が起きない。
あたりまえのことようでありながら、難しいことでもあります。

勝手口の上に、やはり庇があった方がよいね、ということになり、どのように造るか打合せ。
はじめは、リフォーム用の後付けアルミ製品をつけるのがよいかと話を進めたけれど、途中から、やっぱり家の雰囲気に合わないんじゃない、ということに。
結果的には大工さんに造作してもらう方法で検討してみました。

丁寧につくった家には、あまり中途半端に手軽なことはしないほうがいいですね。


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晴れた日に。

2017-10-04 22:30:59 | 吉祥寺北町の家


点検のため、2年弱前にお引渡しした「武蔵野の家」へ。
ここ何回かは、訪れるたびに雨や曇天だったのですが、この日は晴れて気持ちのよい日となりました。

生活が始まってしばらく経ち、設計していた時には気づかなかったけれども、ここはこうしておいたほうが使いやすい、というような改良点もありました。そんな風にして直しながら、細かい点を暮らしにフィットさせていくのが大事なのだろうと思います。

家具職人の古市健さんにつくってもらったナラのダイニングテーブルも、相変わらずの存在感で、ここが家の中心だ、ということを実感させてくれます。
なにせ、無垢の木を3枚接ぎですから。それはなかなか手に入らないものです(笑)

ちなみに、冬に訪れた時の光景が下の写真。同じ窓からの眺めでもこんなにも違います。
四季があるのって、素晴らしいなあとあらためて思います。


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家と庭と家具と。

2016-04-07 22:48:56 | 吉祥寺北町の家


ここのところ、東京ではよく雨が降り続きました。春の雨らしく、しとしとと降るのは風情があっていいものですね。
そんな一日に、植栽がおわった「武蔵野の家」にお伺いしてきました。

もうすでに生活が始まっている室内にお招きいただくと、そこからダイニングの窓越しに、気持ちの良い庭が広がっていました。
緑の葉っぱが芽吹くにはまだ早いですが、それでも綺麗な樹形のジューンベリーの株立ちが窓に大きく広がり、足元ではツツジの常緑が引き締めています。

生活の背景となるように控えめにデザインされたインテリアには、主役となるテーブルや食器棚がうまく収まってくれています。
ナラ材を基本とした家具。

ダイニングテーブルとベンチはナラの無垢の木でできています。無垢材の良さを引き出すようにシンプルにデザインし、家具職人に作ってもらいました。
オイル塗装で仕上げ、美しい木目が窓辺で引き立ちます。

食器棚はお施主さんがお手持ちだったもの。あらかじめ設置場所を考えてプランニングをしてあったので、ぴったりと気持ちよく収まっています。




植木屋さんを交え、コーヒーをいただきながら、庭の手入れや水遣りなどのポイントを教わります。
お施主さんにとっては、これからいよいよ本格的に始まるガーデニング。気に入った道具を少しずつ増やしていきたいなあと話されていました。

この家での生活が始まって、気に入った食器を探すのが楽しみになったとも。
朝、この窓のロールスクリーンに、樹木の枝が映ってきれいなんですよ、と教えてくださいました。

日曜日の午前。しとしと雨が降り、時おり薄日が差す、そんなゆっくりとした時間。
家と、家具と、植栽が、どれが主張するのでもなく調和してくれていて、嬉しくなりました。

この家には、目新しいものや、あっと驚く仕掛けがあるわけではありません。特別なもののない当たりまえの日常のなかに、趣きと、楽しみをたくさん見出していけるような気配に満ちているように思いました。
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主木の植え付け

2016-02-14 10:43:51 | 吉祥寺北町の家


「武蔵野の家」では造園工事がすすんでいて、主木の植え付けを行いました。
造園工事を担当してくれているのは高松造園さん。僕の亡師・村田靖夫さんと懇意だった高松さんが、道路に面した庭に選んでくれのは、とてもきれいな株立ちのアズキナシ。
時間をかけて探してくれましたが、整った姿でとても品があります。そのまま植えるとまっすぐになり過ぎとのことで、少し引っ張ってクセをつけて植えてくれました。
どんな木を選ぶかも大事ですが、それをどのように植えるかも大事。灌木や下草との組み合わせ方で庭は表情を変えますが、その風情のつくり方は、やはり庭師の腕の見せどころですね、楽しみです。

武蔵野市の多くの地域は建ペイ率が40%のため、敷地内にはおのずと建物の建たない空地が広く残ります。それらの空地をいかに活かすか、そのシナリオづくりが建築家の腕の見せどころになるのだろうと思います。
シナリオづくりの根本にあるのは、暮らしを楽しむということ。日常のなかにあるちょっとした喜びや楽しみを発見し、大切にすること。ターシャ・テューダーさんが暮らしのなかで大切にしたことと、どこかつながっていきますね。
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吉祥寺北町の家

2015-12-05 19:37:26 | 吉祥寺北町の家


武蔵野市で建てている住宅のお話です。

東京都武蔵野市の北部に位置する住宅地は、ゆったりとした広さの敷地の家が多く並びます。
落ち着いた雰囲気の界隈。
碁盤の目できっちりと直角に道路が交差する平坦な街並み。どこか、僕の生まれ故郷の京都とイメージを重ね合わせながら、建設現場によく足を運びました。

偶然にも、施主のご夫妻も京都で大学生時代を過ごしたとのこと。かといって、「京都風で」という注文があったわけではありませんが、僕の心の奥底には、そんなイメージが少し芽生えたのかもしれません。
以前にこのブログでも書いたことがあるのですが、僕にとっての京都のイメージとして「秘められた」ものへ思いを馳せる文化があるように思います。
それは、小中学校への登下校途中に、街並みから肌で感じたことでもありました。

秘めやかな佇まい。ゆったりとした敷地でありながら、どこかそんな印象の佇まいの家になりました。
その奥にある庭木と明るい空間の広がりが、道路から少し垣間見える。そのさじ加減が、僕にとって大事でした。





居心地のよい窓辺を。
いつも設計で大切にしていることを、この住宅にも盛り込みました。
自然の光に照らし出される、ごく身近な事物の趣を大切にしたいと思っています。
植栽は、お供え物のように植わっているのではなく、生活のなかで身近に感じられるようにしたいと思っています。
主張の少ない控えめなデザインのなかに、寸法と配置と質感にこだわって、丁寧につくった住宅です。

家の工事は終わり、いよいよ植栽の工事に向けて準備が始まります。





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