コンクリートの誘惑

2019-05-31 21:34:03 | M's ark


川口M'S ARKの現場。型枠が外れ、コンクリート躯体の全貌が現れました。
内装が行われる前の、今しか体験できない空間です。細長い敷地に合わせて長く延びるコンクリートの壁のなかに、中庭がつくられています。

外から内へ。
内から外へ。

出たり入ったりしながら場面が豊かに展開し、不思議な空間体験です。
コンクリートだけの静けさと仄暗さが、より一層神秘的な雰囲気を醸し出しています。
すでに建築家の手から離れ、確固たる物として自立しているような印象を受けます。
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バリアフリーに向けて

2019-05-27 17:58:12 | 久が原の家


住宅の玄関は、家の最初の顔になる部分ではあるけれど、段差あり、収納ありで、意外に高密度にいろいろなものが詰まっています。
さらには、適度な明るさも欲しいところです。

写真は「久が原の家」の玄関。明り採りの窓には目線の高さまで障子が建て込まれ、人の目線が遮りつつ、そこから柔らかい光がはいってきます。
もちろん、障子を開いて掃除もできます。

老後の住まいだから、玄関にも手すりを設置するなど、家全体としてバリアフリーに気を配った設計となりました。
バリアフリー用の建材は多く発売されているものの、間に合えばそれでよい、というような体裁のものが多く、取り付けると一気に施設っぽくなってしまうのが残念なところ。
だからこの家では、手すりや手掛けなど、肌に触れるところは極力 木で造作しました。

いつも手に触れられて、使い込まれて少しずつ味が出てくる。
バリアフリーの家にも、そんな風情は大切だと思います。



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音の通り道

2019-05-23 21:46:45 | 自由が丘の家


空間体験のなかで、写真に写り込まないのは、音。
でも、聞こえてくる音のなかにこそ、想像の余地はひろがっていくように思います。
初夏になり、だんだんと気温が上がり、窓を開けることが多くなってきました。

風の通り道。

聞こえてくるのは、木の葉がさわさわとそよぐ音。
今日は風が穏やかで、木も喜んでる。そんなふうに思えるような、静かな時間。

さして特別なことではないけれども、それが心地よく感じる。
西日に照らされて輝きを増す緑と、だんだんと濃くなってきた室内の陰影のせいでしょうか。
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壁のこと

2019-05-19 22:22:49 | 桜坂の家


 僕が設計する家は、壁が多くて、窓が少なく見える、という特徴があるようです。実際には窓が少なかったり小さかったりするわけではないのですが、道路からなど、外から人目につきやすいところには窓をあまりつけない、ということが結果的にそのような印象につながるようです。
 プライバシーを考慮してそのようにしているということもありますが、壁が街並みのなかでゆったりとある姿は、ずっと古い時代の建物が持っていたような静謐な雰囲気であったり、秘めやかな雰囲気を宿すように思います。そしてその多くは、石造であったり土壁であったり、自然から生まれた材料そのものを使っているから、必然的にアースカラーの外壁になることが多いのです。

 上の写真は「桜坂の家」の外観。コンクリートの腰壁の上に、大きなアースカラーの壁面があり、中庭に面して緑に覆われている。ただそれだけの簡素な外観です。イメージのもとには、ジョルジョ・モランディの風景画にあるような、素形としての建物の佇まいでした。

 敷地の環境に合わせて壁でゆったりと囲み、暮らしに合わせて窓を開ける。たったそれだけの単純な操作でできあがる佇まいと空間が、時代を経ても変わらない居心地の良さをもたらしてくれると信じています。

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猫のいる家

2019-05-13 21:36:32 | 古河の家


 これまで住宅をつくってきたなかで、何人かの建て主さんは猫を飼っていました。僕は猫を飼ったことはないのですが、打ち合わせでご自宅に伺った際に初めて「ご対面」し、その後、何回か会うのですが、なつくほどでもなく、つかず離れずの微妙な距離関係を保ちながら、こちらの様子を見ている猫の眼差しがなんとなく印象に残ります。

 音もなくサッと登ったり、走ったり、寝ていたり。猫用の扉をつくったり、寝床をつくったりすることもあるから、どんな感じがいい? と聞いてみたい気もします。できあがった家で、猫がこれまで以上に元気よく端から端まで走り回っている様子を見ると、あ、気に入ってくれたかなという気持ちになって、会話ができない分 余計に嬉しかったりもします。

 写真は「古河の家」の愛猫。乗れるところには所かまわず乗り、カメラを向けると意外にちょっとポーズを決めてくれたりもします。この家の2階のベランダからは渡良瀬川の花火大会が望めます。そんなときに、家の主と一緒に猫も楽しめるように、ちょうどよいのぞき窓をつけましょう、ということになりました。でも、身を乗り出して落っこちると大変だから、乗り出さないくらいの絶妙な感じで。なかなか案配が難しいところですが、スタッフのK君がメジャーを片手に原寸図面を描きながら検討し、できあがったものがこれ。ちょうどよくできたようで、ほっとひと安心。



 このベランダは西向きで、渡良瀬川の方角から夕陽がやってきます。静かに夕陽を眺める時間も、きっといいものだろうなあと思います。
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